国政に声を届け抜く先頭に 広がりと希望感じた参院選

 日本共産党の吉良よし子参院議員は参院選(7月20日投票)の東京選挙区で、3期目の当選を果たしました。1日には臨時国会が始まり、同党の参院議員団の団長に就任しました。吉良さんに今期の決意をインタビューしました。
(荒金哲 写真=五味明憲)

―参議院の議員団長に就任されました。
 3期目を6年の任期で勝ち取ることができました。まずは支援していただいた多くのみなさんにお礼を申し上げます。
 議員団長は、非常に重責だと感じています。特に今回の選挙では、議員団全体で7議席に減りました。失った議席、届かなかった議席の分も声を届け抜くため、議員団一丸となって取り組む、その先頭に立つ決意です。
 選挙を通じて痛感しているのは、共産党の議席の意義や、議員団が果たしてきた役割が、多くの人に伝えきれていなかったことです。さらに今回、議席が減ったことで、参院での本会議質問の機会がほぼ、なくなってしまいます。議場では発言できなくても、参院の議員団で、どういう仕事をしているのか、皆さんに伝えていく努力も、団長として、新たなチャレンジも含めて工夫していきたいと思っています。

僕たちの層も、と
 ―参院選を振り返って、の感想は。
 6年間の任期が得られるギリギリ6位での当選ではありましたが、出口調査で女性と無党派層では1位の得票だったと報じられています。各地の演説でも、若い方たち、多くの女性たちが立ち止まり話を聞いてくれていることを感じていました。
 印象的だったのが、赤ちゃんや子どもを連れたパパ世代が、じっと演説を聞いてくれる姿をあちこちで見かけたことです。その一人は「僕たちみたいな層も支持しているんだと伝えたくて来ました」と声をかけてくれました。
 ボランティアの人たちも、のべ900人以上が駆けつけてくれて、3年前の700人台から大きく増えました。街頭演説でも、ボランティアの人たちがビラまきやプラカードで盛り上げてくれて、勇気づけられました。
 スタッフがデザインしてくれた赤と白を基調としたプラカードがとても良くて、それをみんなで掲げると、明るく若々しい雰囲気になって、若い世代も立ち止まって聞きやすい場がつくれたと思います。多くの人に押し上げていただき、さまざまな〝広がり〞を実感した選挙で、大きな希望を感じています。

救われたと号泣し
 ―共感や反響が特に強かった訴えは?
 やはり「差別と分断を許さない」ことです。外国籍の人たちなどへのデマで、憎悪と差別をあおる候補者、政党が続出する選挙戦になるとは思いもよらなかったことです。
 多くの人たちが心を痛めて、駆けつけてくれました。新宿駅南口での最後の演説では、隣で排外主義的な主張をする無所属候補者が演説していました。若い女性に声をかけた時、「(あちらの演説を聞いて)怖かったんです。こちらに来て救われました」と号泣する姿が印象的でした。この場で私が演説できて、本当に良かったと思いました。
 その後、駅前で最後のスタンディングをしているときも、「差別を許さない政治にしましょう」と声をかけると、手をあげたり、親指を立てて賛同を表してくれる人たちが、たくさんいました。
 参政党などに共感する人たちの多くも、大本には生活の苦しさや閉塞感があって、それを何とかしたいという思いがあるのだと感じています。
 今の生活が苦しいのは、自民党と公明党の政治が悪かったからこそ、です。生活が苦しい、何とかしてほしいという声を、共産党に、吉良に届けてほしい、国民の苦難軽減のために100年間取り組んできた共産党は、必ずその声を国会に届けるし、その実現まであきらめないんだということを、どの演説でも訴えました。
 一番、多くの人が立ち止まってくれたのも、そこでした。単に差別や分断に反対するだけではなく、その苦しみを取り除く政治を一緒につくろうという訴えが、共感されたんだと思います。
 ただ、選挙戦が進むにつれ、あたかもこうした差別の問題がメーンテーマのように描かれ、大事な争点であるはずの、暮らしの問題や、消費税、学費、気候危機などで、政治をどう変えるのかが、後景に追いやられてしまうような状況が生まれた。そのことには、悔しさを感じています。

登録数が1万人に
 ―ユーチューブの吉良チャンネルの登録者数が、選挙中に目標だった1万人を突破しました。
 多くの人に登録いただき、本当にありがとうございます。参院選前にもいろいろな動画を発信していたのですが、じわりじわりとしか登録者数が増えませんでした。公示日時点で、ようやく6千人くらいだったのが、投票日までに1万人に到達できたのは、本当に大きな力になりました。
 特に、登録者数が伸びるのに役立ったのが、毎日、活動の終了後に「今日もおつかれさまライブ」として生配信をしたことでした。実は、これも事前に決めていたことではなくて、ライブをするたびに、後からの視聴を含めて、2千回とか見られることが分かって、「これで行こう」と毎日、発信することにしたんです。
 ―作戦も含めて走りながら、ですね(笑)。
 試行錯誤の連続でした(笑)。SNSでもう一つ大事だったのが、選挙前に、国会での実績などを動画にして発信してきたことの蓄積でした。
 例えば、今回、文科省が私立大学の入学金の負担軽減を求める通知を出した際も、すぐにその問題を質問した時の動画を紹介できました。様々なテーマで、単に「私が繰り返し取り上げてきた」というだけではなく、その様子を数分間にまとめた動画を合わせて紹介することで、多くの人に拡散される力になりました。
 3回目の参院選でしたが、演説のライブ配信や動画の拡散など、今回ほど動画中心の選挙戦になったのは、初めてです。その選挙で、吉良チャンネルの登録者数を広げながらたたかえたのは、本当に力になったと思います。1万人の登録者数というのは、SNSでデマや差別の主張を広げている他党の党首などに比べて、まだまだの数字ですが、一定の拡散力を持って〝たたかえる〞ステージには立つことができたかな、と思います。その力を今後の活動にも生かしていきます。

命と暮らしを守るため
吉良よし子さんに聞く

 ―さっそくさまざまな分野で活動を始めておられます。3期目の決意を。
 常任委員会は、引き続き文部科学委員会を担当します。いま、起きていることでいうと、神宮外苑の再開発の問題です。秩父宮ラグビー場を移転し、神宮球場と入れ替えるという計画で、秩父宮ラグビー場は準国有財産にあたり、財産処分するには、文科相の認可が必要です。いよいよ国の姿勢が問われる段階で、絶対に認可するなと求めていきます。
 また、学生のみなさんと声を上げているのが、博士課程の学生の生活支援をする「JSTスプリング」事業の対象を、文科省が日本人に限定しようとしている問題です。文科省が差別や排外主義を助長するのかと、怒りの声が上がっています。
 選挙のなかで訴えてきた、入学金制度の廃止と学費無償化、消費税減税の実現、医療費削減のストップなど、命と暮らし、人権を守り抜く政治の実現、そして、被爆80年の年に日本が核兵器廃絶の先頭に立つことなど、寄せられたさまざまな声を国政に届け抜くために、みなさんと全力で頑張っていきます。

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