「絶望しかない」増税制度 初の路上宣伝

 インボイス制度(適格請求書等保存方式)が昨年10月から強行され、初の確定申告を直前に控えた11日、インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)は、同制度の中止・廃止を求め、新宿駅東南口広場で初めての街頭宣伝を行いました。

 税理士やタレント、文筆家、映像クリエイター、劇作家、書道家など、多彩な職種の約20人がリレースピーチ。「インボイスも、裏金政治もいらない!!」と書かれたパネルを掲げて通行人にアピールし、請願署名やシールアンケートにも取り組みました。
 同日、山形、群馬、愛知、大阪の4府県でも、インボイス制度への抗議行動を実施しました。
 同会は昨年9月、国内最多となる54万人超えのオンライン署名を岸田文雄首相の秘書に手渡しで提出。現在、署名数は56万5千人に達し、次なる目標は100万人です。
 同会によるインボイス制度開始一カ月後の緊急意識調査(集計期間2023年10月20~31日)には、約3000人が回答。「子どもをつくらなくて本当に良かった」「業務量が安定せず、見通しが立たない」「今後の値上げ、さらなる増税を考えると吐き気がする」「毎日いつ自殺するかを考えるようになった」など、将来を悲観し、絶望のふちに立たされている声が散見されました。

豊かな生活壊す制度
 ライターの阿部伸氏が、「初めて路上で開催したのは、これまで声が届かなかった人に届けたいから」と開会あいさつ。ドラムのリズムをバックに、緊急意識調査に寄せられた悲痛な声を紹介し、「政府に問いたい。これが本当に穏やかな船出でしょうか」と声を振り絞りました。
 タレントのラサール石井氏は、「国民には増税、自民党は脱税」と自民党の裏金問題に言及。「この国のかじを取っているのは皆さん一人一人。選挙は人口の1%でひっくり返ることもある。声を上げて頑張ろう」と訴え。東京土建の副委員長で内装業の石川信一氏は、「免税業者の仲間に、インボイスの登録をしろとは言わない決断をした」と決意を示しました。
 育児中でインボイス制度を考える演劇人の会の広瀬綾氏は、「子どもの未来、演劇業界にも多大な影響が出る。演劇も子育ても、一人ではできない。分断をあおり、負担を強いる政府のやり方に疑問を抱く」と発言。神田どんぶり勘定事務所代表取締役の神田知宜税理士は、「インボイス制度は消費税の単なる増税で、さらなる消費税増税の下準備をするための制度」であり、「インボイスがなくなれば、消費税廃止の道筋が見えてくる」と説明しました。
 大学生のNear氏は現状を鑑み、「学生が希望を持てると思うか。絶望しかない」と声を張り、「一番恐れていることは、職業選択の幅が狭まること。多くの人の努力や未来を、税制で潰さないで」と強く訴えました。劇作家の丸山聡氏は、「文化や芸術の発展を阻害し、豊かな生活を壊す制度」だと批判。聴衆と一緒に「STOP!インボイス」と声を上げました。
 署名に協力した会社員の女性(47)は、「免税業者が廃業に追いやられ、活躍できなくなる。日本の未来を考えると中止しかない」と語りました。
 多くの通行人が足を止めてスピーチに耳を傾け、2時間で286人が署名。シールアンケートは、インボイス制度に「賛成」2人、「反対」66人、「わからない・知らない」4人という結果になりました。