困窮者支援 住宅を最優先で 福手都議が実態示し提起

 都の2024年度予算案を小池百合子知事の出席のもとで審議する予算特別委員会の2日目、13日は日本共産党からこの日2人目となる福手ゆう子都議が、14日は藤田りょうこ都議が質疑に立ちました。

 「住まいは生活の基盤。誰もが安心できる住まいを確保することが必要。住まいの確保を優先した『ハウジングファースト』の支援を行うべきだ」
 福手都議は格差と貧困が拡大する中、家賃が高い東京では経済的な困窮がすぐにホームレス化につながる実態を示し、住宅提供を最優先とする「ハウジングファースト」で、住まいの安定を図る支援を強めるよう小池知事に迫りました。
 知事は「住宅は生活の基盤で、都民の居住の安定を確保することが重要だ」と答えました。
 福手都議が「ハウジングファースト」を強調するのは、都内でのホームレスの人が生活保護を利用すると、多くの場合「無料低額宿泊所」に入れてしまうからです。これだと「無料低額宿泊所」に入れられた人が、劣悪な宿泊環境に耐えられずに路上生活に戻るケースが少なくないのです。
 一方、欧米ではこうした状況を受けて「ハウジングファースト」の取り組みが広がり、有効性が実証されています。日本の支援団体が行っている取り組みの中にも、路上と施設を20数回行き来した人がアパートを確保したことで、次のステップに進むことができた事例が生まれています。
 福手都議は、こうした成果を紹介した上で、兵庫県尼崎市が市営住宅の募集を停止している空き住戸を、支援団体が住宅支援に活用できるよう目的外使用を許可している施策をあげ、都としても同様の対応ができないか提起。あわせて都営住宅の新規建設、家賃補助の創設に踏み出すよう求めました。

貧困状態にある仮放免者支援を
 福手都議は、入国管理制度で施設に収容され「仮放免」された外国人が、深刻な貧困状態に置かれている問題について取り上げました。
 日本では難民申請が通らなかったなどで在留資格のない外国人は、原則として全員が裁判もなしに無期限で劣悪環境の収容施設に収容されます。一方、健康上の理由などで、いったん収容が解かれることがあります。「仮放免者」と言い、出身地で迫害を受けたり、政治的弾圧を受けるなど本来、難民認定されるべき人など、自国に帰ることのできない事情を抱えた人が含まれています。
 支援団体「北関東医療相談会」のアンケートによれば、働くことが禁止されているために無収入、年収ゼロが70%、医療機関を受診できないことがあるという人が84%にのぼるなど、「仮放免者」の経済的な困窮が明らかになっています。
 認識を問われた佐藤智秀福祉局長は「仮放免制度の運用は、国が行うもの」と答弁。福手都議は人権が守られない状況にあるのに、都は何もしようとしていないと批判。人権を守るために都営住宅の提供や、無料低額診療を実施する医療機関を増やすために、都独自の財政支援を行うなどの具体的対策を求めました。

朝鮮学校補助金早急に支給再開を
 福手都議は「都こども基本条例」第8条で、全ての子どもが学ぶ権利が尊重されるとあるのに、都内に10校ある朝鮮学校だけが「私立外国人学校教育運営費補助」が停止されている問題について、「条例に照らし合わせれば許されない」として、再開を強く求めました。
 この問題は石原慎太郎知事時代の2010年末に、拉致問題を理由に「都民の理解が得られない」として支給停止を決定。以来、24年間凍結され、学校経営が厳しくなった同学校では、保護者負担が重くなり、入学できない子どももいます。
 こども基本条例が成立後、支援者が始めた「ぼくたちをなかまはずれにしないで」との署名に、1万8000人余の賛同が寄せられ、この中には朝鮮学校の児童・生徒も含まれています。
 福手都議は「都は、この子どもたちの声を都政に反映させるべきだ」と迫りました。
 田中慎一子供政策連携室長は、こども基本条例に規定されている「子供」について、「全ての子供」だとする一方、施策の実施に当たっては、「施策の性質を踏まえて判断されるべきもの」として、外国籍の子が含まれるかどうかについて答弁を避けました。