願い届く当たり前の政治に 岸田政権はマイナス50点

 日本共産党の宮本徹衆院議員(51)=比例東京ブロック予定候補、東京20区重複=は、2014年の初当選以来、安倍、菅、岸田の各政権と、国会で対決してきました。岸田政権の現状をどう見るか、衆院予定候補としての決意とあわせて聞きました。

宮本徹衆院議員に聞く躍進への挑戦
衆院比例東京 共産党予定候補
 ―張り出しが始まった新しいポスターに、「衆議院発言時間ナンバー1」の文字がありますね。
 ジャーナリストの田原総一朗さんが会長の政策NPO「万年野党」の調べで2022年度の衆議院での質問時間ナンバーワンでした。三ツ星議員の評価をいただきました。
 ―さまざまな論戦で対決してきた立場から岸田政権をどう見ていますか。
 先日、田原さん司会の番組「朝まで生テレビ」に出演した際、岸田政権を100点満点で、何点と評価するかが話題になりました。他党の皆さんは、60点とか50点、30点、12点などの評価でしたが、私は、やるべきことはやらず、やってはならないことばかりやっていると、マイナス50点をつけました。
 専守防衛を投げ捨てて敵基地攻撃能力を保有し、軍事費を倍増させる。その財源づくりに年金財源や医療の財源まで流用する。健康保険証の廃止、超老朽原発の運転を可能にする原発推進法、命を脅かす入管法改悪や差別を助長しかねないLGBT法などなどです。
 私の初当選時は、安倍政権で、政治の私物化や安保法制による平和主義の破壊など、戦後最悪の政治だと思っていましたが、その安倍政治に負けない、最悪の政治だと言わなければなりません。

学ぶ権利を脅かす異常
 ―初当選から3期にわたり、自公政権と対決してきました。
 私の大学の卒業論文は学費無償化がテーマで、国会でも教育無償化をライフワークに取り組んでいます。国会で初めてのテレビ中継入りの予算委員会での質疑でも教育無償化を取り上げました。
 今回、岸田政権が「異次元の少子化対策」と言い始めました。私は異次元というのであれば、教育無償化こそ柱に据えるべきだと求めました。内閣府の調査でも子育て世代が「理想の数」の子を持つうえで、教育費の高さが最も大きな妨げになっています。
 最終盤に、岸田政権の少子化対策で高等教育費用の負担軽減のさらなる拡充が盛り込まれましたが、依然として、予算規模からして、対象は極めて限られる不十分なもので、財源の見通しもありません。
 いま、二人に一人の学生が奨学金を利用し、多くが借金となる貸与制です。昨年はその返済に追いつめられ、少なくとも10人の方が、自ら命を絶ったとの報道もありました。
 学ぶ権利は憲法に保障されているのに、高すぎる授業料を払うために、山のような奨学金という借金を背負って、その返済が行き詰まり、命を絶ってしまう。こんな異常の放置は、許されません。
 軍事費の倍増や、大企業の減税には、膨大な財源を用意しても、その一部でできる教育無償化は実現しようとしない。この政治を大本から変えるしかないと、思いを強めています。

行政監視の好例と評価
 ―21年の前回衆院選以降の論戦で特に印象に残っているものは。
 統一協会をめぐる問題が、大きな焦点となってきました。
 統一協会の解散命令請求をめぐって、政府は当初、宗教法人法の解釈として、その法人の役員が刑事罰を受けた場合に要件を限っていました。
 これでは、統一協会には解散命令請求を出せません。統一協会は多くの裁判で民法上の不法行為を認められており、私は予算委員会(22年10月)で岸田首相に対して、解散命令請求の要件を刑事罰に限る運用は間違っていると迫りました。
 首相は、その日は、刑事罰に限るという解釈を変えない答弁を繰り返しました。しかし、翌朝一番の答弁で、岸田首相は「昨日の議論を踏まえて、改めて政府の考え方を整理した」として、民法の不法行為も解散命令請求の要件に入りうる場合もあると述べました。
 ある新聞は社説で、「国会が行政監視機能を果たした好例」と評価してくれました。
 ただ、現状は国が質問権の行使を繰り返して、解散命令請求にはいまだ至っていません。解散命令請求を早く出すよう、引き続き迫っていきます。

事態が動いたPFAS汚染
 ―東京にかかわるテーマで印象に残った論戦は。
 現在、多摩地域を中心に、有機フッ素化合物(PFAS)汚染が、深刻な問題になっています。
 6月に閉会した今国会では、3回にわたってPFASの問題を委員会で取り上げたほか、質問主意書も出して、汚染源とみられる横田基地への立ち入り調査や、政府の責任による住民の健康調査を求めました。
 6月29日の共産党議員団による聞き取りで、横田基地内でPFASの漏出事故が起きていたことを、国が初めて公式に認めました。
 それが、東京都が国に責任ある対応を求める動きにつながり、防衛相も自治体から要請があれば、立ち入り調査を米側に働きかけていきたいと発言するところまで事態が動いています。
 一方で、質問主意書でも、政府による大規模な健康調査を提起しましたが、政府の答弁は「(PFASの)科学的知見は十分ではなく、まずは知見の収集に努めている」というものでした。
 知見の収集というなら、国が住民の健康調査をやってデータを集めることこそ必要です。国の姿勢は、きわめて後ろ向きと言わざるを得ません。