4つのチェンジ、知事に迫る 都議会 とや英津子都議が代表質問

 7月の都知事選後、最初の定例会となった都議会第3回定例会で9月25日、小池百合子知事の所信表明に対する各派代表質問が行われました。日本共産党は、とや英津子都議(練馬区選出)が立ち、「都政を厳しくチェックすると同時に、都民の運動と連携して、政策を実現する都議会野党第一党ならではの役割をさらに発揮するよう全力を挙げる」と表明。都政の焦眉の重要課題を取り上げた上で、小池都政を転換する「4つのチェンジ」の政策提言を対置し、知事をただしました。

暮らしと地域経済守れ
 とや都議が最初に取り上げたのが、「お台場に世界最大級の噴水」をつくると、小池知事が突然打ち出した整備計画です。
 「お金の使い方が間違っている」と批判を浴びるプロジェクションマッピングは、2年間で48億円もの税金を投入し、加えて受注事業者は談合事件で指名停止中の電通グループ会社。入札契約などは情報が公開されない仕組みを適用し「ブラックボックス」化しています。
 とや都議は、不透明な事業の中止、入札契約や情報公開などルールの明確化を強く求めました。さらに世界最大級の噴水計画について「整備や維持管理にいくらかかるのか。それも示さず、つくると発表することが許されるのか」と追及。松川桂子港湾局長は整備・管理費などは精査中とし、「臨海地域開発事業会計を活用するため、税金は一切使わない」と強弁。しかし東京港埋め立て地に国際ビジネスセンターをつくるという臨海副都心開発事業の行き詰まりで、過去に他の会計と統合し公的資金を投入してきた“実績”があります。別会計であっても、知事の自由にできないことも明らかです。

解消の扉開かれた
 都は補正予算案に、学校給食費の無償化に向け、3学期分として市町村の財政支援の補助率を2分の1から8分の7へ引き上げる経費を盛り込みました。
 とや都議は、共産党都議団が給食費負担軽減・無償化の条例案を4回提出し、都民の世論と運動が広がるなか今年度、都の半額補助が実現したと指摘。全23区が無償化した一方、「財政力が弱い市町村は無償化に踏み出せず、多摩格差が生じることをわが党は指摘し、財政支援の拡充を求めてきた。その扉が開かれた」と強調しました。
 シルバーパス(70歳以上のバス・都営交通乗車証)について、共産党都議団が費用負担軽減や多摩都市モノレールなどへの対象拡大を求めてきたと指摘。小池知事が都知事選でシルバーパスの改善・対象拡大を公約したことを「歓迎する」として、「速やかに踏み出すべきだ」と要望。負担軽減やコミュニティバスへの適用を求めました。
 山口真・福祉局長は、「高齢者政策全体の議論の中で、シルバーパスについても検討する」と答弁しました。

小池都政の弱点
 とや都議は、都民の暮らしを守り抜き、地域経済の立て直しの課題が「小池都政の最大の弱点」と指摘。所信表明で「長引く物価高騰の影響に苦しむ都民や事業者の現状を見過ごすことはできない」と述べたことを挙げ、「それなら抜本的対策が必要。都には巨大な財政力があり、知事と議会の決断でできることはたくさんある」と強調しました。第1のチェンジです。
 とや都議がまず挙げたのが、都の実施する現金給付の福祉手当や医療費助成の拡充です。ひとり親家庭への児童育成手当は28年間1円も上げていないとし、支給額の引き上げや所得制限の撤廃を求めました。
 また、「小池知事が子ども医療費助成の所得制限をなくす方向を表明したことは重要」と評価。その上で、通院1回200円の自己負担をなくすことを提案しました。
 同じく28年間据え置かれている障害者福祉手当の支給額の引き上げや、障害者医療費助成の対象を軽度や中度に拡大することを提起。高すぎる国民健康保険料(税)は、子どもの均等割軽減に踏み出すよう求めました。

住宅政策
 とや都議は「都が進める再開発で賃貸住宅の家賃高騰を招いている」とし、知事が公約した「子育て世帯への家賃負担軽減」を早急に実施するよう要求。住まいのセーフティーネットである都営住宅の新規建設、UR住宅や民間賃貸住宅を活用した「借り上げ都営住宅」に踏み出すことを提案。
 住宅に困っている若者や就職氷河期世代に都営住宅を提供し、安定した就労につなげる支援事業を拡充するよう求めました。坂本雅彦政策企画局長は「子育て世帯や手頃な価格で住める住宅については、副知事を筆頭とした体制により検討していく」と答えました。

経済政策
 とや都議は、知事が「中小企業の賃上げを徹底支援」と公約したことは重要と指摘。「最低賃金の引き上げを中小企業への思い切った支援とセットで行うことが必要」と述べ、知事の認識を問いました。小池知事は「都内経済の活性化を図り、職場で働く方が安心して生活できる環境を整えるため、賃上げなどを後押しすることは重要」と答弁しました。
 この間、賃金がほとんど上がっていない建設労働者の賃上げについて、発注価格の基礎となる「設計労務単価」の引き上げと同時に、「下請けまで含めて適切な労働報酬が支払われるようにすることが重要」と強調。
 公契約条例の制定によって最低賃金を上回る賃金を支払う契約を事業者と結ぶことで、賃金や労働条件を向上させている自治体が増えていると指摘。多摩市が実施した事業者アンケートで地域経済・地域社会の活性化に「つながった」「今後につながる」が74%に上っていると紹介しました。
 山下聡財務局長は、公契約条例で最低賃金を上回る賃金の支払いを求めても、「問題となるものではない」との見解を示しました。(2~4つ目のチェンジは次号掲載)