国として社会的な対策を 吉良参院議員 アンケートもとに質問

コロナ後遺症
 新型コロナウイルスに感染した患者が、長期間にわたって重い倦怠(けんたい)感や頭痛などに苦しめられる後遺症をめぐって、日本共産党の吉良よし子参院議員が、独自に集めたアンケートをもとに国会で質問しました。アンケートには、「仕事も休職したままで打つ手が見つからない」(40歳代)、「一年以上、まともに学校に通えていない」(10歳代)などの深刻な声が並びます。専門家は、「多くの患者がいるにもかかわらず、社会的な支援が整っていない」と警鐘を鳴らします。

周知と経済支援求める
 「ふらついてしまって、まっすぐ歩くこともできない。職場に何とかたどり着いても、横になって寝かせてもらうしかなかった。映画やDVDを見ても、本や新聞を読んでも、頭に何も入ってこなかった」―コロナ後遺症に現在も苦しむ、杉並区の50歳代の女性は、最も症状が重かった時の状況を、こう振り返ります。
 女性がコロナに感染したのは、22年8月。高熱が出て、身体中が痛かったものの、第七波のころで、あちこちの病院に電話をかけてもつながらない状態でした。
 1週間ほどで、熱などは下がって、仕事には復帰したものの、「階段を上るのもやっと」という疲労感や息苦しさ、頭に霧がかかったようになって集中力が働かない「ブレインフォグ」と呼ばれる症状が続き、以前の生活には戻れない日々が続いたといいます。
 さまざまな病院にかかり、膠原病やすい臓の病気、免疫異常など、さまざまな可能性を考えて検査を受けたものの、どの検査でも異常な数値は出ませんでした。「最後は、医師から『心身の不調だろう』と心療内科を勧められて終わってしまう。病院に行くのもつらい、と周囲に泣きついてしまう状態でした」(女性)。
 コロナ後遺症の専門の外来があると、知人に勧められてたどり着いた、渋谷区にあるヒラハタクリニック(平畑光一院長)で、初めてコロナ後遺症と診断されます。
 専門的な治療を受けることで、ようやく文字が読めるようになったり、出かけたりできるようになってきました。それでも、少し無理をすると次の日は寝込むなど、まだコロナ以前の状況には程遠い生活です。
 女性は、「多くの患者が、適切な診察や治療を受けられず、私と同じように、心まで痛めつけられていると思います。仕事をしないと生活の基盤を失うからと、後遺症を隠して無理をしている人も多いと思う。吉良さんのように国会質問してくれる議員がいることで、この病気がもっと知られ、支援の仕組みも整ってほしい」と話します。

休業休職が7割の人に
 吉良議員が2月にインターネットで呼びかけたアンケートには、10日余りで1172件もの回答が寄せられました。
 寄せられた声からは、コロナ後遺症の深刻さとともに、患者への支援の不足が浮かび上がります。
 コロナ後遺症で特につらかった症状(複数回答)は、「疲労感、倦怠感」が最も多く77・4%を占めました(グラフ)。「ブレインフォグ」「咳、息切れ」「睡眠障害」も4割前後にのぼります。
 若い世代、現役世代に多くの患者がいることも特徴です。患者の年齢は、20~50歳代が8割を占め、10代以下も8・7%いました。
 日常生活に「影響があった」との回答は86・7%で、このうち「休業、休職」が69・2%にのぼりました。その一方、休業や失業、治療などに支援があったかを聞くと「支援はなかった」の答えが6割を超えています。
 10代以下に絞ってみると、日常生活への影響に「休学」を挙げる割合が約8割に達します。
 吉良氏は国会質問で繰り返し、これらの深刻な声を突き付けています。当事者の要求として、①コロナ後遺症への理解を広げる②後遺症に苦しむ人を適切な医療につなげる③経済的な支援を行う―の3つを求めています。
 政府は、コロナ感染からの回復期に無理をしないことの周知の必要性などは認めたものの、経済的支援の拡充などの要求には応じていません。吉良氏は、引き続き当事者の声を届け、政府に支援を求めるとしています(吉良氏のホームページで、アンケート結果の全文を公開しています)。