豊洲市場 粉じんに毒性のアンチモン等 都 重金属の調査拒否

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 「土壌・地下水の無害化」「築地は守る」など、市場移転をめぐる約束を次々反故にしてきた東京都。今度は豊洲市場(江東区)で働く人たちの健康被害が心配される「黒い粉じん」をめぐって、不誠実な対応が大きな問題になっています。日本共産党都議団が都議会予算特別委員会で追及しました。    (長沢宏幸)

予算特別委 共産党 和泉都議が追及
 「黒い粉じん」は昨年11月の開場後すぐに、市場内で話題にあがっていました。共産党都議団が市場で働く人たちの不安の声をもとに、調査と抜本対策を昨年12月議会で求めていました。ところが都はまともな調査も対策も取ってこなかったことが、予算特別委員会(12日)での同党都議団の追及で明らかになったのです。しかも「黒い粉じん」には毒性の高い重金属が含まれていたことも判明しました。
 粉じんは共産党都議団が昨年12月上旬、水産仲卸売場棟4階で採取したもの。渡辺泉・東京農工大学教授の分析によると、アンチモンが自然界の170倍(一般道の8.1倍)、カドミウムが同12倍(同4.8倍)など、重金属が高い濃度で含んでいることが分かりました。
 小型運搬車ターレのタイヤと路面がこすれて粉じんとなり、建物内に滞留したとみられます。アンチモンは長期的に吸い込むと気管支炎や肺炎、生殖障害、カドミウムは腎臓障害などを引き起こす可能性があります。
 和泉都議はこうした問題を指摘した上で、「知事には豊洲市場で働く方たちの健康を守る責任がある。ただちに調査し、実態を把握すべきだ」とただし、抜本的な対策を求めました。

測定対象に重金属なし

 小池百合子知事は「報告を受け適切に対応するよう指示している」とのべるだけでした。村松明典都中央卸売市場長は、法令に基づき大気中の浮遊物質を調査し、測定結果は「基準値以下」だから問題がないとの答弁を繰り返しました。
 しかし市場長がいう調査は、建築物衛生法が定める特定の建物に義務づけられている一般的なもので、測定対象に重金属は含まれていません。
 共産党の白石たみお都議は14日の予算特別委員会で、村松市場長のこの答弁を追及。「(調査は)重金属が入っているかどうかを調べるものではない。粉じんの調査分析をしていないことは明らかだ」と批判。和泉都議の追及をかわすためのごまかしの答弁だったことが浮き彫りになりました。
 白石都議は市場関係者の健康を守るために粉じんを調査し、万全の対策を講じるよう重ねて求めました。

「築地守る」公約違反を追及
 和泉都議は予算特別委員会(12日)で、「築地は守る」「市場機能を確保」の公約を破って、築地市場跡地(中央区)を国際会議場などにする方針素案を打ち出した小池知事に対し、「都民に謝罪し、市場機能を残すべきだ」と迫りました。
 和泉都議は水産仲卸業者でつくる「築地女将さん会」が知事宛の陳情書で「小池さんにだまされた」と訴えたことを紹介。小池知事が「大きな方向性は変わっていない」と強弁したのに対し、和泉都議は「市場で働く人にとって、市場に戻れることが一番の基本だ。公約を転換したことは明らかだ」と追及。小池知事は「築地に市場を整備することはない。豊洲市場が開場する前と後では事情が変わってくる」と居直りました。

国保均等割保険料軽減を
 和泉都議は重い負担が都民を苦しめる国民健康保険について取り上げ、都として軽減策を打ち出すよう求めました。
 国民健康保険料は、乳幼児をはじめ所得のない人を含む加入者全員に課す均等割保険料があります。23区では、この20年間に2倍近くに上がりました。
 和泉都議は、特別区長会が子どもの均等割軽減を都に要望していることを示して「都として子ども均等割軽減に踏み出すべきだ」と迫りました。
 内藤淳福祉保健局長は国に軽減措置を求めているとのべ、軽減の必要性は認めながら、都としての対応には言及しませんでした。