国主導で血液検査を PFAS汚染多摩住民団体が国に要請

 人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が多摩地域の水道水源の井戸水で検出され、地元住民による自主的な血液検査の結果、高い血中濃度が示されたことを受け、住民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」は10月31日に東京都、11月2日に国へ、大規模な血液検査や汚染源の特定などを求める要請書を手渡しました。
 国に対する要請では、日本共産党の宮本徹衆院議員、山添拓参院議員、立憲民主党の末松義規、大河原まさこ両衆院議員が同席。国側からは厚生労働、環境、経済産業、外務、防衛の5省が出席し、要請内容や同会メンバーからの質問に答えました。
 要請書は、▽子どもの成長発達に関する解析と、若者への疫学調査▽規制力のある水質基準値の規定▽全国的な血液検査▽地下水や土壌調査▽PFASを含む泡消火剤を漏出してきた米軍横田基地への立ち入り調査▽過去にPFASを使用した企業・公共施設の調査―の6項目を求めています。

基地への立ち入り「要請受けて対応」
 PFASの水質基準値について、環境省の担当者は「内閣府の食品安全委員会による評価結果が得られ次第、専門家の意見を聞きながら、科学的知見に基づき水道水中の目標値を検討したい」と形式的な発言。血液検査に関しては、「現時点の知見では、血液検査の結果で健康影響を評価することは困難」と消極的な回答にとどまりました。
 横田基地への立ち入り調査について、防衛省の担当者は「自治体と相談して適切に対応したい」と回答。同会メンバーが「関係自治体の要請があれば調査を求めるのか」と尋ねると、「要請を受けての対応は当然したい」「米軍に対して申し入れることはできる」と答えました。
 発言を受け、同会共同代表の根木山幸夫氏は、「我々の運動で各自治体からの要請を、目に見える形で届けたい」と述べました。
 要請書に対する各省からの回答後、同会メンバーが相次いで訴え。「科学的知見がないというが、疫学調査をすれば知見は得られる」「子どもたちは、親よりも高い体内汚染が起きている場合もある。これが異常値なのかは今の日本では判断できない」など、憤りや悲痛な声が上がりました。
 病院勤務のメンバーは、「PFASに対する様々な不安の声を聞くが、それに対して答えられない。血液検査で高い値が検出されても、どのように暮らしていけばいいのか悩んでいる」「不安を抱える住民がPFAS相談外来を訪れている。血液検査を全国で実施できるよう、国主導で進めてほしい」と訴えました。