「鼻つまみ入ってるよ」学校の3Kトイレ直して

2019年6月10日

 臭い、汚い、怖いー。先の統一地方選(4月)のさなかに子どもたちから寄せられた、学校トイレの驚きの実態と「何とかしてほしい」との悲痛な声が共産党の候補者にたくさん寄せられました。この小さな子どもたちの大きな期待に応えようと、新人議員たちの奮闘がはじまっています。(長沢宏幸)

新人議員が改修へ奮闘
 「学校のトイレが臭い! 鼻をつまんで入ってるよ!」。青梅市議選初日、共産党の井上たかしさんが出身小学校近くで、「学校のトイレをきれいに直しましょう」と演説していると、突然アパートの窓が開き、小学1年生ぐらいの男の子が、こう叫びました。
 青梅市内26の小中学校のうち、建て替えられた第二小学校のほか25校はすべて築35~50年超ほど。そのうち、この2年で5校のトイレ改修工事が終わりましたが、来年度以降は年2校に工事のペースを落とす計画。予算を特別教室へのエアコン設置に充てることが理由とされています。
 井上さんは、この時の声を演説で紹介し、「改修工事の計画を先送りするのではなく、思い切って予算を増やし、計画を前倒しして洋式化を含めた改修を進めましょう」と訴えました。

 反響は大きく、演説を聞いた小学校高学年の女子が「本当に臭いんです」と話しかけてきたり、公園で遊んでいた女の子の一人がうなずきはじめ、演説が終わると「きれいなトイレがほしい!」と声援を送ってきました。若い父母からは「よろしくお願いします」との期待が寄せられました。高齢の男性からは「もし災害の時に避難しても、和式の古いトイレでは、わしたちはもうしゃがめないよ」「子どもたちがかわいそう」といった声も。
 また、井上さんが街頭で「新町小学校はもうすぐきれいにする工事が行われます」と話していると、近くにいた小学2年生の男子が「怖かった」とつぶやく声が聞こえてきました。
 井上さんは市議に当選後、ただちに6校のトイレを調査。その様子を「学校のトイレ新聞」(写真)という活動報告にまとめ、地域に配布し、ブログにも掲載しています。
 井上市議は「市内小中学校の老朽化が思っていたよりはるかに深刻なことが分かりました。配管が壊れ汚水が漏れて使用不能になったトイレもありました。1日も早く改修を終わらせ、すべての子どもたちにきれいなトイレを届けたい。まずは6月議会の一般質問で集中的に取り上げます」

▼三鷹市 「声を届けるよ」と

 先の市議選で初当選した共産党の紫野あすかさんも、選挙中に子どもたちから「学校のトイレが汚いし、臭くて使えない。何とかしてほしい」という、たくさんの要望を受けました。
 紫野さんは「分かった。あなたたちの声を市に届けるよ」と約束。市議当選後、さっそく学校のトイレを調査。臭いの原因や体育館のトイレが男女兼用など、状況を確認し、その様子をブログで紹介。6月の市議会一般質問で取り上げる準備も進めています。
 「トイレに行きたくても我慢する子どもがいるなど、健康問題にもなりかねません。子どもたちの健やかな学校生活のためにも、リラックスして落ち着けるトイレに変えたい」と紫野さん。
 実際、文科省のアンケート調査(杉並区内の小学校1校、2017年)でも、トイレに行くのを我慢している児童は、「たまに」を含め8割に上り、その理由の大多数が汚い、臭い、和式。改修後は我慢していた児童の9割が我慢することが減ったと回答。トイレの改修は文科省も「集中力向上」「健康面・衛生面・生活面の改善」など、教育環境向上に効果があると認めています。

▼100%の調布市 20年前から質問
 都内で最も洋式化が進んでいる調布市は96%(18年度)で、約20年前から共産党市議団が繰り返し改修を求め、市も着実に進めてきました。今年度、残された中学1校が大規模改修と合わせたトイレ改修が終われば、洋式化率はほぼ100%となります。武藤千里市議は「市民の声を受けて市議団として粘り強く求めてきたことが、100%につながりました。ただ、校舎の老朽化が進んでおり、急ぐべき課題となっている」と話しています。

都 洋式率は54%

 文科省の調査では、公立小中学校のトイレの洋式化率は東京都全体では54・2%(文科省調べ、2016年4月現在)にとどまっています。その大きな要因に、自治体の財政問題があります。
 井上市議は「体育館へのエアコン設置や老朽化など、やらなければならない改修工事がほかにもあるため、市の限られた予算ではトイレ改修が事実上、後回しになっている」と指摘。「いまの改修計画ですら、先延ばしにされる不安がある」として、国や都の支援の強化を訴えています。
 ※国からはトイレ改修工事費用に対し原則3分の1(下限400万円、上限2億円)の交付金、都から6分の1の上乗せの補助があります。

自治体支援は急務
共産党の吉良よし子参院議員の話
 現在、国の学校施設整備の予算はあまりに少なく、トイレの改修を含め自治体からの要望に応えきれないことは問題です。子どもたちの安全と健康を守り、快適な学習環境を保障するためには、耐震化やエアコン設置と同様に、トイレ改修、洋式化が進むよう、学校施設整備予算の抜本的な増額、都や自治体への支援強化は急務です。子どもたちの要求実現へ、私も力を合わせます。