財源示し 消費税5%緊急減税を

衆院、参院委 志位氏、山添氏迫る

 日本共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日の国会質問で、大企業と富裕層への減税・優遇を見直す具体的財源を示し、消費税5%への減税を緊急に行うよう求めました。志位氏は衆院決算行政監視委員会で、大企業に今以上の法人税の担税力―税負担能力がある事実を明らかにし、山添氏は参院予算委員会で、医療崩壊の危機打開のためにも消費税減税が必要だと迫りました。

大企業の税負担能力は十分

志位議長「消費税減税の財源に」 衆院決算行監委

 志位氏は、国税庁の研修機関である税務大学校発刊の「税法入門」で「税負担は担税力に応じて配分されるのが公平である」と明記されているが、政府としてこの立場に立っているかと追及。加藤勝信財務相は、「同様の認識を持っている」と答えました。

 志位氏は、2012~23年に資本金10億円以上の大企業の税引き前利益が、2・6倍になったにもかかわらず、法人3税は1・6倍にとどまっていると指摘。大企業の内部留保も333・5兆円から539・3兆円へと空前の規模に達しているとして、「この事実は大企業が今以上の担税力があることを明瞭に示すものだ。その認識はあるか」とただしました。

 加藤財務相は、質問に答えず、大企業の税負担率は「必ずしも中小企業より軽減されているとは言えない」とはぐらかしました。

 志位氏は、法人税実質負担率の推計を示し、小規模企業が18・5%、中堅企業は20・6%なのに対し大企業は10・0%と約半分だと指摘。これは子会社から受け取った配当の一部を所得から除外する措置や研究開発減税など大企業優遇税制の結果で「小規模・中堅企業と比べて大企業の担税力が高いのは誰が考えても明らかだ。大企業には今以上の担税力があることは、このグラフを見ても一目瞭然ではないか」と追及しました。

 経済産業省の委託調査として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した報告書も「企業規模が大きな企業の方が税負担率が小さくなっている」と結論づけているとして「中小企業に比べ大企業の担税力が劣る根拠があるのか」と追及すると加藤財務相は根拠を示せませんでした。

 志位氏は「十分すぎる担税力を持つ大企業に減税をバラまき、担税力のない低所得者から情け容赦なく消費税を取り立てる。こんな間違った政治はない」と批判。「大企業と富裕層に応分の負担を求める税制改革を行えば、赤字国債に頼らなくても消費税減税の財源はつくれる」と強調しました。

「論戦ハイライト」

消費税 医療機関に重い負担

山添氏「社会保障が経済支える」 参院予算委

質問する山添拓議員=19日、参院予算委(しんぶん赤旗提供)

 山添氏は、物価高のもとで医療機関の赤字が広がり、患者に転嫁できない消費税の負担が重くのしかかっているとし、消費税の一律5%への減税が即効性のある対策だと主張しました。

 山添氏は、全国保険医団体連合会(保団連)の緊急調査で、診療報酬では物価高騰分を「補填(ほてん)できない」とする医療機関が9割を超えている実態を突きつけ、「日本の医療は崩壊の危機だとの認識を持っているか」と追及。全国公私病院連盟の邉見(へんみ)公雄会長が医療機関の赤字の背景と原因として、人口減少や人材流出とともに物価高騰を挙げ、重くのしかかっているのが消費税だと述べているとし、「医療機関は事業者として納税義務がある一方、最終消費者とみなされ、患者に消費税を転嫁できない。医療機関の危機を打開するうえでも消費税5%への減税を」と指摘しました。

 石破茂首相は「消費税の仕入れ税額相当分は診療報酬に上乗せする仕組みをとっている」などと釈明。山添氏が「累次の診療報酬改定を経ても、なお消費税による負担が大変重いというのが病院団体からの指摘だ」と主張したのに対し、石破首相は「現場が疲弊しないように対応をとっていきたい」と答えました。

 山添氏は「社会保障の財源が消費税でなければならないわけではない。他の税収を社会保障に充てることは禁止されていない」と強調。2012年版「厚生労働白書」に「社会保障は経済成長と社会の安定に寄与し、雇用を創出する」などと書かれているとし、「都会も地方も社会保障の充実こそが経済を支える」と指摘すると、石破首相は「まさしくその通りだ」と答えました。

 山添氏は「だからこそ、今消費税を減税し、大企業や富裕層に応分の負担を求め財源を確保し、社会保障を充実させるべきだ」と述べました。

「論戦ハイライト」

(「しんぶん赤旗」2025年5月20日付より)

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