業者代わっても問題だらけ英スピテスト 活用中止求め緊急集会

 英語スピーキングテスト(ESAT―J)を都立高校の入試に活用することに反対する緊急市民集会が8月21日、9月の都議会定例会を前に都議会内で開かれ、オンラインを含めて113人が参加しました。「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」などが主催しました。

 昨年度、都は多くの専門家や都民の反対の声を押し切って、都立高校入試の合否判定に活用する英語スピーキングテストを出版大手のベネッセによって実施。しかし、ベネッセは今年度の中学3年生のテストをもって撤退することが決まっています。
 都教育委員会は23年度から対象を中学1・2年生にも拡大し、今年度予算に35億円を計上。英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルが23年度の中学1・2年生のテストを運営し、24年度から中学全学年で運営します。契約は28年度までです。
 入試改革を考える会代表で武蔵大学の大内裕和教授は、「多くの問題点が明らかになったのにテストは強行された。なぜ撤退にいたったのかベネッセには説明責任がある」と強調しました。
 大内氏は同テストの不受験者がスピーキングが課されない英語の入学試験の点数から、スピーキングテストの仮結果を推定する制度について、「同点か上位の受験者よりも高い推定点が与えられたりする逆転現象が起こる。入試活用する上で根本的な問題で、どんな事業者が行っても改善しない」と指摘。
 「都教委は欠陥を事実上認めながら、今年度も同じ形式で実行しようとしている。受験生があまりに気の毒だ」とのべ、入試利用を中止させようと呼びかけました。
 今年度のスピーキングテストは11月の実施予定で、登録が始まっています。中学3年生の保護者は「当事者の声を聞かない、間違いがあっても認めない」と、都教委の不誠実な対応を批判。「今年度で撤退するベネッセのテストを受けるのも“消化試合”のようで腹立たしい。入試に使わないでください」と訴えました。5クラス190人分の英語の授業を受け持つ都内中学校の教師は、トイレに行く時間も取れない過酷な状況を紹介。「スピーキングテストに使う35億円で教員を増やしてほしい」と求めました。
 超党派の都議でつくる「英語スピーキングテストの入試活用中止のための議員連盟」の都議があいさつ。日本共産党からは都議13人をはじめ、区議、市議ら多数が参加しました。

不公平は変わらず
 英語スピーキングテストを巡っては、他の受験者の声が聞こえたり、解答を録音するタブレットに自分の声と他の受験者の声が一緒に録音されるなどの音漏れトラブル、採点方法や不受験者の取り扱いなど様々な問題が指摘され、専門家や保護者からは、公平・公正に実施できないテストは、入試に活用しないでほしいとの声が広がっています。