声ダダ漏れ そのまま回答 習っていない 問題に驚き

中3生が証言

入試に活用するのは公平・公正でないと保護者や教員が反対するなか、11月27日(追試は18日)に強行された東京都教育委員会の英語スピーキングテスト(教育産業大手のベネッセが実施)。「入試活用を中止するための都議会議員連盟」などが実施後に行った調査と各団体の会見(5日、7日、9日)で、回答に影響するほどの音漏れが多くの会場で起きていたことが明らかになりました。(染矢ゆう子)

受験生や保護者、試験監督らを対象に「入試改革を考える会」「都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会」「都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の中止を求める会」などと共同で同議連が行ったインターネット調査。478人が回答し、そのうち中学3年生が6割を占めました。

待機中音漏れ

テストは前半、後半に分けて行われました。前半組の試験中は、後半組は防音の耳当てなどせず、自習して待機しました。前半と後半の情報遮断ができていないとの回答は92件、全体の約4分の1にあたる46会場でありました。(別項)

試験監督をした予備校講師の吉田弘幸さんは9日都庁で会見し、「待機していた後半組の教室で隣の前半組の回答が聞こえました。単語だけでなく、文章も聞こえました」と証言しました。

都教委の担当者は「派遣した職員と事業者からの報告では、回答に影響がなかった」としています。吉田さんは「事業者への報告書は欠席者などしか書く項目がなく、音漏れを報告するしくみはない」と話します。

試験はイヤホンをつけた上から防音用のイヤーマフを着用し実施します。イヤーマフ越しに他の受験生の回答が聞こえたという声は166件、78会場でありました。

試験は生徒が各自でタブレットを操作して始めます。準備が間に合わずに開始が遅くなる場合もあります。「回答準備時間に誤って回答を始めてしまう人が多数おり、全て聞こえていた」「隣の生徒の回答が聞こえ、そのまま答えた」という受験生の証言が寄せられました。

都教委の担当者は「“音としては聞こえるが、聞き分けられない”と事業者と都職員から聞いている」と言います。慶応大学名誉教授の大津由紀雄さんは「“回答が聞こえた”というだけで、入試には使えません。問題や回答が漏れるという重大さを理解していない」と話します。

教科書執筆者の1人である神奈川大学教授の久保野雅史さんは音読の問題を見て驚きました。高校で扱う(『高等学校学習指導要領解説』)はずの「助動詞と完了形を用いた過去に関する推測の表現」があったのです。中学の教科書には載っていません。

訂正、謝罪を

都教委のホームページには「中学校学習指導要領に基づき、東京都が定めた出題方針により、出題内容を決めています。したがって、授業で学習した範囲の中から出題します」とあります。「授業で学習した範囲」からの逸脱です。

しかし、浜佳葉子都教育長は「(中学の)学習指導要領でどの文法事項をどの段階で扱うかは制限されていない」「中学校で学ぶ単語を用い、英語として自然となるよう文を作成し、出題した」と開き直りました。

大津さんは「過去に関する推測の意味を表すことや助動詞は、はっきりと発音することを習っていなければ、問題文にある『相手に伝わるように読む』ことはできません」と批判します。

「ベネッセに作問をまかせ、都教委はまったく監修していないのではないか」と久保野さんは話します。

新英語教育研究会事務局長の柏村みね子さんは声明を発表。「中学校の指導と生徒の学びを否定するもの」として、ただちに訂正、謝罪し、入試に使わないよう求めています。

回答・会見に寄せられた声

■前半と後半の情報遮断不全を訴え

「後半の組は前半の人の声がダダ漏れで、おかげで答えられた問題も多くあった」「前半の人たちの回答が丸聞こえでした」「前半組と後半組が話せてしまう時間があり、テスト内容が漏れていた」「トイレ等で問題が流出。トイレに行った後半組はほとんど問題を知っていました」

■会見で紹介された中学3年生の訴え

中学生が批判の声をあげても、教育委員会は何も対応せず「問題は報告されていない」というでしょう。だから、お願いです。どうか私たちの声を世の中に伝えてください。私たちの人生を左右するテストなのにあのような環境で雑に行われたことが本当に残念でなりません。あのようなテストは廃止すべきです。お願いします。私たちを救ってください。

(しんぶん赤旗2022年12月19日付より)