“温かい給食を全員で“実現へ市民と共産党議員団奮闘
「中学校に給食がないなんて考えてもいなかった」―東京都内で全員給食が実施されていない地域に住む保護者の声です。小学校ではみんなで同じ温かい給食。中学校に上がると、それぞれ別々の冷たい弁当になる子どもたちがいます。すべての子どもたちに温かい給食の実現に向け、市民と日本共産党議員団が奮闘しています。
(小林圭子)
全国で学校給食無償化が広がる一方、東京都東村山、東久留米、国分寺の3市では、市長や市議会与党が全員給食の実施すら阻んでいます。
東村山の市民でつくる「中学校全員給食を実現する会」は、週2回の署名活動をしています。1歳と3歳の子どもを連れた女性(36)は、「全員給食がないのは知らなかった。毎日のことだから、働く親は弁当をつくるのは大変」と、署名しました。同会では3月下旬、4,013人分の署名を市に提出しました。
同会の事務局では、署名活動を通じて市民の共感が広がっていると実感しています。コロナ禍で貧困が深まり3食をまともに食べられない家庭もあるといい、「一日でも早く、みんなに同じ栄養のある給食を食べさせたい」と意気込みます。
市民の8割賛成
行政は市民の要求に背を向けています。同会が渡部尚市長との懇談を再三求めていますが、応じていません。市教育委員会は、同会が作製したチラシに対し「著しく行政運営を阻害するもの」との通知を出しました。
市議会の委員会では3月、同会が提出した全員給食を求める陳情をめぐり、採決自体が見送られ結論を出すことなく審査未了、廃案になりました。自民、公明両会派が後ろ向きの姿勢を示したからです。
日本共産党市議団が実施したアンケートでは、8割弱の市民が全員給食に賛成でした。浅見みどり党市議は「市民の要求は大きく、選挙で大きな争点にしたい」と述べます。
3市の給食は、外注のスクールランチか家庭の弁当かを選ぶ選択方式を採用しています。スクールランチは事前予約が必要で、予約を忘れると食べられません。また、衛生上の観点から冷まして配送されます。
東村山、東久留米両市では約半数の子がスクールランチ、そのほかの子は家庭の弁当や店で購入したものなどさまざまです。弁当を忘れ、何も食べずに過ごす子や、学校が備蓄する乾パンを渡される子もいるといいます。
「命にかかわる」
東久留米市では昨年12月、市民でつくる「中学校給食をめざす会」が全員給食移行への検討を求める請願を市議会に提出。共産党は賛成しましたが、自公らの反対多数で不採択になりました。市側は、生徒が選択できることで、食生活の管理や個を尊重する力を養えるなどとして、選択方式を維持する姿勢です。
永田まさ子党市議は「市長が一貫して選択方式にこだわっている。公費を抑えようとしているのでは」と指摘。「給食は命にかかわる問題。無償化が広がる一方で、大きく立ち遅れている現状を変えたい」と語ります。
国分寺市では、日本共産党市議団と市民有志の会がそれぞれ中学校給食の実態についてアンケートを実施中です。党市議団は同会と意見交換を続けるなど、子どもや保護者の声を市議会に届けてきました。
中山ごう党市議は「何よりも温かくおいしい、みんなで同じ給食を食べてほしい。全員給食と給食無償化のどちらも実現できるよう市民の声を訴えていく」と力を込めます。
(「しんぶん赤旗」4月9日付より)