都議会本会議 一般質問

 都議会本会議の一般質問が2月28、29の両日行われ、日本共産党から里吉ゆみ(28日)、アオヤギ有希子(同)、斉藤まりこ(29日)の各都議が質問に立ちました。

里吉都議
「値下げが子育て支援に」公共交通の子ども料金で

 里吉ゆみ都議は、都民の暮らしを支援する立場から、都営交通の子ども料金を一律50円、公共交通の子ども料金の対象年齢引き上げを求めました。
 現在、子どもの運賃は6歳未満が無料、12歳未満が半額で、中学生以上はおとな料金。里吉都議は「子ども料金の根拠は80年以上前に国が定めた鉄道運輸規程であり、時代遅れだ」とし、欧州では18歳や19歳まで半額や無料が主流となっていると指摘。最近では小田急電鉄が小児用ICカード利用時の運賃を全区間一律50円に、京浜急行電鉄も一律75円にしたとして、「効果的な子育て支援策だ。まずは都営交通の子ども料金の年齢拡大、負担軽減に、国に先駆けて踏み出してはどうか」と提案しました。
 70歳以上が対象のシルバーパスについて、人口に占めるパス発行割合が、41%まで低下していると指摘。「中でも、(所得135万円超の人の)2万510円パスは発行数が減っている。負担を軽くし、より多くの方が使えるようにすべきだ」と求めました。
 都営交通運賃について久我英男交通局長は「運賃収入は経営状況や事業環境を踏まえて設定する」と答弁。シルバーパスについて佐藤智秀福祉局長は「制度は高齢者の社会参加を助け、福祉の向上に寄与している」と述べただけでした。

英スピテスト
 里吉都議は、国民健康保険料の負担軽減、ケア労働者の処遇改善、男女の賃金格差の是正、痴漢対策、防災対策、航空機同士の衝突事故があった羽田空港の過密化の改善、英語スピーキングテスト(英スピテスト)の中止を求めました。
 里吉都議は昨年11月実施の英スピテストで、機器の不具合や監督の対応の誤りなどで60人もの再受験となった問題で、都が運営事業者のベネッセから電話だけでの報告で済ましていたことについて、「あり得ない対応だ」と追及。
 さらに今年度から中学1・2年生を対象に実施した同テストで、新事業者ブリティッシュ・カウンシルが用意したヘッドホンでも周りの回答が聞こえるという訴えが出ていることを指摘。「どこから見ても破綻が明らかな英スピテストはきっぱり中止を」と迫りました。
 浜佳葉子都教育長は、調査もせずに「適切に実施されたことを確認している」と強弁しました。

アオヤギ都議
教員の抜本増員求める

 アオヤギ有希子都議は、教員不足による学校現場の深刻な実態を示し、「都の財政力を生かして教員を増やし、教員一人あたりの授業時間数の削減や少人数学級の拡大などに抜本的に踏み込むべきだ」と迫りました。
 今年度の教員不足数について都は4月に80人程度、9月に140人程度と発表していました。一方、共産党都議団の調査では、都内60自治体の合計で4月は1482人の正規教員が不足し、このうち、1235人は産休育休によるものでした。臨時的任用教員や時間講師などを補充しても238人と、都発表の3倍も不足していました。
 アオヤギ都議は、常に存在する産休育休を取得する教員数を見込んで、正規教員を多く雇用することを提案しました。
 浜教育長はこれに対し「国の標準法に基づく都の配置基準により適切に配置している」と答弁しただけでした。

SC雇い止め
 アオヤギ都議はまた、不登校やいじめ、子どもの悩みなどに寄り添うスクールカウンセラー(SC)の大量雇い止めを撤回するよう都に強く求めました。
 SCは都の非常勤職員として、都内公立学校で約1500人が配置されてきましたが、2020年度から会計年度任用職員に制度変更されたのに伴い、任用の更新が4回までに制限され、実績のあるスクールカウンセラーが大量に雇い止めされる事態に直面しています。
 青柳都議はSCについて「長期の経験が専門性の向上にとって重要だ」と強調。▽選考に面接だけでなく学校での実績を反映させる▽5年ごとに切り捨てる働かせ方をやめ、無期雇用とする▽採用枠を増やし不採用を撤回する―ことを提案しました。
 浜教育長は、スクールカウンセラーが心理の専門家として「子どもや保護者への支援、教員への助言を行う重要な役割を果たしている」と認めながら、雇い止めに関連する質問には、正面から答えませんでした。

斉藤都議
耐震改修補助の拡充を

 斉藤まりこ都議は能登半島地震を受けて、足立区など東京東部地域の住宅耐震化や液状化対策の強化を求めました。
 都が22年に公表した首都直下地震の被害想定で、木造住宅密集地域が多くある足立区で建物の全壊棟数が1万1952件と、都内最多だったと指摘。「地震に強い街づくりのためには、耐震対策を自己責任とせず、行政の責任で進めていく視点が重要だ」と強調。足立区が耐震改修の補助割合を引き上げたことをあげ、都の支援を拡充するよう求めました。
 都の液状化マップで、東部地域や湾岸部、大田区などに液状化の可能性が広がっていると指摘。能登半島地震で液状化被害が大きかった富山県氷見市長が、「個人での液状化対策はできない」と述べたことにも触れ、都の責任で区市町村と連携し、住民合意を得ながら重点エリアを定め、計画的に推進するよう提起しました。
 谷崎都市整備局長は「被害を軽減し、都民の生活再建が早期にはかられるよう戸建て住宅の液状化対策が重要」として、24年度から所有者の地盤調査や対策工事に助成をはじめると明らかにしました。

都営建て替え
 斉藤都議は都営辰沼町アパート(足立区)建て替えで、単身入居者に狭い居室を提供する「型別供給」を廃止し、「住まいは人権」の立場で、単身者でも十分な広さの居室を提供するよう求めました。
 都は建て替えに際して実施した同団地入居者を対象にしたアンケートで、初めて間取りの希望について調査。「介護・看護が必要になったときに、家族が泊まれるスペースがあれば安心」という声が多く寄せられました。
 斉藤都議は「高齢者の生きがいや健康を守るためにも、子育て世帯なども多く入れるよう、ゆとりのある間取りの部屋を提供することが重要」と強調し、型別供給の廃止を重ねて求めました。
 山口真住宅政策本部長は、間取りについて「世帯構成に応じた、より的確な居室構成、面積規模の住宅の供給を図っていくことが重要」と答えました。