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公社住宅建て替え 住民「戻れぬ」

制度の欠陥あらわ 東京・中野区

 家賃の高騰は、住み慣れたわが家から人々を追い出しています。東京都中野区では公社住宅の建て替えによって、住民が年内にも立ち退かされようとしています。公的住宅さえも「住めない住宅」になるのか。制度の欠陥があらわになっています。(芦川章子)


緑に包まれた鷺宮西住宅=東京都中野区(「しんぶん赤旗」提供)

 西武新宿線・鷺ノ宮(さぎのみや)駅から約400メートル。緑に囲まれた川沿いの土地に団地が並びます。東京都住宅供給公社(JKK東京)が管理する鷺宮西住宅です。19棟、686戸あります。
 「このままでは、住まいのセーフティーネット(安全網)が崩壊します」。鷺宮西住宅自治会の前会長で建替え対策委員会の山本徳太郎代表の口調に怒りがにじみます。

家賃は2・5倍へ

 公社は2024年5月の住民説明会で団地の建て替えを発表。2K(35平方メートル)の家賃は、現在の5万1400円からおおよそ13万円へと2・5倍にも跳ね上がる予定です。
 自治会が行った住民アンケートによると、70~90代が76%。「家賃が高すぎて戻れない」「高齢・健康上の理由で移転が困難」といった不安の声が続出。公社の全面建て替え案に賛成は、わずか1・5%です。
 公社の家賃は、近隣の同じような民間賃貸に合わせる「近傍同種」です。都市部の家賃は、規制緩和による再開発、投機目的の住宅取得などによって高騰。中野区の平均家賃は、大手不動産サイトによると2Kで13万2000円です。
 公社は都が100%出資する特別法人です。山本代表は「年金生活者が支払える水準を超えています。公的住宅に市場家賃を持ち込むこと自体がおかしい」と断じます。
 鷺宮西住宅に03年に導入されたのが定期借家です。3年などと期間を限る賃貸手法で、契約期限が満了すると無条件で解約になります。通常の契約では、家主がその借家に住むなどの「正当な事由」がないと解約はできません。法改悪で00年に施行されました。
 公社は03年以前に入居した住民に対しては住み替え支援をしていますが、定借の住民にはありません。10年前に入居した山本代表は、立ち退きの可能性について「契約時にはまったく説明がなかった。知っていたら入居しなかった。10年、20年と再契約をしてきた住民も多い」。年末が契約期限です。「子どもの学校をかえたくない」といった切実な声も寄せられています。
 住民は公社や区へ要請や質問をくり返しています。住み続けながら改修するリニューアルや一部建て替えを提案しています。

耐震補強は済み

 自治会の田中一政副会長は「公社は老朽化を理由としていますが、耐震補強は済んでいます。全面建て替えの根拠も示されていません。リニューアル案は全面建て替えに比べ、費用も低く、工期も短い。多くの住民が賛同しています。住み続けられる住宅を実現するため、対話を求めたい」

 日本共産党の羽鳥だいすけ区議は「計画と住民の願いには大きな隔たりがあります。公社も都も住民が住み続けられる方策を検討すべきです」と話します。

(「しんぶん赤旗」2026年10月10日付より)

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