政治変える「突破力」に衆院出馬 “燃える”と反響

 日本共産党の田村智子副委員長・政策委員長・参院議員(57)は、次の総選挙で比例東京ブロックから立候補することを表明しました。驚きと歓迎の声が広がっている衆院への鞍替え立候補について、田村さんに決意と思いを聞きました。

田村智子参院議員に聞く
躍進への挑戦
衆院比例東京 共産党予定候補
 ―衆院選への立候補の表明に、どんな反響が寄せられていますか。
 さまざまな人たちが、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで発信してくれています。一つの共通したキーワードは、「総選挙、燃える」ですね。日本共産党へのさまざまな攻撃が広くやられるなかで、共産党員のなかにも、サポーターの皆さんのなかにも、押し込められている感覚が、やはりあると思います。それを打ち破ろうという時に、私の衆院選立候補が、新鮮な気持ちで、よし闘おう、頑張ろうと受けとめられている。嬉しいですね。
 ―なぜ衆院選立候補なのか、改めて、思いをお願いします。
 本当に勝たないといけない総選挙、そのことに尽きます。
 率直に言って、難しい時期です。共産党への不条理なバッシングは、収まるどころか、規模も広がり、繰り返されている。それを打ち破り、どうしても勝たないといけない。立候補の要請を受けて、候補者として先頭に立つことが、自分にできる最良の選択肢だと決意しました。
 もう一つ、理由としてあるのが、国会の状況です。特にこの数年、国会で私たちが質問しても、答弁がかみ合わないんですね。というのは、私たちは、日本の経済や社会は構造的に行き詰まっていて、根本的に切り替えないといけないと質問する。例えば、非正規雇用が約4割で、その多くが女性だといった構造的な問題を聞くのに、政府側からは「非正規も一定程度、必要だ」といった表面的な答弁しか返ってきません。
 この停滞した状況は、本当に深いところから政治の改革をしないと打破できない。そこまで来ていると感じてきました。
 日本の政治を変えるためにも、日本共産党の勝利のためにも、二重の意味での「突破力」になれるよう、頑張ります。

生活保護は権利首相に明言迫る
 ―参院議員に2010年に初当選して以来、3期目です。国会での活動で大事にしてきたことは。
 どの委員会でも必ず取り上げたいと思ってきたのは、貧困と格差の問題です。
 実は、私自身が選挙で勝てず、悔しい思いをしていた時期に起きたのが、2008年のリーマンショックで、日本民主青年同盟の皆さんと、路上や駅前での生活相談活動に取り組みました。
 職や家を失うことが人生にどれだけ大きな影響を与えるかに直面したし、そこからの生活再建がいかに困難かも実感しました。自分自身が議員として、これを政治の場で取り上げられない非力さを何度も嘆きました。だからこそ、国会活動でずっと貫いてきたテーマです。
 コロナ禍では、安倍晋三首相(当時)に決算委員会で、生活が困難になる人が急増している実態を突き付け、生活保護は権利だと明言するよう迫りました(2020年6月)。首相が「ためらわずに(生活保護を)申請してほしい」と答弁したことが、各地の申請運動の力になったし、自治体が生活保護利用を呼び掛けるポスターをつくる動きにもつながりました。
 もう一つこだわってきたのが、貧困の要因ともなる非正規雇用の問題です。国の研究機関である理研の研究者雇い止め問題など、こんな雇い止めは絶対に許すことはできないと国会で取り上げたことが、現場の運動と響き合った。これもうれしいことです。
 ―東京に関するテーマで印象に残る論戦は。
 米軍横田基地への特殊作戦機CV22オスプレイの配備中止を求めた質疑(2015年6月)は、私自身が軍事問題を初めて本格的に取り上げた質問だったこともあり、印象深いですね。
 沖縄や横田にも調査に行きました。沖縄と横田の問題はつながっていて、沖縄の特殊部隊が、横田に配備されるオスプレイで、全国各地をやりたい放題飛び回るようになり、暗殺や要人拘束といった作戦に従事する。ちょうど安保法制の論戦が繰り広げられていた時期で、それともリンクして、アメリカの戦争に日本を組み込む体制づくりは許されないと追及しました。
 もう一つ、東京五輪の際の国立競技場建て替え問題の質疑も、強く印象に残っています。当初、計画された「ザハ案」に、多くの著名な建築家が反対し、その人たちの話も聞いて、二の矢、三の矢どころか、四の矢、五の矢まで用意して、下村博文文科相(当時)を徹底追及しました。その後、ザハ案は撤回となりましたが、あそこまでの追及をしたのは、共産党だけでした。

総選挙への運動で団結力を示したい
 ―衆院選は秋にも、と言われます。どんなことを訴えていきたいですか。
 先ほども言ったように、大本から行き詰まった経済や社会をどうするのかが、どの問題を通しても問われる状況です。
 13日に上智大学の前で、学費の問題で街頭演説しました。これも、単にいま学費が高いという問題ではなく、1980年代以降、教育の自己責任論や、受益者負担論が政策とされてきたなかで生まれた問題です。
 背景には、社会保障や教育に国のお金をかけることに財界が反対し、一部のエリート以外は非正規雇用で構わないから、高等教育にお金をかける必要はないとしてきたことがあります。これに当時から反対してきたのは、共産党だけなんですね。
 選挙が近付けば、「教育の負担軽減」などの、表面的な政策は各党ともに掲げると思います。だけど、なぜこんな状況が生まれてしまったのか、社会や政治のあり方の根本からの深い提起ができるのは、日本共産党だけです。
 もちろん、短い選挙戦の街頭演説では、そこまで切り込むことはできないので、総選挙までの期間を生かして、各地での集いや、対話型の演説などで、深いところから共産党の値打ち、役割を訴えたいと思っています。
 もう一つは、私たちの団結力を、ぜひ示したいということです。
 いまマスコミでは、私の衆院選立候補を、志位和夫委員長の在任期間とからめた、うがった論調が多く出ています。「委員長の在任期間が長いから問題だ」という攻撃と、私の衆院出馬を意図的に結び付けて、私たちのなかに分断を持ち込もうとしている。しかし、共産党が革命政党として、政治を大本から変えようとしているなかで、志位委員長は、政策の面、理論の面など、大事な役割を果たしています。委員長を辞めないといけない理由は何もありません。
 団結して一致結束してたたかう、私たちの団結力を、総選挙に向かう運動のなかでも、ぜひ示していきたいですね。