首都圏を直撃した台風15号は、東京の伊豆諸島でも深刻な被害をもたらしました。日本共産党の山添拓参院議員と、とくとめ道信、米倉春奈両都議は19日、大島町の被害状況を調査し、被災住民からの声を聞きました。台風から10日経っても、いまだ傷跡の深い大島を同行取材しました。 (菅原恵子)

大島町 台風15号で壮絶被害

 大島元町港で船から降りると、まず目に飛び込んできたのが、ブルーシートで窓を覆った土産店でした。いつもなら観光客でにぎわう場所です。
 伊豆諸島では瞬間最大風速50㍍もの暴風雨が住宅などを襲いました。大島で特に大打撃を受けたのが、南部の地域。間伏、差木地、クダッチ地区では窓ガラスや屋根瓦が吹き飛び天井もない住宅や店舗が多くありました。
 調査に同行した共産党大島町委員会の中田保さんは、「台風直撃の直後は倒木が多く、あちこち道路も通れない状態だった。チェーンソーで切ってどかさないと、車も通れなかった。倒木で家に閉じ込められた人もいました」と言います。いまだに道路脇には、根が露出した直径1㍍ほどの木の切り株が何本も倒れていました。


 家の片付けをしていた酒井光成さん(58)に話を聞きました。酒井さんは「いつもは2階で寝ているけれど、怖がる母(88)と一緒に1階にいました。夜中の2時頃に、2階からものすごい音がしたので、階段を見上げたら空が見えてぞっとした」と話しました。
 屋根だけでなく天井もなくなっていました。いつも酒井さんが寝ている2階の部屋は、天井がベッド上に垂れ下がっていました。事前に飛ばされないように、ロープで補強していましたが、台風の前では歯が立ちませんでした。

滝のような音、怖い
 クダッチ地区では家財道具を処分中の佐藤史代さん(50)が当時の様子を生々しく語ってくれました。就寝中だった佐藤さんは、夫の猛敏さん(61)に「大変だ。起きろ」と言われて飛び起きると、「バーンという大きな音の後、気圧のせいか耳が痛くなりました。天井が抜け大穴が開いて、滝のようなザーザーという音が聞こえてきたと思ったら、電気がチカチカとして、真っ暗になりました。生まれて初めての体験。怖いったらない」と振り返りました。
 猛敏さんは「家の全壊や半壊などの判定も、柱が曲がるとか地震と同じ基準では実態に合わないと思います。天井がないのに一部損壊などの判定では困る。情報も少ないです」と訴えます。「判定はまだ出てないし、役場は手を付けないでと言いますが、次の台風が来ると大変です。いつまでも友人宅に身を寄せているわけにはいかないので」と、友人の力を借りて屋根に板を貼り、家の修繕をしていました。
 大島町では、24日からり災証明の手続きが始まる見通しですが、生活再建に向けてスピードアップを望む声が大半でした。山添議員らは「実態に即した対応ができるよう力を尽くします」と答えました。

生業・地域経済に打撃

 差木地地域で食品やドリンク類を扱う商店の石川治子さん(62)は、後片付けに追われながらも、難を逃れた商品を販売していました。店のガラスというガラスはなくなり、屋根や天井も梁だけが残された状態です。
 石川さんは「消費税増税を見据えてレジを新しくしました。まもなく月数万円の支払いが待ったなしで始まるのに、レジがだめになってしまった。修理に出したけれど直るかわかりません」と顔を曇らせます。「地域で買い物をするところがなくなると、迷惑をかけるから続けないと」と語りました。
 北部地域の元町地区で宿泊業を営む小林聡さん(61)も、深刻な被害に遭いました。冬用の布団127組が雨をかぶり、廃棄しました。
 食堂の窓ガラスが破損し、つながる厨房のドアと冷蔵庫2台が風圧で外に吹き飛ばされました。
 食堂は土砂まみれ、エアコンが3台も使用不可能になり「秋の連休の予約がパーだ」と嘆きます。「すべての復旧に400万円ほどかかるために、できるところは自分で補修するしかない」と肩を落としました。
 こうした営業損失の補助が手薄なため、これまでの災害では、被災者は二重ローンを心配して再建に消極的になり、地域経済が疲弊する傾向があります。そのため当面の対処とともに、連休などの観光客減少による収入減少を考慮して「年末以降まで含めた、資金繰りなどの援助も急務」と地域の人は訴えています。


 「撤去だけで業者に頼むと150万円はかかると聞きました」。絹さやなどの生産農業の笠間孝雄さん(70)は、風圧でビニールハウスが倒壊し、土壌消毒を済ませ、種をまくだけだった畑でぼう然としていました。一方、風に強いビニールハウス設置には530万円かかります。4分の3が都の補助金、町が8分の1を負担するため、自己負担60数万円で更新できますが、「この状況での自己負担は厳しい」とさらなる支援の要望がありました。

支援拡充へ町長と懇談

 山添氏らは三辻利弘大島町長と懇談。町長は「6年前の台風の土石流被害から完全に立ち直っていないうちに今回の被害を受けました。努力しているが、被害の全容をつかむのが大変です。道路の問題もあるので土木技師派遣を都に要望中」と語りました。その上で、住めない住宅が28棟(19日現在)あり、町営住宅など7戸を提供できることなどを明らかにしました。
 三辻町長によると、都から7人の職員が大島町で住宅の調査に従事しているといいます。山添氏は「住民からはもっと早く対応して欲しい。情報を確実に伝えて欲しい」などの声があることを伝え、国の働きかけを強めたい旨を発言。とくとめ、米倉両氏は「都に町の要望を伝える。一緒に頑張りましょう」と激励しました。

島しょ被害対策急げ 共産党都議団が第2次申し入れ

 日本共産党都議団は17日、台風15号による島しょ地域の被害対策で、第2次申し入れを小池百合子知事に行いました。第一次申し入れ(10日)以降の調査で、被害の大きさ、重大さがいっそう明らかになったためとしています。小池知事は「申し入れは受け止めさせていただきます。国にも働きかけていきます」と答えました。
 申し入れ内容は①被害対策を急ぐための補正予算編成②家屋損壊の被災者に対する再建・除却に対する助成制度の抜本的拡充③建設業者の受け入れに対する交通費や滞在費の補助④都立大島海洋国際高校の復旧を急ぐ⑤農漁業等の被害については、中長期的な損害補償を行う。農地の整地や魚礁の再生などの必要な支援⑥島しょ地域の町村の要望を聞き、職員派遣の強化、要請を最大限応える─の6項目。