東京都内の生活保護利用者らが2013年分からの生活保護費の段階的な減額は違法だとして国や地方自治体と争っている“新生存権裁判東京”の控訴審判決が6月24日、東京高裁(三木素子裁判長)でありました。「生活保護費の減額は違法」だとする原告勝訴の判決が維持された一方で、原告が求めていた国の責任を問う慰謝料など国家賠償(国賠)請求については棄却されました。

原告ら「運動の発展を」
同様の裁判は全国各地でたたかわれており、2025年6月には大阪府と愛知県の裁判で原告勝訴が最高裁で確定。それ以降、全国の高裁では14連勝と原告の勝訴が続いています。しかし、同裁判は57人が原告となり提訴しましたが、高裁判決を迎えるまでに14人が無念の死を迎えることになっています。
判決に先立ち、原告と支援者らは東京高裁前で裁判の内容をアピールし、入廷行動を行いました。全国的にも注目を集める裁判で一番大きい法廷の傍聴席が満席になりました。判決が読み上げられると、傍聴席で小さくガッツポーズする人とため息をつく人がありました。
原告は今後、上告を検討するとしていますが、国などは期限の2週間後までに上告をせず、判決を受け入れるのか注目が集まっています。
東京では全て勝訴
報告集会で弁護団は「生活保護費の引き下げは違法で取り消すが、慰謝料は認めないという最高裁判決を踏襲した流れだ」と分析。続いて「生活保護費の引き下げは違法であり、取り消さなければならないという判決であるのに、慰謝料は認めないという判決が全国的に続いている。最高裁が慰謝料を認めなかったことが間違っている。東京高裁が最高裁の見落しや、判断してない部分に判断を示すべきだ」と批判しました。高裁での審理中、原告が申請した新たな証人申請を裁判所が却下しており、「判決ありきでの審理では」という声もささやかれていました。
さらに「一審判決を維持し、最高裁の判決を東京高裁も認めたことで、東京では同様の裁判で全て勝訴しています。納得できないところは一部あるが、より前進しよう。東京高裁という首都の裁判所で勝訴したことは価値がある。勝利に確信を持とう」との弁護団の声に会場から拍手が起こりました。
死ぬのを待つのか
集会では会場からも発言があり、国などが最高裁判決を受けて生活保護費の減額分の追加給付を始めたことについても意見が相次ぎました。
「原告ではなかった人は原告の約半額しか支給しないという措置が取られている。原告だった人についても、判決が確定してからの支給となっている」とのことで、高裁裁判を待っている人など未支給の人が多く存在しています。
現在、生活保護制度を利用していない人や転居した人への支給遅れも懸念されるとの声も上がりました。
また判決確定前に死亡した人については支給がされないと国がしていることから、「厚労省は生活保護利用者を人間だと思っていない。謝りもしない。死ぬのを待っている」との発言の他、「役人が非公式な場面で『金目でしょ』という発言をしたというが、とんでもない」という怒りの声も続きました。
新生存権裁判東京を支える会では引き続き、国賠請求で上告する人を全力で支えると表明。社会保障の基準となる生活保護制度の発展へ全ての生活保護利用者に声をかけ、行政不服審査を行うなどの大きな運動に発展させるとしています。
