長期計画 「都民の暮らしに向き合え」

都議会本会議 とや都議が代表質問
 都議会は9日に代表質問、10日には一般質問を行いました。代表質問には日本共産党から、とや英津子都議、一般質問には原のり子都議が立ちました。
 とや都議は羽田空港の新飛行ルート問題、カジノを含む統合型リゾートIRの誘致問題について、取り上げた後、1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会の成功に向けた提案を①暑さ対策②知事の公約でもある経費の縮減・透明化③平和と人権を守る社会を目指す大会にする④スポーツ・文化の振興を図る─の4つの柱にそって行いました。

障害者スポーツ振興
 とや都議はまた、障害者スポーツへの支援を、パラリンピック後も継続して強化することを求めました。潮田勉オリンピック・パラリンピック準備局長は「障害者スポーツをレガシーとして根付かせるよう取り組んでいく」と答弁。
聴覚障害者団体が要望している聴覚障害者のパラリンピックであるデフリンピックの東京開催の検討を求めたのに対しては「パラリンピック以外の国際的な障害者スポーツ大会に関する調査を実施している」と、今後につながる答弁をしました。

若者支援
 とや都議は「文化活動の推進は、オリンピックの重要な使命」だと強調。若者が芸術文化に触れる機会を増やすことの重要性についてただすとともに、都立美術館などの観覧料の引き下げを提案。
 小池知事は芸術文化に触れる機会を増やすことは「大切だ」とし、「豊かな心を持つ若い世代の成長を支えていく」と答弁しました。浜佳葉子生活文化局長は、都美術館のクリムト展などで高校・大学生などの無料期間を設けたところ、1日当たりの観覧者数が通常の2倍を超えたことを明らかにしました。

長期計画
 知事の所信表明には、第2回定例会(6月)に続き、地方自治体の一番の使命である「福祉」という言葉が一言もありませんでした。
また、知事が8月に発表した長期計画「『未来の東京』への論点」には、都民の深刻な問題になっている都営住宅の不足や国民健康保険料(税)の重い負担をどうするかなどについての言及はなく、福祉、暮らし、教育など、都民生活の現場で焦点になっている問題を避けています。

 とや都議は、こうした問題を指摘した上で「長期計画は都民の暮らしのリアルな実態から出発し、都民が具体的に困っていることを解決し、希望が持てるものに」と求めました。
小池知事は「『人が輝く』をキーワードのひとつに、生活者の視点も踏まえた検討を進め、都民一人ひとりが希望をもち安心して生活を送る東京の姿を描いていく」と答弁しました。

高齢者福祉
 高齢者をめぐり、孤立や貧困、低年金、介護難民などが社会問題になっているのに、小池都政のもとで高齢者福祉の予算がほとんど増えていません。とや都議は同予算の増額・拡充を要求。特別養護老人ホームを2025年度までに6万2000人分整備する都の方針について、実現には年間2000人分の増設が必要だと指摘。ところが昨年度は1123人分しか増えていないとし、支援拡充などを提案しました。
 小池知事は「一人暮らしの高齢者等への支援も含め、今後ともさまざまな高齢者施策を展開していく」と答弁。内藤淳・福祉保健局長は「今年度からは区市町村の整備用地の確保に向けて新たな支援を開始」したとし、「今後ともニーズを踏まえながら特別養護老人ホームの整備を進めていく」と答えました。

待機児童対策

 とや都議は、知事の公約である今年度末までの待機児童ゼロの実現に向けて、どう取り組むのかと質問。小池知事は「今年度末までの待機児童解消に向け、区市町村が多様な保育サービスの拡充に取り組めるよう支援していく」と答弁しました。
 また10月からの幼児教育・保育無償化に伴う給食食材費の実費徴収について、ゼロから月額7500円まで大きな差が生じ、「知事が掲げた多摩格差ゼロ」にも逆行すると指摘。内藤・福祉保健局長は「区市町村が地域の実情に応じて対応する」と答え、都として主体的に取り組む姿勢を示しませんでした。

成果、貴重な前進も 私立学費助成拡充「検討していく」
 代表質問の論戦で、貴重な前進も生まれています。私立高校生の学費軽減策もその一つ。小池知事は私立高校生の学費負担軽減について、対象世帯の拡大など都独自の制度拡充を「検討していく」と表明しました。
 とや都議が、国の制度拡充により都の制度のさらなる拡充が期待されるとして、都の制度の対象を年収910万円まで拡充するよう求めたのに対し、答えたもの。
 国は来年度、年収590万円未満世帯の私立高校生への就学支援金の上限額を「私立高校の平均授業料を勘案した水準」まで引き上げる方針。福井県はこれを受けて、独自の拡充を決めました。都は現在、年収760万円未満世帯に「都の私立高校の平均授業料」45万6000円を上限に、国の制度に上乗せして補助しています。
 とや都議は、「入学金も補助を行うべきだ」と求めました。

児童虐待対策
 虐待などの理由で児童相談所(児相)に保護された子どもたちが最初に入る「一時保護所」について第三者委員会は、私語禁止など保護所内で不合理なルールや子どもに対する不適切な対応があることを指摘し、改善を求める意見書を提出しました。
 とや都議は意見書の指摘を受けた改善をどう取り組むのかと質問。内藤・福祉保健局長は「意見書のご指摘については真摯に受け止めている」と答弁し、改善していくと表明。児童虐待防止条例に明記された「子どもは権利の主体」という立場を、一時保護所においても守るよう求めたのに対しては、「あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある」と答えました。

防災対策
 防災対策では、とや都議が「災害関連死ゼロプラン」を都として策定するよう、共産党都議団として初めて提案。遠藤雅彦・総務局長は「災害関連死を含め、災害による犠牲者を一人でも減らすことは重要な課題」だと認める答弁をしました。
 熊本地震では長期の避難生活の中で、直接の災害犠牲者の5倍を超える犠牲者が出ています。