東京民報社代表取締役の和泉尚美さん(前日本共産党都議団幹事長)が、不定期連載で都政と都議会をウオッチします。今回、対談するのは、第3回定例都議会(9月18日〜10月8日)の代表質問に立った、原田あきら都議(杉並区選出)です。
第3回定例議会を振り返る

補正予算出さず
和泉 第3回定例都議会を振り返って、どうですか。
原田 一番、驚いたのは、補正予算を出さなかったことです。小池知事はとにかく都民の暮らしに無関心なんですね。
和泉 10月1日から、さまざまな商品が値上げされ、生活の苦しさが増しているのに、そういう都民の姿は見えていないということでしょう。
原田 都の税収は毎年、過去最高を更新しています。この2年で約1兆円もの税収増です。なぜ苦しんでいる商店街や業者、職人、生活する人たちのために回さないのか。私たちは、東京アプリ生活応援事業で1万1千ポイントをもらえない方たちへの現金給付、水道料金の基本料無償化の継続、電気代・ガス代への補助、中小企業の賃上げ支援、国民健康保険の負担軽減、ゼロゼロ融資などを実施することを求めました。
和泉 税金が果たすべき役割は、所得の再分配なんだという原則が、まったく実践されていない。小池都政の10年間の根本的な問題の一つですね。
新たな都政の闇
原田 証券金融大手のSBIホールディングスなどが、米ラスベガスで話題の巨大ドームシアター「スフィア」の日本建設計画を今年3月に発表しました。しかし、候補地となる都立潮風公園やその周辺は、大半が都有地です。都の承諾もない発表など本来あり得ず、都政がどのように関わったのか、きわめて重大な問題として代表質問で取り上げました。
和泉 ヤジがすごかったですね(笑)。SBIホールディングスがお台場へのスフィア誘致を発表し、都議団がこの間、追及してきましたが、都は事業者が勝手に発表したことという立場でした。しかし、政策企画、都市整備、建設、港湾の4局の部長が事業者と会っていた。
原田 しかも、会っていたのは、都庁の第二庁舎の会議室です。事業者がスフィアの構想を発表した時の資料を見ると、どう見ても都立潮風公園が敷地になっている、こういった民間のもうけのための事業に、都立公園を提供していいのか、というところから私たちの追及は始まりました。さらに、都民ファーストの会が、事業者の会見の数日前に、スフィア誘致の中心を担っている副会長を呼んで、学習会を開いていたことも、代表質問で明らかにしました。ヤジもすごかったですし、他党議員も「えー」という顔で聞いていました。
和泉 しかも、部長級が4人も会っていながら、どういう話があったのか、公文書すら残していなかった。あり得ないことです。
原田 「具体的な内容がないから公文書を作成しなかった」と答弁しましたが、初めから表に出さない、知事が関わる「秘密案件」だったとしか考えられません。わが党は引き続き「新たな都政の闇」の全容解明に取り組みます。
健全な成長だと
和泉 都は、委員会の答弁では、カジノの誘致のメリットは、東京の経済の健全な成長だと言ったそうですね。
原田 2017年に臨海開発関連の部署が民間シンクタンクに委託してまとめたカジノ誘致に関する調査には、日本人も含めて、カジノに来てもらわないと経営が成り立たないと、はっきりと書いています。日本人にギャンブル依存症を広げ、自殺や生活の破たんが増えていくような方向を、「健全な経済成長」と言ってしまう。非常に重たいことです。
非核宣言を否定
和泉 この間、都議団の代表質問は、冒頭に平和の問題を取り上げています。知事が、都として非核平和都市宣言を「行う考えはない」と、また答弁しました。本当にひどいことです。
原田 都民の安全、安心を守るのは都の責任と言いながら、出していないのは5都県となった非核平和都市宣言は明確に否定する。知事の姿勢が、はっきり表れました。
和泉 国会議員時代も、小池知事は核武装に言及しています。安全保障政策は、高市政権と軌を一にしていますね。
原田 防衛産業、軍事産業を、もうけの対象にしようとしていることも高市首相と重なります。例えば、軍事転用可能なドローンを開発するスタートアップ企業に、至れりつくせりの支援をしようとしています。
和泉 都は核シェルター協会の求めに応じて、麻布十番や八重洲に地下シェルターをつくる計画ですね。
原田 都議団の独自調査によると、協会が開いたフォーラムでは、小池知事の祝辞が紹介され、自民党国会議員は、これはビジネスチャンスだとあけすけに語っていたそうです。
和泉 核攻撃を想定するのではなく、戦争を起こさない努力こそするべきです。東京が非核平和都市宣言をして、核兵器をなくす立場に立つことこそ、都民の命を守る道ですよね。なのに、その核使用の危機をビジネスチャンスととらえている。先ほどのカジノの問題も多くの都民の人生を壊すことにつながるギャンブルを「健全な経済発展」と言ってしまう。ここに小池都政の本質がよく表れています。
樹木の機能、初めて認める
比率引き上げを政策目標に
和泉 第3回定例会を見ていても、小池都政の矛盾や問題点が、さまざま分野で出ていますが、共産党都議団以外の各党が、チェック機能を果たしていません。
原田 都議団の大きな強みは、「現場に行く」ことですよね。例えば、都が「防災対策で必要」と言えば、他党の議員はそれなら良いか、となるのでしょうが、現場に行き、住民や専門家の話を聞くと、もっと他にやるべきことがあったり、都がやるべきことをやっていないというおかしさに気づくことができます。
和泉 原田さんは長年、まちづくりなどのハード分野を専門的に取り組んできました。今回の代表質問でも、多く取り上げましたね。
原田 住宅費の高騰を招いている住宅投機について都が初めて「投機的取引は好ましくない。抑制に必要な対策を検討していく」という重要な答弁をしました。その一方で、投機につながる都市再開発は相変わらず推進しているという問題はあります。
また、都市の環境を守るうえでの樹木の大切さをずっと訴えてきましたが、今回、都は初めて、樹木には「気温上昇の抑制や防災力の向上など、多面的な機能がある」と認める答弁をしました。樹冠被覆率(地域において樹木に覆われた土地の比率)を引き上げることを、目標を持って政策に位置付けるべきです。
各地で問題になっているデータセンター建設をめぐっては、他の党も今回、代表質問で取り上げました。これだけ問題が、各地で噴き出すなかで、触れざるを得なくなっているということです。
和泉 都議団が現場に行き、地域の人たちと一緒に声をあげる、その力で都政を切り開いていることを、実感する定例会でした。
原田 小池都政のさまざまな問題点とともに、都民の運動が新しい良い方向の芽を生み出している。「危機と希望のせめぎ合い」を、都政の現場で強く感じます。
和泉 これから決算特別委員会ですね。
原田 私は公営企業の決算委員です。
和泉 税金の使い方をチェックする重要な場です。ぜひ、がんばってください。

