野党第一党の力を伸ばして
夏の参院選挙を前に各党が国政選挙並みに重視する都議選(42選挙区、総定数127人)は、22日に投票を迎えます。この間にない多数の候補者による乱戦もあって、どの選挙区でも一票を争う大激戦となっています。物価高が深刻さを増す中で、暮らしを守る都政、国政をどう実現するかが最大の争点です。

40年間で最多
日本共産党は24選挙区に24人が立候補。自民党は42人(ほかに裏金問題での非公認が6人)、都民ファースト37人、公明党22人、立憲民主党20人などが立候補しています。都議会に現在、議席のない国民民主党も18人、れいわ新選組が3人、参政党が4人を立てたほか、石丸伸二・前広島県安芸高田市長が設立した「再生の道」も42人を擁立しました(一覧表)。
立候補者数は全体で295人で、1985年の都議選以降の40年間で最多です。
有力な候補だけでも、定数の2倍前後となる挙区が続出しており、多くの選挙区が「誰が落ちても、おかしくない」という大激戦のまま終盤を迎えています。
パーティーを温存
自民党の候補者数は前回の60人から大きく減らしました。
要因となったのが、都議会自民党の裏金問題です。各都議に、一人2万円の政治資金パーティー券を100枚ずつ配布しながら、会派に収めるのは50枚100万円分だけで、それを超えた売り上げは都議が裏金として手元に置く「中抜き」が行われていました。
この問題を受けて、自民党会派の幹事長経験者6人は非公認となっています。しかし、都議選を前に連日、自民党区議らと、自民党と大きく書いたのぼりを掲げて宣伝し続けた候補者もいるなど、「非公認といっても事実上の自民党候補ではないか」との批判を浴びています。
日本共産党都議団は、裏金問題の実態を、独自の調査で明らかにするなど、解明の先頭に立ってきました。さらに、6月6日に閉会した都議会定例会では、他の野党などに働きかけて、6会派の共同で、裏金づくりの発端となった政治資金パーティーを自主的に禁止する条例案を提案しました。しかし、自民党、公明党、都民ファーストなどが反対して否決し、政治資金パーティーを温存する条例を可決しました。
日本共産党の田村智子委員長は、13日の新宿駅東南口での都議選告示第一声で、「裏金事件に全く無反省の自民党、それをかばう公明党、都民ファーストに厳しい審判を」と呼びかけました。
物価高対策が焦点
各党の幹部の第一声でも、「どの政党が皆さんの暮らしを豊かにすることができるのか。そのことが問われている」(自民党・木原誠二選対委員長)「今、大きな話題として物価高対策が言われている」(公明党・斉藤鉄夫代表)など、深刻な物価高から、国民の暮らしをどう守るのかが焦点となっています。
自民党、公明党、都民ファーストなどの各党は、小池都政与党としての実績をアピールするものの、抜本的な対策は打ち出していません。
これらの党は、小池都政が補正予算で水道料金のこの夏の4カ月間の基本料金無料化を行ったことも、実績としてアピールしています。
日本共産党の田村委員長は第一声で、フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏が、この水道料金引き下げについて、「小池都知事、パクったな」「日本共産党の提案を取り入れたと正直にお話しされた方がいい」と動画で発信していることを紹介。学校給食無償化や、シルバーパス引き下げなどで、共産党都議団は知事が実施を否定する政策でも、繰り返し提案して実現に結び付けてきたことに触れ、「日本共産党の提案にも、都民のみなさんの請願署名にも背を向けてきた自民、公明、都民ファーストに対して、私たちは『実績横取り』だとか『ハゲタカ』などと口汚くののしることはやりません。都知事ができない、やらないということも、都民の皆さんと一緒に力を合わせて都政を動かし、実現させる。これが日本共産党都議団の威力、野党第一党の力です」と強調しました。
日本共産党は、都政を変えるための三つの提案として、①中小企業へ直接の賃上げ支援を②医療・介護の危機から都民を守る③「稼ぐ東京」から「住み続けられる東京」へ―を掲げ、都議選での共産党の躍進で実現しようと訴えています。
東京から減税の道
今回の都議選は12年に一度、参院選と同じ年にあるため、その結果は夏の参院選と連動して、国政も大きく動かすことになります。
そのなかで、大きな争点となっているのが、消費税の減税です。
世論調査でも7割が消費税減税を求めているにもかかわらず、公明党は一時は減税を掲げていたのに、取り下げるなど、自民党、公明党は背を向けています。
日本共産党は、消費税がつくられた時から反対してきた政党として、大企業・富裕層の優遇見直しによる財源論も示して、消費税を5%へ減税し、廃止を目指すことを公約しています。年間で12万円の減税となる消費税5%減税は最も有効な物価高対策だとして、「東京から消費税減税の道を切り開こう」と呼びかけています。