小池百合子知事が就任して10年が経ちました。都政はどう変わり、変わらなかったのは何か―。小池知事が「都政大改革の一丁目一番地」と位置づけた情報公開や石原都政から続く大型開発を見ました。

「都政改革で最も重要なことといいますのは、徹底した情報公開だと思っております」。初当選後、初めての都庁記者会見(2016年8月)で、小池知事は、きっぱりと言いました。
自民党の国会議員で閣僚にまで就いた自民党の小池氏。2016年の初出馬となる都知事選で増田寛也元総務相を推した自民党都連から推薦が得られないもと、同党都連や都議会自民党の政治手法を「ブラックボックス」と厳しく批判し、古い権力に立ち向かう改革を担う政治家としてのイメージを作り上げ、勝利に結びつけました。
小池知事が初めて編成した2017年度当初予算は、保育園の待機児解消の推進や年収760万円未満世帯の私立高校生の授業料実質無償化(現在は所得制限なし)、商店街振興の新規事業や中小企業支援の予算など都民施策を増額。加えて大型道路などインフラ整備予算については今後「見直すものは見直す」と明言し、これまでの自民党都政とは一線を画すかに見えました。
築地は守るはずが
共産党都議団は、外環道や特定整備路線など大型道路や開発予算に課題はあるとしながらも、共産党も求めていた都民要求の前進を評価し、予算案に賛成しました。
都知事選で一大争点となった築地市場の移転問題では、土壌汚染対策の盛り土がなかったことや、汚染対策後も地下水から環境基準を超える深刻な汚染が検出されるなど、食の安全を脅かす事態が日本共産党の活躍もあって、相次ぎ発覚しました。
「立ち止まって考える」としていた小池知事は豊洲移転を延期。しかし、「築地は守る、豊洲は生かす」(2017年6月)と言い、安全対策の課題は残したまま豊洲市場は開場することになります。ただ豊洲移転の基本方針を表明した際、築地跡地にも市場機能を残す「食のテーマパーク」構想を打ち出し、市場関係者らは期待を寄せました。
ところが2019年1月に都が新たに公表した「築地まちづくり方針(素案)」には、この構想は盛り込まれませんでした。そして25年3月に決まった「築地地区まちづくり事業」は、約9000億円を投じ、約19万平方㍍の広大な敷地に国際会議場を核とした計9棟の施設を建てる計画に。三井不動産を代表企業とする「特別目的会社」には、トヨタ不動産、読売新聞グループ本社、鹿島、清水建設、竹中工務店、日建設計、パシフィックコンサルタンツ、朝日新聞社、トヨタ自動車といった大企業が名を連ねました。
大企業優先の大型開発は築地市場跡地に限らず、神宮外苑再開発など都内各地で進められています。2026年度予算案には、築地市場跡地のほか、新宿駅前の再開発などに1493億円(27年度以降も含む)、東京外環道など大型道路建設に548億円が投じられています。日本共産党が10年前に指摘した問題は、10年の時を経ても「財界ファースト」という小池都政の基本姿勢として問われ続けています。
情報は闇の中に
小池知事の金看板「情報公開は都政大改革の1丁目1番地」は、どうなったのでしょうか。
小池知事就任前の直近2人の知事が、「政治とカネ」にまつわる不祥事で辞職したことを受けて、小池知事は情報公開による都政の見える化を訴え、支持を広げました。「情報公開を通じ、都政への信頼回復につなげていきたい」(職員への訓示)とも語っていました。
現実はどうか。例えば本来開発が規制される都市計画公園の神宮外苑での再開発を巡っては、自民党政治家の関与のもと行政が歪められた疑惑があるものの、まともな情報が開示されず闇の中、築地再開発も同様です。
IR(カジノ)の誘致を巡る都の動きも同様です。証券会社大手の、お台場の巨大シアター建設計画を巡って、事業者の面会に政策企画局、建設局、港湾局、都市整備局の部長4人が揃って出席したのに、本来残すべき記録が情報公開請求で「不存在」とされたのです。共産党都議団の追及に都は「内容が具体的ではなく、その後の動きもないため」と、ごまかしました。
カジノ誘致の〝お膳立て〞との疑惑が指摘される、お台場(港区)に巨大噴水「東京アクアシンフォニー」を建設した経過も不透明なままです。こうした問題は一例にすぎず、多くの重要課題でまともな情報開示がされず、今の都政こそ「ブラックボックス」との批判が広がっています。
共産党提案力
都政を動かす
小池知事が初当選した翌年(2017年)の都議選(定数127)で日本共産党都議団は17議席から19議席へ躍進し、野党第一党に。その後の21年の都議選でも19議席を維持しました。
共産党都議団は都議会野党第1党として都政を厳しくチェックするとともに、条例案の提出など政策提案を行い、都民の運動と連携し、都議会での共同を広げるなかで都政を動かしてきました。
例えば昨年6月の都議会で決まった水道基本料金の4カ月間無償化。共産党都議団が繰り返し負担軽減を求めてきたもので、3月議会でも10%軽減を提案、4月にも10%値下げと補正予算編成を求めました。フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんは「元は共産党のアイデア」「小池百合子知事パクッたな」と動画配信サイトで発信し話題になりました。
学校給食無償化やシルバーパスの負担軽減、補聴器購入補助なども、水道料金軽減と同様の構図で、小池知事や都議会の多数を握る都ファや自民、公明などが後ろ向きの姿勢を示す中でも、都政を動かしています。
高市政権のもとで都民生活が圧迫され、「財界ファースト」都政の闇が深まるなか、日本共産党都議団の果たす役割はいっそう高まっています。
