外苑再開発 事業者見解は非科学的

❚ 樹木保全の方策示せ イコモスが批判

 多数の樹木を伐採するとして多くの文化人や市民が批判の声を上げている神宮外苑再開発(東京都港区・新宿区)で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問組織イコモス(国際記念物遺跡会議)の国内委員会が4日、三井不動産など事業者が出した「植生するので樹木は増える」との見解を「科学的データに基づかないものだ」と厳しく批判しました。

記者会見で事業者の見解を批判する日本イコモスの岡田(左)、石川両氏=4日、都庁(しんぶん赤旗提供)

 イコモスが9月に公表したヘリテージ・アラート(文化遺産危機警告)に対し、事業者は9月29日、「伐採3千本との指摘は推計値。樹木は極力、保存・移植し新植もするので、緑の割合は増える」と反論する見解を公表していました。

 イコモス国内委員会の岡田保良委員長、石川幹子理事は都庁で記者会見し、「事業者が条例に基づき提出した風致地区の伐採許可申請で3028本と記載している」「伐採と移植は森の生態系を破壊する意味では同じであり、事業者は樹木を保存する方策を真摯(しんし)に検討すべきだ」と指摘しました。

 事業者が「樹齢を確定できる記録がない」としたことについても、「樹齢を一切考慮せずに伐採・移植計画を策定したことになる。外苑全体の森の詳細な構造的内容を把握することが、科学的分析の基本だ」と批判しました。

 石川氏は「事業者はイコモスの指摘への異議を申し立てる前に、樹木をどこに、どのように移植するかなど科学的データを示すべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗2023年10月5日付より)