支援打ち切り経緯明らかに目黒区被災者 追い出し裁判証人尋問求める

 東日本大震災で被災し、目黒区が用意した「みなし仮設住宅」に避難した女性(68)が、支援の打ち切り後の家賃約820万円の賠償を請求されている裁判の第8回口頭弁論が16日、東京地裁(金沢秀樹裁判長)で開かれました。
 女性は宮城県気仙沼市で、病気の夫(2018年10月に死亡)と被災。治療が必要なため、気仙沼市から紹介された友好都市の目黒区に避難しました。
 今回の口頭弁論で、女性側は、区の対応の経過を明らかにするため、区の住宅課長経験者2人の証人尋問を申請。これに対し裁判官は、「いずれか一人の証人尋問は必要である」と認めました。2人はそれぞれ2017年の支援打ち切り時、2022年の提訴時の決定に関わっており、当時の目黒区の対応を決めたキーパーソンです。災害救援法に基づく生活支援、提訴までの間に被災者への相談支援などの対応は適切だったかを明らかにすることが今後の焦点です。
 裁判後の報告集会で、代理人の山川幸生弁護士が裁判の状況を説明。女性は家賃19万2500円の区民住宅を区にあてがわれていましたが、同程度の間取りの区営住宅は家賃3万円程度。支援の打ち切りを受け、女性は区営住宅に応募するも落選し入居はかないませんでした。区は「空き部屋がなかった」としていましたが、「めぐろ被災者を支援する会」の調査チームが入手した資料から、多い年には約60世帯の退去者がいたことが明らかになりました。
 支援する会は、区役所前でのスタンディング行動や区議会への陳情などに取り組んでいます。「支援の広がりが勝利につながる」と呼びかけました。