子ども医療 全自治体で無料化を

多摩地域  自己負担なしは8市町村

 4月からスタートした東京都による18歳までの医療費助成の制度で、多摩地域の30自治体のうち、自主財源を使って所得制限をなくす方向なのは16市町村となることが、東京民報の調査で分かりました。通院1回200円の自己負担をなくすのは、8自治体です。23区では全自治体で所得制限なし、自己負担なしが実現しており、都内のどこで育つ子どもにも等しく18歳までの医療費無料化は、統一地方選の大きな焦点となっています。

所得制限なしは16自治体

住民の願い実現を

 日本共産党の各自治体の議員団は、住民の運動と連携して、多摩地域でも所得制限や一部自己負担のない18歳までの医療費無料化を求めてきました。
 多摩地域で4月から18歳まで所得制限をなくしたのは、11市、3町、1村(表)。さらに小金井市が10月からなくす方針です。また、通院1回200円の自己負担については、7自治体が18歳までなくしています。
 また、三鷹市は昨年10月から所得制限のない独自の助成制度を開始しており、さらに今年10月から自己負担もなくす予定です。
 武蔵野、日の出、檜原、奥多摩の各自治体は以前から、市の独自制度で所得制限も自己負担もない医療費助成を実現していました。
 都は2022年1月、所得制限と200円の自己負担がある形で、18歳まで医療費助成制度を拡充する方針を明らかにしました。これを受け、特別区の区長会は6月、23区全体で自主財源で上乗せすることで、所得制限なし、自己負担なしとすることを明らかにしました。他方で、多摩の自治体は財政力が特別区よりも弱いため、各自治体で対応が分かれています。

自公の妨害はねのけ
 子ども医療費の助成拡充は、都民の運動と、それと連携した共産党の議会論戦が、自民・公明などの妨害をはねのけて前進させてきたものです。
 東京での乳幼児の医療費無料化を求める運動は、1968年に新日本婦人の会(新婦人)が全国的な運動をよびかけるなかでスタート。日本共産党は各議会で質問や条例提案を繰り返してきました。
 1994年に初めて、都の制度として3歳未満の医療費助成が実現。97年の都議選で日本共産党が26議席への大躍進を果たす中で、2001年には小学校就学前まで都制度が拡充しました。
 これを受けて、区市町村でも無料化の対象を拡大する動きが広がります。2009年には都の制度が中学校卒業まで、入院は自己負担なし、通院は1回200円の窓口負担に前進しました。
 さらに、2013年、17年、21年と3連続で共産党が都議選で前進。繰り返し医療費助成の条例案を提案したことが大きな力になり、都による高校卒業までの医療費助成制度が実現しました。
 日本共産党都議団の条例提案に対し自民党、公明党は、「選挙目当てのパフォーマンス」(公明、06年10月)、「無責任なばらまき」(自民、08年6月)などと反対し、妨害を繰り返してきました。

国と都の実施求める
 日本共産党は、どの自治体で育つ子どもも医療を無料で受けられるよう、国や都による完全無償化の実現を迫っています。
 3月20日の参院予算委員会では、吉良よし子参院議員が、知事会も全国一律の制度を提言していることも示しながら、制度創設を求めました。加藤勝信厚労相は「無償化は医療費を大幅に増やすとの研究もある」などと答弁しました。
 また、都議会では新婦人都本部による自治体への支援を求める請願が2月に審議され、自民、公明などの多数で不採択となっています。
 日本共産党は、統一地方選の全員勝利で、都内全自治体で18歳まで医療費完全無料化を実現しようと呼びかけています。

18 歳までの医療費の無償化の条例提案について記者会見する日本
共産党都議団= 2021 年12 月3 日、新宿区