羽田新飛行ルート 強行へ道開いた小池都政

自公都ファ 反対の陳情繰り返し否決
 羽田空港の増便のため、都心の上空を低空で飛ぶ羽田新飛行ルートが、昨年3月29日に強行実施されて1年を迎えました。深刻な騒音、落下物の危険などを心配する声の広がりにも関わらず、小池都政が容認したことで始まった新飛行ルート。住民の反対の声はますます強まっています。

クローズアップ都議選
 「家で窓を閉めていても大きく聞こえてきます。飛行の間隔も短く、心が休まりません。どうか穏やかな生活を戻してほしい」「高層マンションに住んでいます。窓を開けると巨大な飛行機が大爆音をあげて飛んでいます。うるさくて体調を崩してしまいました」
 港区の住民団体「みなとの空を守る会」が新ルート開始1年にあわせてまとめた、ルート下に住む住民から集めた声の冊子には、280人に及ぶ切実な訴えが並びます。
 港区では、町会にも新ルート反対の声が広がっており、実施直前の20年3月には15の町会、自治会が共同アピールを出しました。その会見に出席した町会長の一人、同区高輪1丁目に住む伊皿子睦会の鎌田健一会長は、この1年間を振り返り、「午後3時をすぎると、毎日のように2分に1回の飛行機が頭上を飛ぶ。情け容赦もない」と憤ります。
 普段は、自民党の地方議員や国会議員とも付き合いが多いという鎌田さん。「上皇ご夫妻が暮らしている高輪の上を飛ぶなんて、安倍さん(前首相)も、菅さん(現首相)も、あまりに敬意がない。住民には説明したといっているが、説明会場にパネルを置いたアリバイ作りだけだった」と厳しく批判します。

「安静どころか」
 新ルートは、南風の時、着陸で新宿区、渋谷区、港区、品川区などの上空を低空で飛行(午後3時から7時)するほか、離陸時に神奈川県川崎市の石油コンビナート上空を飛行。北風時は、離陸で江東区、江戸川区などの上空を飛び(午前7~11時半、午後3~7時)、広範な地域に、深刻な影響を及ぼしています。
 江東区東砂に住む、添谷良夫さんは、ここ2カ月間ほど、腰痛で自宅療養しており、新ルートのひどさを改めて実感したと語ります。
 「飛行が始まると、騒音のために、テレビのボリュームを普段の倍にしても、聞き取りにくいほどです。それが数分おきに飛んでくるので、とても安静どころではなかった」(添谷さん)。
 添谷さんは、アメリカのコロラド州でボーイング777のエンジンが、離陸直後に炎上、破損し、大量の落下物を出した事故(2月20日)が「大きなショックだった」と話します。
 羽田空港からの北風の離陸時に、同様の事故が起きれば、江東区一帯の上空から、エンジン部品などが落ちてくることになりかねません。「外で遊んでいる子どもたちに、それが当たったら…。ルートの下は、住宅密集地です。区民の命が脅かされかねないのに、本当に無責任だ」と批判します。

国際競争力の名で
 日本共産党の白石たみお都議は、都議会で繰り返し、新飛行ルートの中止を求めてきました。
 3月9日の予算特別委員会では、コロラド州でのエンジン事故の写真をパネルで示し、「羽田新ルートでは、このような事故は起きないと断言できるのか」と小池知事を追及。それでも知事は、「東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには、羽田空港の機能強化を図ることは不可欠」と新ルートの必要性を繰り返し、引き続き国に安全対策を求めるとしただけでした。
 騒音をめぐっても、白石都議は、国交省航空局がパイロット協会にあてた航空機騒音に関する通知(18年8月)で、住民からの騒音への声を「過敏型」「自己中心型」「激高型」「行政指導強要型」など、クレーマー扱いにして分類していることを暴露。「これで住民の声を真摯に聞いてきたといえるのか」と見解を求めても、知事は「ご意見としてうかがっておく」と答えるだけでした。

協議会で方針追認
 白石都議は、この1年間の都議会での論戦を振り返り、「騒音の問題でも、落下物の問題でも、航空機による大気汚染の問題でも、知事も都もまともにこたえず、新ルートの必要性を言うだけだった。新ルートに何の道理もないことが、はっきりとした」と話します。
 新ルートをめぐって安倍首相(当時)は、「地元の理解を得て」開始すると施政方針演説で語っていました(2018年1月)。
 しかし、新ルートの実施を前に、ルート下の自治体では、住民の強い反対の声が広がり、複数の区議会が見直しを求める意見書を可決。「地元の理解」とは到底言えない事態が広がっていたにもかかわらず、2019年7月の国と自治体との協議会で、都の代表が国の方針を追認し、国交省が「地元の理解が得られた」と新ルートを強行しました。「新ルートの実施に道を開く役割を果たした、小池都政の責任は重大」(白石都議)です。
 都議会では、新ルートに反対する「東京連絡会」や「品川区民の会」などが提出した陳情を、自民、公明、都民ファーストの各党が繰り返し不採択にしています。
 都議選は、新ルートに反対する都民の声の広がりにこたえる都議会をつくる、正念場のたたかいとなっています。