外国人が日本で経営者として事業を行う際に、在留資格を得るために必要な資本金を、高市政権が昨年10月に500万円から3000万円に引き上げたことを受け、有志の市民が13日、参院議員会館で集会を開きました。地域に愛されるエスニック料理店など、営業実態があるにもかかわらず在留資格が更新されず、店を閉じざるを得ないケースも出ているとして、外国人経営者を排除しないよう求めました。
経営・管理ビザめぐり集会

「子どもは日本生まれで日本語しか話せない。外国でしかないインドに帰国を強いられ、泣いている。日本のルールをずっと守って、頑張ってきて、家も買った。なのに突然、返れというのは、人道的なのか」
インド人のカレー店元経営者の涙ながらの訴えに、会場が静まり返りました。
男性は30年前に来日。当初は、短期間で帰るつもりでしたが、日本が気に入り、技能実習生から経営の在留資格に変え、カレー店を営んできました。しかし、2月に更新が認められず、閉店を余儀なくされ、出国の期限が22日に迫っているといいます。
「仲間や、商工会、お客さんに支えられて商売をやってきた。日本はどうしてしまったのか。人間の気持ちで考えてほしい。力を貸してほしい」と呼びかけました。
地域経済に悪影響
資本金の基準が引き上げられたのは、在留資格「経営・管理」のビザ。これまで資本金の基準が500万円だったため、外国料理店の経営者など、小規模零細事業者のかなりの部分が、このビザで日本で会社を経営していました。高市政権は昨年10月16日から、ペーパーカンパニー対策などを理由に、法律の審議を通さない省令改定で、必要な資本金を3千万円に引き上げたほか、1人以上の常勤職員を雇用することや、日本語の能力など、在留資格を得る基準を厳しくしました。
出入国在留管理庁は、すでに在留資格を持っている人に基準を適用するのは3年後から、と説明しています。しかし、院内集会の参加者からは、ビザの期間が大幅に短縮されたり、次の更新までに3千万円の資本金を準備するための計画を出すよう求められるなど、現場ではさまざまな影響がすでに出ているとの指摘が相次ぎました。
外国料理店を閉店の危機から守ろうと、「#推しエスニックといつまでも」を合言葉に、署名を呼びかけたライターの鶴ヶ島たろうさんは、署名がこの日までに5万4千人分を超えたことを報告。①既存事業者を一律の資本金基準で排除しない②経過処置3年間を延長する③改定が外国人経営の飲食店数や雇用にもたらす影響の調査―を求めていると紹介し、「地域経済にも大きな影響が出る。ぜひ多くの人に知ってほしい」と語りました。
水際作戦のように
現場の実態に詳しい人たちが、昨年10月以降の変化を語りました。
在留資格の手続きを専門的に行っている行政書士の山田恭永さんは、それまで1週間程度で審査が終わっていたのが、2カ月ほどかかるケースも出るなど、対応が非常に厳しくなっていると指摘。数時間にわたって申請書類を受け取らず、添付が難しい資料の提出を求めるなど、「生活保護の提出をあきらめさせる『水際作戦』のようなことが起きている。担当者によって、対応が違うなど、基準があいまいで、人の人生をふみにじっている」と告発しました。
ヘイトは社会壊す
外国人の経営者が多く集まる新宿区新大久保で長年、取材をしてきたジャーナリストの室橋裕和さんは、新大久保には韓国だけでなくさまざまな国籍の飲食店、翻訳業、送金業などが集まり、コミュニティを形成しており、多くが零細企業で、「経営・管理」ビザで経営している人も多いと紹介。「日本の電子決済システムや保険なども多く利用されており、日本経済に組み込まれ、貢献している。次々と廃業が起き、大資本しか残らなくなって街のエネルギーが失われる。誰が得するのか」と危惧を表しました。
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の鳥井一平共同代表は、資本金が3千万円以上の企業は、日本企業でもほとんどなく、総務省の統計でも、国内全体で8・7%にとどまると指摘。高市政権が進める外国人の非正規滞在者の強制送還や、在留手続きの手数料上限額大幅引き上げなどの政策もあげ、「昨年の参院選などで吹き荒れた排外主義の風潮に、政府も乗っかっている。これは『いじめ』なので、3千万円の基準には、何の根拠もない。ヘイト(外国人嫌悪)は、社会を壊す」と批判しました。
日本共産党の山添拓参院議員のほか、立憲民主党、社民党、れいわ新選組などの国会議員、地方議員が参加し、紹介されました。山添議員は、前日に入官庁からこの問題で聞き取りを行ったこと(別項)を紹介し、「なぜ、3千万円に引き上げるのか、まともな調査もしておらず、根拠も示せなかった。日本の地域社会で、ともに生きていこうという外国人を、制度の対象から外している」と語りました。
数字の後ろに人が
終了後に参加者が議員会館前で宣伝しました。集会での当事者の発言などを受け、「3千万円という数字の後ろに、人がいることを受け止めてほしい」「外国人へのいじめと差別だ。多様性こそ大切にするべきだ」などと訴えました。

