リニア地盤調査不十分 外環道事故の教訓生かさず 山添議員へ政府答弁書

政府はこのほど、リニア中央新幹線建設にかかわって日本共産党の山添拓参院議員が提出した質問主意書への答弁書を決定しました。それによると、JR東海が進めるリニア中央新幹線建設工事で東京都と神奈川、愛知両県の大深度地下区間での事前のボーリング調査のうちルート上で行われた本数はわずか12本で、トンネル下端まで達しているものは5本しかないことが明らかとなりました。
リニア新幹線は3都県の約50キロメートルは大深度地下で工事が行われます。ボーリング調査は、12本が平均2キロメートル以上に1カ所、4本が約10キロメートルに1カ所に相当します。
陥没事故が起き、地盤を把握する事前のボーリング調査が不十分であったことが指摘されている東京外環道のトンネル下端までのボーリング調査は平均700メートルに1カ所行われています。答弁書は追加のボーリング調査の「計画は有していない」としており、外環事故の教訓が生かされていないことが浮き彫りになりました。
JR東海は昨年10月に品川区から「調査掘進」を開始。住民はシールド工事の一環である「初期掘進に他ならない」と批判しています。これについて答弁書は「外形的には『初期掘進』に相当する」と認めました。誠実な説明をせず工事を強行するJR東海の姿勢はきわめて問題です。
また答弁書は、事前の家屋調査の対象は3都県で9900軒だと回答。山添氏が外環事故の状況から調査範囲が狭すぎると指摘したことへの回答は避けました。

(「しんぶん赤旗」2022年1月14日付より)