新型コロナウイルス感染者の急増で、東京都では自宅療養者が363人、入院療養等調整中が501人です(20日現在)。陽性者の900人近くが自宅で過ごしていることになります。
障害や子育てなどさまざまな理由で自宅療養を選ばざるを得ない人もおり、支援は急務です。
東京都新宿区では、7月以降の感染確認者が19日現在で768人です。6月下旬、区内で知的障害と精神障害があるきょうだい(39、37)とその母親(79)の感染がわかりました。
母親は入院し、保健所はきょうだいにそれぞれホテルで療養するように勧めました。
ょうだいは“1人だとパニックを起こす可能性がある”と2人同室を希望しましたが、宿泊療養用のホテルは1人部屋しかありません。
そのため2人は10日間自宅で療養することになりました。そのことを知った日本共産党の佐藤佳一前区議が食事を届けることを申し出ると、兄は「保健所から『マスクをしたらコンビニに買いに行ってもいい』と言われたので大丈夫です」と話しました。
厚生労働省は自宅療養の際は「外出は避けてください」としています。驚いた近藤なつ子区議が「このやり方では感染が拡大する」と区にただすと「不適切です」と認め、「保健師に徹底します」とのことでした。
同区内のコンビニエンスストアのオーナーの男性(40)は「自宅療養の人に区が『コンビニで買って』と言っているとは知らなかった。店としては、どんなお客さんが来ても感染を広げないように対策を工夫している」といいます。
厚労省は軽症や無症状の感染者について、家庭内で感染を広げないためにも行政が用意するホテルなどでの「宿泊療養が基本」としています。自宅療養をせざるを得ない人のためには、1食あたり1,500円を上限に3食の配送による提供が可能としています。
ただ財源は都道府県を対象とした「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」であり、実施には都道府県との調整が必要です。都の場合は、実施していません。独自財源で食事や日用品、マスクを届ける東京都足立区のとりくみなどがあります。
近藤区議はこう指摘します。「障害のある人や小さい子どもがいるシングルマザーなど家族向けの宿泊療養施設が必要です。また、家族間でも感染したことをいえないことがあり、手助けしてくれる人がいない人もいます。自宅療養の人には、隔離のための食事などの支援を国や自治体は徹底する必要があります」
(2020年7月22日付「しんぶん赤旗」より)