住まいは人権 転換点に

6月13日告示の都議選(22日投開票)。定数3の豊島区では日本共産党の米倉春奈都議が4期目を目指します。米倉氏の他に、都民ファーストの会現職、公明党現職と交代する新人、自民党の現職区議、再生の道の新人の有力5氏が立つ見込み。朝夕の駅頭宣伝、ポスター張り出し、SNS発信など、各党の動きはこれまでになく活発です。
地域に強い地盤を持つ自民候補。早い時期から毎朝各駅で宣伝し、宣伝カーを回します。団体への締め付けはかつてないといい、ある「赤旗」読者のクリーニング店主は「今回は自民党に入れてくれ、と業界から言われた」と話します。
区内で争点に浮上しているのが、高すぎる家賃の問題です。訪問活動に強い公明は今回、街頭宣伝にも力を入れ、住宅政策に触れ始めました。都がファンドに出資し割安な住宅を提供する、としています。この事業に家賃の上限はなく、供給戸数も不明であることが、米倉氏の都への質問で判明しています。
豊島区には、池袋駅を中心に再開発が集中。区の住宅白書によると家賃の高さは23区中6番目です。ひとり暮らしの3割が、国の定める「健康で文化的な住生活の基礎」となる「最低居住面積水準」より狭い家に住みます。子どものいる世帯の転出では、6割が子どもが6歳になる前に転出します。「家賃が高すぎて引っ越し先が区内にない」という相談が、米倉氏にも多く寄せられます。
米倉氏は「都や国が推進した巨大開発と、住宅を投機対象にしたことが、住宅価格をつり上げた」と指摘。大企業のための政治から転換することを呼びかけます。家賃補助・減税制度創設と公的住宅増設を提案する、新しいチラシを配り始めました。
「世界中で家賃高騰が問題になっています。住宅政策を掲げる左派が躍進するなど、新自由主義からの転換点にもなっている。今回の都議選も、そういう機会にしたいと私は思う」
米倉氏は都議会で、大学授業料無償化や性暴力対策を求めてきました。果たして都が対応できるのか? 党地区委員会にも疑問がありましたが、当事者の事情を知り、疑問を出し合う中で変化。米倉氏と共に、多くの人と協力して取り組むようになりました。そして昨年、都立大学の都民授業料無償化が実現。痴漢対策に、都や交通機関がここ数年で本格的に乗り出しました。「声を上げれば政治は変わる」。米倉氏の訴えはベテラン党員にも深く響いています。
「今、多くの人が新しい政治を探しています。宣伝する時は『古い政治を本当に変えるのは共産党』という視点で政策を伝えてほしい」。地域の人たちと相談しながら取り組みます。(林直子)
(「しんぶん赤旗」2025年5月27日付より)