「都議会自民党」を巡る裏金問題を受けて設置された都議会政治倫理条例検討委員会は5月28日、政治資金パーティーが開かれた2019年当時の自民会派事務局長の鴫原浩氏が参考人として出席し、意見聴取が非公開で行われました。

鴫原氏に質問した日本共産党の白石たみお都議によると、鴫原氏は19年10月21日の都議会自民党総会に出席し、当時、同会派幹事長の鈴木章浩都議がパーティー券代金の取り扱いを説明し、ノルマ超過分の取り扱いについても「ご自由にどうぞ」と語ったと証言しました。
また日本共産党都議団が組織的に裏金づくりが行われたことを示すものだとして公表した「“飛躍のつどい”について 10月21日総会時幹事長説明」という内部文書について、「役員会で配られた」「検察から見せられた」と語り、存在を裏付ける証言をしました。
さらに「しんぶん赤旗」日曜版がスクープしたパーティー券の「追加配布リスト」についても、鴫原氏は自身も所持し、検察からも見せられたとし、「都議会自民党政調会の共有サーバーにある」と証言しました。このリストは都議会自民党が政治資金収支報告書への不記載の事実を認めた26人(うち現職都議16人)の他に、少なくとも現職国会議員や都議ら12人(故人を含む)が不記載だったことを示すものです。
自民党都議団はリストについて「怪文書」だとして、存在自体を認めていません。19年当時、会派幹事長で自身も裏金をつくっていた鈴木都議は、4月の参考人招致でノルマ超過分の政治資金収支報告書への不記載について「(報告書に)載せる載せないという話は一切したことがない」と述べ、組織的な裏金づくりを否定していました。
白石氏は「鴫原氏の証言は証拠能力が高い。都議会自民党のこれまでの説明が虚偽であった疑惑が強まった」と指摘。その上で、再招致を拒否した鈴木氏と小宮安里都議の再招致を改めて強く要求。立憲民主党、ミライ会議も再招致を求め、都民ファースト、公明党も反対しませんでした。
一方、自民党の川松真一朗都議は「鴫原氏が言っていることが全部正しい訳ではない」などと述べ、再招致に否定的な考えを繰り返しました。
白石都議は「どちらが正しいかを確認するためにも再招致が必要だ」と強調。委員会として再招致を求める方向で協議することになりました。

不記載が発覚した2019年12月の政治資金パーティーを巡って鴫原氏は、同委員会の文書質問に対する回答書(5月21日公表)で、同パーティーを前にした10月21日、都議1人当たりパーティー券100枚(200万円分)が渡され、うち50枚分100万円を所定の期日までに会計担当に納めるよう、当時の鈴木幹事長から「説明があった」と回答。
残りの50枚については「各議員の意向に委ねるとの発言があった」「さらに追加分については、会費の半分を納入するよう指示があった」と説明しました。
鴫原氏の証言は「しんぶん赤旗」日曜版や共産党都議団が入手した内部文書の内容とも一致し、その存在と併せて信憑(しんぴょう)性が裏付けられた形です。都議会自民党が説明してきた裏金議員の人数も金額も虚偽だった可能性が濃厚となり、リストを「怪文書」扱いにして逃げ切れる局面にはなくなりました。
鴫原氏の証言が正しくないというのならなおのこと、元幹事長の小宮安里都議が提出すると約束した資料を基に、自ら説明責任を果たすしかありません。