会社は誠実に向き合え 全労連・東京地評 労働争議の支援総行動

 「会社は法律にのっとって労働者の権利を守れ」―青空にこだまするシュプレヒコールに通りがかりの人の足が止まります。全国労働組合総連合(全労連)と東京地方労働組合評議会(東京地評)は5月25日、争議支援総行動を実施。早朝から夕刻まで、22社で起きている労働争議の早期解決をめざし社前抗議行動と要請行動を行いました。
 年齢や病歴を理由に一律に乗員・客室乗務員165人が不当解雇された日本航空本社(品川区)前では、9時前からJAL被解雇者労働組合と支援者が集結。JALと破たんの旗振り役を担った国土交通省が団体交渉(団交)を拒否する不当労働行為をめぐり、東京都労働委員会(都労委)に申し立てたことについて「誠実に向き合うように」と声を上げました。
 日本財団ビル前(港区)では同ビルに居を構える笹川保健財団に向けて、同財団が運営を受託する国立ハンセン病資料館の不当解雇問題への抗議が行われました。都労委の命令を無視する姿勢に、行動参加者は「障害者支援など良いことをしているイメージでしたが、法律も命令も無視するとは許しがたい。障害者を利用しているだけなのでしょう」と、怒りで声を震わせていました。
 無借金営業で従業員が一体となってコロナ禍を乗り越えようとしていた矢先に実質的経営者によって突然、一昨年5月に会社解散・全員解雇を強行されたうどんすきの名店東京美々卯(中央区)の争議支援行動は京橋店の建物前で行われました。現在、労働組合は都労委への申立ての他、東京地裁で地位確認、不払い残業、株主の地位確認などで奮闘中です。
 また、京橋店跡地を含む「京橋3丁目東地区再開発事業」は、自治体ぐるみの商業施設を最優先した計画であることも明らかになっています。「取引先の連鎖倒産も起きていて心が痛む。美々卯の出汁の味を楽しみにしてくださっているお客様のためにも、一日も早く営業を再開したい」との元店長らの訴えに、お昼休みのサラリーマンも耳を傾けていました。

最終は東電前で
 午前中の統一行動では、パワハラ降格争議、AI不当労働争議、定年後再雇用争議など複数の争議が起きている日本IBMと同社子会社のキンドルジャパン前(中央区)に全国から支援者が詰めかけました。JMIU日本IBM支部は「従業員使い捨て7つ道具で従業員の切り捨てを進めている。賃金交渉は不誠実団交で低レベルの賃上げ回答だ」として支援を訴えました。
 午後は生乳工場での組合員差別などで日本一長い争議となった明治本社(中央区)での行動の他、日本人の契約制客室乗務員の雇止め問題でKLMオランダ航空日本本部(港区)、子育てや外国人差別問題で裁判問題となっているYKK(千代田区)でも手分けをして行動が行われました。
 最終は東電ホールディングス前(千代田区)で関連企業のパワーグリッド社争議で集中行動。中央労働委員会(中労委)での決定を無視した行為に抗議の声が上がりました。「電気の安全・安心供給が揺らぐ大問題だ。中労委が組合員を労働者と認めた以上、解決に向けて誠意ある対応が不可欠だ」との声に拍手が起こりました。当事者は取材に「自分たちは請負で東電の社員じゃなくても、お客様と接する最先端。東日本大震災の時には怒りの声を受けて頭を下げることもあった。本社の人間はそんなこともわかっていない」と語りました。
 要請団は中労委、都労委、東京地裁にも要請行動を展開。誠実で迅速な対応を求めました。