ジェンダー平等へ道見えた 世界一進んだ国アイスランド大使と考える

YouTubeチャンネルでライブ配信 視聴できます

社会の幸福度強め経済も繁栄

(吉良よし子参院議員Twitterより)

「ジェンダー平等は、日本では道のりが遠く思えたが、希望が見えた」「進む方向の具体的イメージをもらった」―そんな感想が相次ぎました。5月28日に、アイスランドの駐日大使ステファン・ホイクル・ヨハネソン氏を招いて行われた日本共産党東京都委員会主催のジェンダー平等連続公開セミナー「世界で一番ジェンダー平等の国―アイスランド大使に聞く」の詳報を紹介します。(田中健一、林直子)

ステファン・ホイクル・ヨハネソン氏講演(要旨)

ジェンダー平等問題は、単に公正平等であることや人権問題にとどまらず、社会全体の問題です。

ジェンダー平等社会は社会の幸福度、健康、人々の互いの信頼も強めます。繁栄と回復力にあふれた経済も実現します。

草の根から発展

1960年代に教育を受けた女性やフェミニストの運動、草の根の運動が、70年代の女性解放運動へと発展していきました。

1975年10月24日、アイスランドの9割の女性が家庭と職場を放棄し、平等を求めるデモに参加し、わが国でジェンダー平等運動の始まりになったといわれています。その5年後、フィンボガドッティル氏が初の女性大統領に就任しました。彼女は特に若い女性、子ども、少女たちに、女性が大切な役割を担えることを示しました。

現在、国会議員の男女比はほぼ同率になりました。現首相はヤコブスドッティル氏で女性です。

子育て支援では、保育料助成制度、「共有可能な育児休暇制度」があります。この育児休暇制度は2000年に始まり、今日では父親、母親双方に6カ月、父母合計で12カ月プラス6週間の共有可能な育児休暇が与えられています。父親、母親の双方同じ期間で、どちらかに偏って配分はできません。例えば、父親が3カ月、母親が9カ月といった形での取得はできません。

父親の育児休暇取得率は86%に迫っています。父親の育児休暇は権利ではなく、むしろ取得すべきものだとされています。

クオータ制もあります。2008年アイスランドは経済危機に陥りました。当時倒産した四つの銀行の経営陣の多くが男性で、男性中心の経営や経済が原因との声がありました。政府は経営陣へのクオータ制を法制化しました。経営陣の最低4割を男性か女性にする必要があり、違反した場合は罰金刑です。法律が施行された13年、経営陣の女性比率は33.2%に急増しました。一方、社長や最高経営責任者(CEO)の性別はまだ男性に偏っている課題も残っています。

男性の役割重要

ジェンダー平等では男性の役割も大変重要です。アイスランド政府は、ジェンダー平等推進の国際的「バーバーショップ(理髪店の意味。気軽に率直に話せる場所の意味もある)」を、国連や北大西洋条約機構(NATO)や(国際機関が集まる)ジュネーブで開催し、フォーラムは成功しました。

アイスランドも課題を抱えています。特に移民女性が苦しんでいます。差別には人種、階級、性別など多くの要素が関連しているため、包括的な取り組みが必要です。

吉良議員がインタビュー
女性の力示し変化

日本共産党の吉良よし子参院議員は、ジェンダー平等を軽視する現在の国会の状況などを紹介しつつ、ステファン・ホイクル・ヨハネソン大使にインタビューしました。

吉良 市民の行動が原動力とのお話でした。

ヨハネソン 1975年の女性のストライキが人々の意識を大きく変えました。9割の女性が家の仕事を放り出し、平等を求めデモをする。残された男性は、家の中で食事をつくり育児をしなければなりません。女性がいなくなれば社会がまひすると、誰もが肌で感じたのですね。アイスランドは人口が少ないために、変化はより広がりやすかったと思います。

吉良 ジェンダー平等は社会全体の問題で、経済発展にもつながると。

ヨハネソン 経済協力開発機構(OECD)の研究によると、ジェンダー平等な社会では経済も発展します。世界で最もジェンダー平等が進んでいるといわれる北欧諸国を調査したものです。豊かで幸福度が高いと示されました。

議論くりかえす

吉良 罰則付きの法律までつくっていますね。反発はありませんでしたか。

ヨハネソン さまざまな問題がありましたが、利害関係者すべてを巻き込み、繰り返し対話しました。政府、経営者、従業員、市民が包括的に議論し、合意を得て進めました。意思だけではジェンダー平等は実現しません。実行力のある法律が必要です。

就活時の差別も

吉良 男性の意識改革はどう進みましたか。

ヨハネソン 両親が6カ月ずつとれる育休制度が重要だったと思います。育児だけでなく家事も男性が担うようになりました。アイスランドでは今、性別にかかわらず家庭の責任を共有するのは普通のことです。
これにより、女性が仕事を続け専門性を高めやすくなりました。また、誰もが育休をとるので、新入社員を雇う時に性別にもとづく偏見が減りました。

吉良 私は就職の時、面接官に“女性は結婚・出産をするからリスクなんだよね“と言われました。育休制度はそうした差別をなくすんですね。

実践が大切

ヨハネソン 大使は吉良議員の質問にこたえ、アイスランドは平和な国ランキングでも1位であること、LGBTQへの差別を許さないと国民が広く認識していることを紹介。

「実践が大切です。ジェンダー平等を求める皆さんの活動が成功するよう、心から祈っています」と結びました。

(「しんぶん赤旗」6月日付より)