給食無償化、早くすすめて
八王子市 渡辺香菜さん
八王子市の新日本婦人の会や「学校給食の無償化をすすめる会」で、給食無償化を求める署名を集めて、市議会に提出しました。現在、継続審査となっています。
私自身、5歳と2歳の母親で、3人目を妊娠中です。もうすぐ子どもが小学校に入学するので、それまでには何とか無償になってほしいと強く願っています。
八王子市の学校給食は小学校低学年で年間4万2750円。子どもが二人、小学校に通えば、それだけで約10万円になります。さらに教材費などもかかってくる。義務教育なのになぜ、と思います。
署名を審議する市議会を傍聴していても、市は「お金がない」ばかり言っていて、川口物流拠点やバイパスなど誰のためだかわからない大型工事より、市民の暮らしが直接良くなることにお金を使おうという姿勢がなくて、がっかりしました。
八王子市は児童館も少ないし、学校体育館のエアコン設置も進んでいません。
子育ての支援に使うお金はいくらあっても足りないくらいなので、都政が給食の無償化への全額補助を実現してくれたら、とてもありがたい。
「すすめる会」の署名では、要請項目の一つに、地産地消など健康に配慮した給食を求めています。ゲノム編集した食材の急増など、食の安全が脅かされているなかで、早く無償化を実現して、給食の質の向上という次の段階に進んでいきたいです。
街破壊の道路計画は中止
品川区 池戸アキコさん
住民の反対が強かった東京都の都市計画道路は、美濃部都政で凍結されていましたが、1979年からの鈴木都政以降に復活していきました。
都が防災を理由に、補助29号線(品川~大田区、約3・5㌔)を特定整備路線候補として発表したのは2012年。東日本大震災の翌年です。被災地の復興にこそ力を入れなければいけない時に、開発に多額の税金を当てて事業に着手するという。これはただ事ではないと、危機感を覚えました。
都が事業認可申請を提出する前に行った住民説明会では、交通の円滑化についての説明はなく、「防災のため、東京五輪のため」と、強調しました。都議会で白石たみお都議が延焼遮断帯の防災効果について質問すると、根拠となる延焼シミュレーションが、具体的に行なわれていない事実が判明。現在も続いている補助29号線事業認可の取り消しを求める裁判でも、延焼遮断帯の効果は極めて小さいことが明らかになっています。
東急電鉄大井町線・戸越公園駅周辺は、「品川区まちづくりマスタープラン」の一環で市街地再開発事業が進み、高層ビルを建設中。戦後の焼け野原から地元の人たちの努力でつくり上げた商店街が破壊され、すでに廃業に追い込まれた人もいます。街づくりと言いながら、つぶす計画を平気で進めているのです。
都市計画道路を抜本的に見直し、子どもや高齢者にやさしい街づくりを望みます。(特定整備路線・補助29号線事業認可取り消し裁判原告団長)
感染症対策の拠り所 保健所復活して
多摩に保健所増設を求める 中山和人さん
新型コロナウイルス感染症が拡大し、全国一斉休校が発表された時に、元教員の私のところに不安にかられた先生方からメールが次々に送られてきました。
地域では保健所に連絡してもつながらないと不安が広がりました。そうした中で友人3人が集まり、身近な行政に要望を届け、市民の助け合いの輪を広げようと、三鷹市で市民連絡会の結成を呼び掛けると、運動の輪が広がりました。それが出発点です。
私たちは学習会を重ね、市民と病院をつなぐのが保健所で、かつて市内にあった保健所が統合されたことで、近隣6市の104万人が、府中市にある1カ所で対応していることも知りました。
「今後も予想される感染症対策の拠り所、平時における健康を守るセンターを復活させてほしい」。コロナの苦しい体験と学習の積み重ねの中で、私たちの共通の要求になりました。
「都の保健所復活を市長も市民と一緒に都に働きかけてほしい」という要望署名は、駅前での呼びかけに行列ができるほどの反響で、3000人分が集まり、市長からは前向きな回答が得られました。ところが都がまとめた保健所のあり方検討会の報告書は、増設は行わないことを前提に、自治体からの声にも、私たち市民の願いにも応えず、具体的な改善計画は何も示されませんでした。
その後、三多摩の保健所増設を求める会をつくり、保健所増設の必要を訴えた呼びかけに三多摩全域から賛同は103団体に広がり、11月末に市民団体が共同で都に要請しました。要求を実現する大本は都にあり、どの地域でも運動は広がる可能性があります。都民の命と健康を守る保健所増設に踏み出す都政にするために、都知事選の争点に押し上げたいと思います。(三多摩の保健所増設を求める会呼びかけ人)
福祉や医療に明るい人こそ
東京医労連書記長 青山 光さん
都政は巨大な財政力を持っているのに、小池知事は住民に目を向けない都政を続けています。福祉や社会保障に興味を示さず、「稼ぐ東京」などのスローガンばかりが聞こえてきます。
中でも、医療現場にかかわるものとして、腹が立つのが、都立病院を地方独立行政法人化(22年7月)したことです。あれだけ反対が広がり、誰にもメリットがないことがはっきりしているのに強行してしまいました。
コロナ禍のなかでは、パンデミック(世界的流行)の事態に、自治体の役割、とりわけ都道府県の果たす役割が決定的なことが示されました。
医療用マスクをどう調達するか、コロナの患者をどう受け入れるか、一医療機関では太刀打ちできないことばかりで、行政がどういう方針を示すかで、自治体ごとに大きな差が生まれました。
東京では、都立病院が大きな役割を果たし、都が病院を持っている強みが発揮されました。何かあれば、都立病院が患者を受け入れてくれる。その役割は非常に大きかったのに、都は独法化してしまった。こんな政策を続けていて、必ず来る次のパンデミックに、どう対応するのでしょうか。
都知事選に望むのは、命や暮らしを最優先にして、福祉や医療に明るい人が知事になってくれることです。「稼ぐ」よりも大事なことが、都政にはたくさんあるはずです。
歴史や文化こそ大事に
高輪築堤の保存を求める 東海林次男さん
海上に築かれた日本初の鉄道遺構「高輪築堤」(港区)は2019年、JR東日本が進める「品川開発プロジェクト」計画エリア内で発見されました。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)が、破壊中止を求める警告(ヘリテージ・アラート)を発出しましたが、国が史跡に指定した延べ120㍍を現地保存、信号機土台部を移築保存するのみ。第一期工事区域で確認された築堤は、約900㍍です。わずか13%ほど残しただけで、世界遺産級の遺構が壊されました。
広い範囲で現地保存しなければ、全体的なイメージがつかめません。信号機の移築保存にしても、築堤のカーブ部分に存在してこそ、初めて意味を持つ。切り離し、点だけ残しても、信号の役割は可視化できないのです。長い距離を保存すれば、実際にレールの上を汽車が走ることもでき、それがひとつの観光資源になるでしょう。
第二期工事の対象となる5街区、6街区の計画は、まだ明らかにされていません。しかし、6街区辺りに、用地取得がまったくできていないにも関わらず、東京都市計画道路幹線街路環状4号線の橋脚だけが築造されました。住民の立ち退きは、これからという状況です。
都も国も企業も、自然や歴史を破壊する再開発ではなく、地域の成り立ちを大事にするべきです。(東京都歴史教育者協議会副会長・高輪築堤の全面保存を求める会共同代表)