「ニーズくみ、支援に道すじ」 障害者施設職員から候補に 2023統一地方選 共産党予定候補 挑戦への思い

八王子市
わたばやしゆかさん

 「初めて投票した政党は、どこだったかなー。学生寮の先輩から『一番まともだよ』と聞いていた、共産党だったと思います。たぶん」。こう言って「ふふっ」と笑うのは、来春の八王子市議選(定数40)に日本共産党(前回当選4人、現有3人)から立候補を予定する、わかばやしゆかさん(31)です。政治に特段の関心は持たずに学生生活を送った“ごく普通”の若者でした。
 わたばやしさんの中学、高校時代は、部活の吹奏楽部(バスクラリネット)に明け暮れる日々でした。そんな中でも、受験勉強のために部活を辞めざるをえなくなった友人たちを見るにつけ、力になれなかったことを悔やむ優しい心を育てていました。
 その優しさは知的障害者施設という福祉の道に飛び込む下地にもなりました。大学4年の夏、就職先が決まらず、いろいろ思い悩んだ末、「障害のある人もない人も自分らしく生きられる社会を」という設立理念にひかれ、都内の社会福祉法人に就職。職場は言葉でのやりとりができない重度の知的障害者や発達障害のある人たちの入所施設でした。
 「最初は戸惑いました。接していくうちに表情や態度でどういう気持ちなのか、私たちに何をしてほしいのかが分かるようになりました。表情で意思が伝わった時には、涙が出るほどうれしかった」
 7年間、多くのことを施設で学びました。「情報提供の仕方、どれぐらい理解できるのか、興味のあることは何なのか、一人ひとり違います。私たち支援員の理解が深まるほどに入所者の生活を豊かにすることができることに気がつきました」

検査しない政治
本気で変えたい

 しかし現実は慢性的な人手不足で、余裕はありませんでした。そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスでした。「緊急事態宣言まで出しているのに、国も都もPCR検査を広げようとしない。施設で一人の感染者が出たら全体に広がってしまう」
 危機感を募らせる中、巡ってきた都知事選(2020年7月)。「PCR検査をちゃんと進めてくれる人に都知事になってほしい」。野党統一候補の宇都宮健児氏を勝たせたいと本気で思いました。
 都心の選挙事務所まで2時間近くかけてビラを受け取り、八王子市内で一人、ポスティングするという行動を起こします。「都心は大変なので、市内の共産党事務所にもビラはあるだろうと思って連絡しました」。共産党との初接触です。

思っているだけでは変わらない
 「選挙結果は残念でしたが、政治を変えたいと本気で考えるようになりました。一人で頑張るには限界も感じました」。わたばやしさんは、共産党を応援するツイートなどをよく見るようになります。「『共産党に入りました』っていうツイートをよく見かけたし、ツイキャス(動画ライブ配信)をしていた人からも勧められました。思っているだけじゃ変わらない。入るだけでも共産党の力になるなら」
 わたばやしさんは共産党の八王子地区委員会に電話で、「入党したいんですけど」と告げました。電話に出た職員はもちろん大喜びです。ちょうど2年前の9月13日のことでした。
 わたばやしさんは、日本民主青年同盟にも加入し、都の役員になって活動の幅を広げます。そして昨年11月、都議になったアオヤギ有希子さんの後継に、との要請。「まさか、私なんかと思いました。1カ月悩みました。利用者のニーズをくみ取って、どう支援していくかの道筋を立てて実行していくのが支援員。市議は地域住民のニーズをくみ取って、実現するための道筋=政策を立てたり、条例を提案したりするのが仕事。自分にもやれるかもしれない」
 心残りのあった職場の上司に打ち明けると「応援するよ。後のことは心配するな」と、快く送り出してくれました。

ファンタジーで気持ちリセット
 「アニメマンガが好き」という、わたばやしさん。「進撃の巨人」や「本好きの下剋上」の大ファンだといいます。「ファンタジーが好きです。世の中の矛盾や差別の問題も考えさせられます。何よりいやなことがあっても、気持ちをリセットしてくれる」。
 夢を現実にするために、わたばやしさんはきょうも心を新たに、原稿をインストールしたスマホを手に、街頭に立ちます。

東京地評が争議支援総行動
解雇・差別を許さない

 東京地方労働組合評議会(東京地評)は15日、労働争議の早期解決のために、争議支援総行動を実施しました。朝から14件の労働争議の全面解決と、「憲法をくらしと職場に活かそう、不当解雇・差別・ハラスメントは許さない」などのスローガンを掲げて、社前宣伝や要請行動などを行いました。併せて東京都労働委員会(都労委)、中央労働委員会(中労委)、東京地裁にも要請しました。行動には労働争議の当事者のほか、支援者なども多く駆けつけました。
 昨年12月31日、建て替えを理由に一方的に閉院された多摩市の一般財団法人愛生会厚生荘病院(湖山泰成理事長)を統括する中央区銀座の湖山医療福祉グループ本部前にも、多くの医療従事者や支援者が集まりました。
 「厚生荘病院の周辺では医療の空白が起きています。地域の住民からは、厚生荘病院の再開を望む声が上がり続けています。地域で唯一の内科クリニックもなくなり、身近な診療所が皆無になりました。早期再開が重要です」との住民の切実な声が響き、通行人の足が止まりました。
 医療の現場で奮闘する労働者は、「多摩市内で医療の中核を担ってきた病院が閉鎖された影響は大きい。コロナ禍で大変な中、患者さんや住民はどれだけ不安な思いをしたのか。医療従事者は励まし合って頑張ってきた。こうした思いを踏みにじる行為は許されない」と訴えました。
 厚生荘病院では労働組合員10人は配置転換もなく、一方的に解雇され都労委や司法の場でたたかっています。
 ファスナーで世界的シェアナンバーワンのYKK(本社・千代田区)前では、外国人労働者の差別解消を訴えました。

一分

 「世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった」▼情報公開された文書やインタビューなど、実名情報に基づいて、ジャーナリストのティム・ワイナー氏がCIA(米中央情報局)の歴史を紐解いた著書『CIA秘録』(文芸春秋)に出てくる言葉です▼この「選ばれた指導者」が、いま国葬の是非が問われている安倍晋三元首相の祖父、岸信介氏です。アメリカによる岸氏への支援の一つが、秘密の資金提供でした。当時の駐日大使はティム氏のインタビューに、岸氏は米側を、「もし日本が共産化するとアジアの他の国々が追随しないとは考えにくい」という言葉で説得したと証言しています▼岸元首相が日本での反共産主義の活動をともに進めた組織が、統一協会です。自民党は8日、所属国会議員と統一協会とのかかわりの、点検結果の概要を公表しました。本格的な調査には程遠くても、半数近くの議員の名があがり、両者の深い関係を浮き彫りにしました▼『CIA秘録』は、「日本に左翼政権が誕生することを懸念」して、CIAが進めたさまざまな秘密計画も明らかにしています。統一協会と自民党との癒着は、「反共産主義」を軸とした、戦後の日本政治の深い闇そのものにも光を当てています。