今年1月もPFAS漏出 共産党都議団 全容解明へ都が対応を

横田基地
 米軍横田基地(福生市など)で、発がん性などが指摘される高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が今年1月に漏れていたと報じられた問題で日本共産党都議団は9日、小池百合子都知事あてに全容解明に向けて国や米軍への速やかな対応を申し入れました。

立ち入り調査の実施求める
 ▽都として国と米軍に直接聞き取りし、資料の提出を求めることや事故の全容を明らかにすること▽都による横田基地への立ち入り調査を行えるよう国と米軍に求めること―の2項目。
 沖縄タイムス(11月3日付)の報道によれば、事故は1月25、26両日に起き、消火用のスプリンクラー設備の部品が凍結によって破損し、内部のPFAS汚染水が計760㍑漏れ出し、側溝にも流れ込んだとされます。1㍑あたりの濃度は272万ナノ㌘で、日本の暫定指針値の5万4400倍でした。
 共産党都議団はこの報道を受けて6日、都の都市整備局に口頭で申し入れ。都はその後、北関東防衛局長・横田防衛事務所長あてに口頭で「速やかに情報提供を求める」と申し入れました。
 申し入れで尾崎あや子都議は「これでは不十分だ」と指摘。米軍は事故後、側溝からの水が基地西部の福生市側に出る排水出口を吸収材でふさいだと報道されていることについて、「本当にふさぎきれたのか強い疑問が残る」「事故現場は、民間地の境界から100㍍しか離れておらず、なぜ公表しなかったのか。到底許されるものではない」と批判。基地外への流出量も明らかにするよう求めました。
 応対した中村倫治副知事は「漏出があったのか、はっきりさせることが大事だ。重大な課題と認識している」と答えました。

宮本氏が横田基地を視察漏出事故の情報伝えよ
 この問題を巡っては、日本共産党の宮本徹衆院議員が9日、米軍横田基地に入り、在日米軍司令部のモーガン軍外交担当、ニックカールトン環境課長らと意見を交わしました。国会の委員派遣を除き日本共産党国会議員が同基地に入るのは初めてです。
 宮本議員は市民団体による自主的な血液検査で高濃度のPFASが検出されるなど不安が高まっていることや、横田基地でPFASを含む泡消火剤を用いた訓練が行われ、漏出事故も明らかになっていることから、同基地が汚染源の一つとの懸念が広がっていると指摘し、同基地が汚染源の一つであると認めるか認識を聞きました。その上で、米本国では環境保護庁(EPA)が汚染源の浄化を求めていることを示して、対策を行うよう求めました。
 さらに、泡消火剤の漏出事故について住民はマスコミ報道で初めて知るのが現状であり、日米の取り決めを超えて必要な情報を伝えることや、過去に行われた泡消火剤による消火訓練の記録を示すこと、訓練箇所周辺の土壌調査、沖縄タイムスが今年1月にも泡消火剤が漏出していたと報道したことについての事実関係の説明、日本政府や自治体から立ち入り調査の要請があれば、積極的に応じてほしいことなどを求めました。
 同基地の視察と意見交換は、宮本議員と山添拓参院議員が求めていたもので、山添議員はこの日、参院外交防衛委員会の審議と重なり参加できませんでした。山添議員は委員会質疑で宮本議員が基地に立ち入ったことを紹介し、「防衛庁や環境省こそ、より主体的に動くべきだ」と主張しました。