命を守る政治、東京から コロナ禍で広がる困難 現場の声を国政に届ける

日本共産党衆院選予定候補、医師
谷川智行さんに聞く
新型コロナの東京の新規感染者数は、10月29、30日に連続で200人を超えるなど高止まりしています。衆院選で東京4区(比例重複)から立候補予定の谷川智行さんは、現役の医師として、発熱外来の診察やPCR検査などに関わるほか、日本共産党都委員会のコロナ対策本部長として、さまざまな提言をまとめるなど対策の先頭に立っています。東京の現状をどう見ているか、衆院選への決意と合わせて聞きました。
―都内病院の発熱外来や、地域の医師会のPCR検査センターの業務も担当されています。
発熱外来では、一人ひとり、診察が終わるたびに、入り口のノブから椅子、聴診器などすべて消毒します。スタッフが着るエプロンや手袋なども、そのたびに変えます。発熱者が他の患者と交わらない配慮も必要です。現場は、非常に大きな負担で、医療を支えています。
私が関わるPCR検査センターの検査数は、ピークに比べるとかなり減りました。クリニックなどでの検査がじわじわと増え、検査が集中しなくなったためでしょう。

ただ、東京全体で見ると、検査数が圧倒的に足りないので、感染の状況がどうなっているのか、全体像を把握できていないことが重大です。
例えば、ある区では陽性者の濃厚接触者と判定された人が、保健所から、「自宅で2週間療養するか、検査を受けるか、選んでください」と尋ねられたケースがあります。国立感染研のマニュアルでも、濃厚接触者は原則、検査するとなっているのに、そうした人すら、検査できていない状況があるのではないか。
藤田りょうこ都議(日本共産党)が、このケースを都議会で取り上げました。都は、濃厚接触者の何割が検査されているのか、答えることができませんでした。
ヨーロッパでは、検査体制が十分に拡大しないまま、経済活動の再開を急ぎ、寒さも重なって、一気に感染拡大が爆発したと指摘されています。日本も同じ道をたどっていないか、心配です。

地域医療が危機に
―医療機関の減収、コロナ対応による負担も深刻です。
インフルエンザ流行の季節を前に、国が体制加算の制度をつくりました。発熱患者を診察する準備をしている医療機関に補助金が出る制度ですが、患者さんが一人来るごとに1万3千円、補助金が減ります。検査キット代金などさまざまな経費を負担するため、一人の患者を診て病院に入るのは4千?5千円です。
つまり、患者を多く診察するほど、病院が損をする仕組みです。是正を求める強い声が出されています。
患者減で苦しむ医療機関の減収補てんの考え方が、国に、まったくないことが根本的な問題です。閉院に追い込まれる医療機関も出始めています。閉院は地域医療の後退そのもので医療現場への財政支援が、緊急に求められています。

支援の相談が急増
―経済的な苦境も広がっています。
商店街や町工場などを回っても経営は本当に大変です。年末に向けて倒産、廃業、雇い止めなどがさらに増え、職を失う人が出る深刻な状況です。
私は2008年から困窮者支援活動に関わり、この間は「新宿ごはんプラス」という活動に参加しています。コロナ禍で相談数は例年の2~3倍になっています。会社の借り上げアパートに住み込みで働いていた派遣社員が、仕事がなくなると同時に、住まいも失うといった相談をいくつも受けサポートしています。国は、こうした人たちへの支援を抜本的に拡充すべきです。
同時に、働く人の4割が非正規という不安定な雇用状況をつくってきた政策を根本的に転換し、働く人を守るルールをつくる必要性を改めて実感しています。コロナで業績が悪化したら、非正規の人の仕事が「合法的」に奪われてしまう。これ自体が間違っています。
―総選挙勝利へ、決意をお願いします。
町工場や保育園、医療機関、介護施設など、さまざまな現場に行き、実態や要望を政策にして国や自治体に届ける活動を続けています。
コロナ対策をめぐる、定額給付金の実現や、PCR検査の対象拡大は、間違いなく、現場の声が動かしてきた成果です。PCR検査は、3月ごろは東京全体で1日120人しか受けられませんでした。その状況から、現場の声を集めて、国や都にぶつけ、地域の医師会とも連携して検査を拡大してきた実感があります。
コロナ禍のもと、さまざまな現場の実態は日々、変化しています。それをリアルタイムに把握し、政策にして、国政を動かす。そういう議員になるため、全力を挙げてたたかい抜きます。