支援、調査・対策の強化を 共産党都議団が申し入れ

豪雨被害
 9月11日に都内で発生した短時間豪雨による河川の氾濫などで各地に深刻な被害が出た問題で日本共産党都議団は9月22日、被災者への支援や水害対策を小池百合子知事あてに申し入れました。高田照之・総務局総合防災部長らが応対しました。

1時間130㎜超を記録
 「あっという間で避難が間に合わず、多数の薬剤や業務に必要なサーバーがやられた」(薬局)、「冷蔵庫が浸水でダメになった」(飲食店)。申し入れでは、大きな被害が出た店舗や住宅の被災者の声が紹介されました。
 関東を襲ったこの日の豪雨。東京都内で1時間に100㎜以上の猛烈な雨が観測されるなど、記録的な大雨となり、都心を中心に川の氾濫や浸水被害などが相次ぎました。消防庁のまとめ(9月19日現在)では、都内で床上浸水914件、床下浸水310件、計1224件の浸水被害が出ています。
 1時間に134㎜の豪雨を記録した目黒区では床上浸水258件、床下浸水28件(区の9月25日現在のまとめ)の被害がありました。最大約100㎜を記録した世田谷区でも床上浸水116件、床下浸水5件の他、宅地での土砂流失(3件)や落雷による火災(1件)などの被害(区の9月18日現在のまとめ)が出ています。
 地下の店舗では2日目になっても水が引かず、商店街では多くの店舗が休業を余儀なくされています。商品や在庫、設備の損壊により、営業が再開できない事業者が多数あり、地域経済や雇用への影響も深刻です。地元自治体では被害状況の把握や罹災証明書の発行の他、見舞金を出す自治体もあります。一方、被害が広域にわたっているにもかかわらず、都は被害状況の全体を把握・公表はしていません。

都市化で被害拡大
 申し入れで斉藤まりこ都議は、東京が都市化を進めた中でヒートアイランド現象の進行が深刻となり、それにともなって豪雨の発生頻度が増加していると指摘。都市化に伴う下水や流域対策の強化が急がれるとして、都として総合治水対策の強化や被災者支援の抜本的な拡充を求めました。
 また、今回の豪雨による被害が甚大であるため、被害の実態把握も困難が伴っているとし、「東京都が広域自治体として、実態調査を行い、今回の水害状況を踏まえ、対策の強化を早期にすすめることが重要だ」と述べました。
 同席した日本共産党世田谷区議団の川上こういち区議は「今年だけで7月、9月と2度の浸水被害が出た。なぜ同じ地域で繰り返されているのか原因をはっきりさせないと根本的な対策ができない。都として調査してほしい」と求めました。
 被災地域を視察した同区議団には、浸水被害のあった保育園から「貯水槽を作って欲しい」「止水板があれば被害も違ったかもしれない」「当座は被害後の消毒も早めにお願いしたい」などの声が寄せられました。また、レストラン経営者からは「産廃業者を呼ぶことになった。災害ゴミとして無料で引き取って欲しい」「とにかく配管排水を徹底してほしい」との要望がありました。
 1時間110㎜の雨量を記録した大田区選出の藤田りょうこ都議は「障害者施設で送迎バスが水没し、利用者に影響が出た。対処時間がなかったことで被害が広がった。止水板を設置するにも多額の費用がかかる。区が対策を取れるよう支援が必要だ」と述べました。東久留米市・清瀬市が地元の原のり子都議は「これまで浸水被害がなかった場所でも浸水し、車が水没した」と多摩地域にも及んだ被害を語りました。
 原田あきら都議は「大型開発を進めヒートアイランド現象を深刻化させた都の責任を重く受け止めてほしい」と指摘しました。
 高田部長は「知事、各局と情報を共有する」「区市町村との連携は非常に重要なので、さらに緊密にしていく」と答えました。
 ■申し入れた内容は以下の通り。▽被災者の生活や生業の再建が早期に進むよう区市と連携した実態把握と支援▽見舞金制度の創設など都としての被災者支援▽被災者生活再建支援制度に浸水被害を都として含める▽国保料(税)減免への支援や都市計画税・固定資産税の減免、納税猶予など可能な限りの支援▽自治体が行う粗大ごみ・家電ごみの無償回収、消毒などにかかる費用を都が財政支援する▽被災者の水道料金の軽減▽雨水浸透型舗装や雨水枡、グレーチング、雨水タンク、止水板の設置など自治体が行う水害対策や流出抑制策に対する都の補助上限額を抜本的に拡充するなど支援の強化―など。

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