多摩市に統一協会(世界平和統一家庭連合)が研修施設建築を計画している問題で、日本共産党国会議員団と多摩市議らが21日、文化庁からの聞き取りを行いました。参加者からは、同協会に対する解散請求を求める声が相次ぎました。
統一協会が購入した多摩市永山の約6300平方㍍の土地に現存する建物の解体工事が、今月3日から始まりました。市によると400人程度が宿泊できる研修施設を建てる計画で、地域からは不安の声が上がっています。
解体工事の着手について多摩市の阿部裕行市長は解散命令の決着まで工事を待つよう求めましたが、協会は拒否しました。
施設に隣接する国士舘大学は20日、研修施設の建設中止と撤退を求める申し入れを行いました(フラッシュに関連記事)。市民の不安は日ごとに増しています。
冒頭で、質問権行使の現状をただしました。宗教法人法に基づく解散命令請求の要件に該当する疑いがあるという判断から、昨年の11月から、国はこれまで6回質問権を繰り返し行使しています。しかし事実関係やそれに基づく国としての対応や判断は、未だに示されていません。
文化庁の担当者は、「解散命令要件に該当すると判断するために、活動実態把握と客観的事実に伴う証拠を積み上げることが必要で、着実に対応している」と説明しました。
必要な処置を講じると強調しましたが、解散命令請求の時期については「予断を持って申し上げられない」と言うに留まりました。25日には7回目の質問権行使を行います。
多摩市の小林憲一市議は、「(解散命令要件に該当する)疑いは晴れているのか、深まっているのか」と質問。
担当者は「毎回疑いがあるから権限の行使を繰り返し行っている」と回答しました。
橋本由美子市議は「一刻も早く解散命令を出してほしい」という市民の声を紹介し、解散命令の判断に、どれくらい時間がかかるのかを質問しました。
過去、解散請求から裁判所の解散命令が出たのは2例のみで、オウム真理教は半年、明覚寺は2年半の歳月を要しました。解散命令請求が出ても、統一協会側が特別抗告すれば、「長期化が予想される」と回答しました。
原田あきら都議は、「長期化すれば、その間に統一協会が財産を処分するのではないか」と指摘し、質問権の行使を長引かせることで財産処分の期間を与えるのではないかと質問しました。
文化庁は、財産散逸の懸念を「認識している」と答えました。
被害を拡大するな
山添拓参院議員は、「具体的な証拠をつかむための質問権の行使をというが、過去の裁判例は刑事裁判が前提。統一協会は民事裁判で違法性が証明されているのに、それでは足りず、質問権を行使して請求を遅らせるのは不当ではないか」とただしました。
これに対し、文化庁担当者は「被害者や全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)から情報収集に努めている。延々と時間稼ぎをするつもりはない」と答えました。
宮本徹衆院議員は、「解散命令が遅れるほど被害者が増える。国士舘大学の申し入れに対して、文化庁としても後押しを」と、求めました
府中市のからさわ地平市議は、市内で統一協会系の“分派”が施設を建設していることへの認識をただしました。
文化庁は、「解散命令後に分派に流れて骨抜きにならないよう対応が必要」という認識を示しました。
聞き取りには、吉良よし子参院議員、多摩市の大くま真一市議、池田桂市議、伊地智恭子市議(社民)も参加しました。