進まぬホームドア設置 党議員質問で前進も 党躍進させ安全な駅を

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視覚障害者 歩行「綱渡り」

「綱渡りをしているよう」。視覚障害者が、ホームドアのない駅ホームを歩くときの感覚です。ホーム転落事故はホームドア設置で根絶できますが、なかなか進みません。そうした中で、日本共産党の地方議員が議会で質問するなどして設置された駅もあります。(津久井佑希)

 

❚ 党議員質問で前進も

2月28日にホームドアが設置されたばかりのJR谷保駅(東京都国立市)ホーム。視覚障害のある山城完治さん(66)と、日本共産党の高原幸雄国立市議、矢部あらた市議候補の姿がありました。
視覚障害者にとって可動柵のないホームは、いつ落ちてもおかしくない場所です。
「ホームドアは床と同様、ホームの最低条件」。山城さんはホームドアに付いた点字表示に触れながら話します。「●号車●番ドア」と表示されており、位置がわかります。

 

 

❚ 早期整備を決議

JR八王子駅で駅点検した(左から)わたばやし八王子市議候補、山城さん、市川市議候補=7日、東京都八王子市

ホームドア設置には鉄道事業者と都道府県、国が出資します。3者が一体になる必要があります。
国立市議会では「ホームドアの早期整備を求める決議」を全会一致で決議して国と都、JRに2回提出。高原市議が一般質問で取り上げたことなどが実を結びました。
同駅は東京都多摩障害者スポーツセンターの最寄り駅。高原市議は「良かった」と笑顔で振り返ります。
父親が全盲の矢部市議候補は「バリアフリーは障害者だけのものではない。社会全体の問題として取り組んでいきたい」と意気込みます。
視覚障害のあるFさん(41)は、同駅へのホームドア設置を望んでいました。他の駅ホームで転落経験があります。「これで安全な歩行ができるので、すごくよかった」と話しました。
都立八王子盲学校の最寄り駅であるにもかかわらず、ホームドアがないJR西八王子駅(東京都八王子市)。
「ここがホームの一番端ですね」。白杖(はくじょう)と足裏の感覚で点字ブロックを確認する山城さん。「一番端はもっと先だけど、点字ブロックはここまでです」。共産党の市川かつひろ八王子市議候補は説明します。山城さんは「点字ブロックすらなければ、先に行っちゃった場合さらに転落する可能性が高まる」と指摘します。
知的障害者施設で7年働いた、わたばやしゆか市議候補は「弱い立場にいる人に寄り添う街づくりは、困っていない人も便利になる。ホームドア設置を市民と一緒に進めていきたい」と話しました。
市川市議候補は「選挙後に盲学校関係者の声を聞くなどして、他会派とも一緒にホームドア設置を実現したい」と力を込めました。

 

 

❚ 命を守る予算に

国土交通省の集計では全国の鉄道駅9,989(2020年度)のうち、ホームドアが設置されているのはわずか1002駅(21年度末)です。JR東日本は東京圏在来線主要駅へのホームドア設置目標を31年度末ごろとしています。
山城さんは「命を失わないよう取り組むことが仕事である事業者や国が、早急に手を打たないことに怒りを感じる」と批判。「軍事費ではなく、命を守るために予算を使って」と語ります。
統一地方選で共産党が躍進し、ホームドア設置が前進することを願う山城さん。「市民の話をよく聞いて一緒に運動して働きかけて、議会でも取り上げてくれる。そんな議員が増えてほしい」
(「しんぶん赤旗」3月26日付けより)