保健所強化は正規職員で コロナ 独自対策で注目の墨田区

 新型コロナウイルス感染が急拡大する中、墨田区では、いち早くPCR検査の拡充や保健所体制の強化、コロナ病床ひっ迫に対応した「地域完結型」の医療体制の取り組みは全国的に注目されています。そうした取り組みの現状と課題などについて、積極的提案も行っている共産党墨田区議団の、はらつとむ団長に寄稿してもらいました。
 日本共産党区議団長 はらつとむ

自宅待機者が急増
 区の感染状況は年末からの急拡大で、ピークであった1月13日時点で、区内の入院患者74人、療養施設入所者46人、自宅待機者は244人となりました。区内のコロナ病床は医療機関の協力で115床が確保されていましたが、希望しても入院できない状況でした。私の知り合いの家族も、4人全員が陽性になり、かなり調子が悪くなっても、一人が療養施設に入れるのが精一杯でした。
 重症患者については、都立・墨東病院は、区内唯一の受け入れ先となっていますが、待機者が急増していました。
 そこで区は、回復しつつある人には転院してもらうため、受け入れてもらう病院には補助金を出すことにし、この補正予算を審議する緊急議会を1月25日に開きました。(2ベッド以上で1000万円、7病院で7000万円、財源は財政調整基金からの繰り入れ)。
 独自の病床を確保したことによりさっそく7人が墨東病院以外に転院しました。区では入院待機者ゼロを目指す「地域完結型」医療体制と呼んでいます。

食料品などを配達
 自宅待機者へは、昨年8月より保健所が食料品を配達してきました。また、パルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)を50台購入し、レンタルしています。全国では、待機中に亡くなるという深刻な事態が広がる中、区では看護協会に自宅への訪問を委託し、自宅療養者への対面での対応とともに、保健師の負担軽減を図っています。
 共産党区議団は2月4日、区長に対し医療も受けられずに健康不安も抱える自宅療養者への温かい食事の提供と、医師の訪問診療、それらを実行するための専門の支援組織を区に立ち上げることを要望しています。

検査と保健所体制
 共産党区議団は昨年2月から、PCR検査の拡大と保健所体制の強化を議会で繰り返し取り上げてきました。
 区の保健所は所内の体制強化と共に、医師会や医療機関とも連携を進めています。昨年8月にはPCRセンターを設置し、その運営を医師会に委託し、かかりつけ医の判断で検査が受けられるようにしました。保健所にクラスター班を設置して、保健師が福祉施設や学校などの現場に駆け付け、濃厚接触者以外にもPCR検査を行ってきました。ただし今年に入り、感染拡大が爆発的になり、検査は高齢者施設に絞るなど、すべての施設には駆け付けられなくなっています。
 保健所の体制強化では、感染症担当を当初10人から現在は80人に増やしたことは画期的です。しかし新規で増えたのは10人ほどで、ほとんどが他部署との兼務です。保健所内は連日午後11時くらいまで仕事がかかり、兼務の人も元の仕事があるので仕事量が増えています。正規雇用の職員を増員し、専属で配置する必要があります。
 保健所業務のひっ迫を理由に濃厚接触者の特定は高齢者・障害者施設などに重点を置くとする1月8日の国の通達が出た後も、区は今まで通りに調査を進めてきました。しかし22日の都の通達をもって民間企業については対象から除外することになってしまいました。
 これでは無症状感染者が広がり、感染拡大の悪循環を招きかねません。区では陽性者が発見された職場の人は、本人の希望があれば病院の初診料・再診料のみで、検査は無料で行うことにしています。

今後の課題
 保健所の体制について、保健所では「新規採用も含めて100人にしたい」としていますが、正規雇用を大幅に増やし育てていくことが求められます。
 また検査についても、昨年12月より、高齢者・障害者施設の職員・利用者(230施設・5000人)を対象に、3月末まで月に一度程度、無料でPCR検査ができる体制ができました。区は9割の利用を見込んでいますが実績はあがっていません。
 「知り合いの施設も検査はしていないし、進んでいないのではないか」「休業補償が融資しかない」「人手に余裕がない」などの意見が寄せられています。なぜ進まないのか、課題を分析する必要があります。
 新年度予算案では、区議団が求めた、錦糸町などの繁華街での希望者全員の面的な検査が盛り込まれました。感染者数が減ってきた今こそ、無症状者への検査を徹底し、陽性者を保護する社会的検査の実施が必要です。
 一方で、暮らしと営業への対策は、「新自由主義」に基づく自己責任が前提となっており、区独自の支援策を強く求めていきます。