保健所体制の抜本強化を
精神障害者 家族の相談・支援めぐり 清水とし子都議
 「『殺される』と出ていった娘を迎えに行ったが、夜遅くまで説得しても帰宅を拒まれ、宿泊したホテルを娘は抜けだし午前3時半に警察に保護され、措置入院となった」。総括質疑(8日)で清水とし子都議(日野市選出)は、頼れるところのない精神障害者と家族の境遇について声を詰まらせ訴えました。
 精神障害者についての相談は、保健所が対応します。しかしコロナ禍で保健師の訪問がなくなったり、窓口が閉まる夜間や週末は家族だけで対応するしかなく、警察を呼ぶと措置入院(強制入院)が待っています。
 清水都議は「助けてほしくても相談できるところがない。24時間、365日、対応してほしい、保健所に来てほしいという家族の声は切実。保健所の相談、支援体制を強化すべきだ」と迫りました。
 西山智之・福祉保健局長は「都保健所は電話や来所、訪問などによる精神保健福祉相談を実施している。精神保健福祉センターでも各種相談に応じている」と答弁。清水都議は「いつでも駆けつけてくれるところはないということだ」と強調。日野市の保健所の復活をはじめ、保健所増設と感染拡大期にあっても本来業務が実施できるよう保健所の体制を抜本的に強化するよう、重ねて求めました。

保育所の検査 抜本拡充を
 清水都議は日野市の認可保育園で園児を虐待し、2月に元職員が逮捕された事件を巡る都の対応について質問。市が一緒に実地検査するよう都に相談したのに、都が1回目の特別指導検査を行ったのは10カ月後だったと指摘。都自身、虐待などの疑いがあれば「速やかに特別指導検査、特別立入調査を実施する」との方針を定めているとし、都の対応をただしました。西山福祉保健局長は「市と連携して対応している」と答えただけでした。
 清水都議は都の指導検査体制について、認可外も含め4447の対象施設に対応する常勤職員はわずか20人で、19年度の実地検査実施率が神奈川県の64・4%に対し、都は8・2%だったと告発(グラフ参照)。「都の検査体制を抜本的に拡充すべきだ」と求めました。
 清水都議はまた、都保健所の数や学校体育館のエアコン設置率を例に「区部と多摩地域で格差がある」と指摘。小池知事の「多摩格差ゼロ」の公約をあげ、保健所増設とエアコン設置補助の拡充を求めました。

独法化病院を直営に戻せ
「行政的医療後退が本質」 白石たみお都議
 白石たみお都議(品川区選出)は8日の総括質疑で、小池知事が昨年7月に強行した都立病院の独立行政法人化について検証。多摩総合医療センターが今年1月、行政的医療として重要な夜間救急専用のER(救急救命室)病棟の休止を検討した理由が、経営効率を最優先させたからではないかと追及しました。
 西山智之福祉保健局長が「医療安全の向上と職員の負担軽減だ」と答えたのに対し、白石都議は労働組合のアンケートでは、ER病棟休止で影響を受ける一般病棟の看護師256人中255人が休止に反対したと指摘しました(グラフ参照)。
 アンケートでは8割が「ミスや事故を起こす可能性がある」、7割が「休憩が取れない」と回答。「緊急入院患者は急変の恐れも高い。一般病棟で受けるのは非常に危険」「私たちには人として休むという権利すら与えられないのか」といった声も上がり、病院は休止を撤回しました。
 白石都議は病院経営陣がER病棟をなくそうとした理由について、収入を増やす「夜間配置加算取得」の要件(夜勤の3人体制)を満たすため、看護師を増やすのではなく2人夜勤体制のER病棟自体をなくすことだったと告発。「これこそが行政的医療を後退させ、経営効率を最優先にする独法化の本質だ」と指摘。行政的医療を守る責任を果たすため「病院を都立直営に戻すのが当たり前だ」と主張しました。
 白石都議はまた、看護師不足を解消し、医療現場の負担を減らすため、都立看護専門学校の完全無償化と定員増を提案しました。

新たな住宅困窮者出すな
都営住宅 承継厳格化見直し求める 尾崎あや子都議
 「親が亡くなり、3人の子どもは都営住宅を出ざるを得なくなった。下の2人は養護施設、長男は仕事がなくなり、自分が生まれ育った都営住宅のそばの公園でホームレスになった」。尾崎都議は、都営住宅の使用承継を原則配偶者にしか認めない制度が、新たな住宅困窮者を生み出している実態をあげ、改善を求めました。
 小池百合子知事は承継制度の厳格化について、「入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、国の通知等を踏まえ」たものだと答弁しました。
 同制度で承継が認められるのは配偶者以外では高齢者、障害者、病弱者と極めて限定的です。2021年に使用承継事由が発生し、22年9月末までに届出があった生活保護受給者世帯のうち、73件が退去になっています。
 日本共産党都議団が全ての都道府県と政令市の公営住宅の「入居承継」を調査した結果、生活保護受給者に承継を認めているのは1府14県、4市ありました。また「厳格化」していない自治体が多くあることや、「全ての同居人が未成年者の場合、あらかじめ後見人を定めた上で、未成年者のうち一人について承認する」(鳥取県)、「1回だけだが、子や孫への承継を認めるよう改正した」(大阪府)、「生活保護受給者を承継の要件にして、ケースバイケースの余地を残している」(鹿児島県)など、制度の厳格化を見直している自治体があることも分かりました。
 尾崎都議は「他県と比べても都は大変厳しい」と強調。ひとり親家庭で名義人の親の死去によって残された子どもが未成年であっても原則承継できないことも、事例を示して告発。都民の立ち場に立って承継制度の厳格化の見直しを検討すべきだと強く要望しました。

PFAS汚染調査
 尾崎都議は発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が、多摩地域の井戸水や水道水から検出されている問題について質問。排出源の特定や健康への影響調査を小池知事に迫りました。
 PFASは血液中濃度の国内基準がありません。都水道局はPFASの検出によって、井戸は7市の34本で取水を止めています。不安を強めた多摩地域の住民らが自主的に600人を目標に血液検査を行い、1月末に途中経過として87人の結果について記者会見で明らかにしました。
 尾崎都議は中間結果で、国分寺市の65人から2021年環境省モニタリング調査の3・5倍の血中PFAS濃度が検出されたことをあげ、「本来なら都が率先してやるべきだ」とのべ、血液検査を実施するよう要求しました。佐藤智秀・健康危機管理担当局長は「国の動向を注視する」と答えただけでした。
 尾崎都議は環境省の「対応手引」が、「排出源特定の調査」を推奨していると強調。米軍横田基地でPFASを含む泡消火剤を使っていたこと、都の21年の調査で基地周辺のモニタリング井戸から、暫定目標値の最高268倍という高濃度のPFASが検出され、基地が汚染源の可能性が高かったのに、都は調査をやめてしまったと指摘。その上で、モニタリング井戸の再調査や基地周辺の小学校、都立高校の土壌調査を求めました。