選手村用地住民訴訟最終弁論/「都の負担隠す意図」原告側が批判

東京都が五輪選手村整備の名目で、中央区晴海の都有地(約13.4ヘクタール)を近隣地価の10分の1以下の129億6000万円で大手不動産11社に売却したのは違法だとして、都民33人が都に対し、損害賠償約1500億円を舛添要一前知事と小池百合子知事らに請求するよう求めた住民訴訟で、最終弁論が8月31日、東京地裁で行われました。

中野幸則原告団長と岩見良太郎・埼玉大学名誉教授が原告意見陳述。中野さんは「都は選手村整備で少なくとも土地や基盤整備など計2000億円を負担している。土地の正常価格を算出しなかったことは、都の負担を隠蔽(いんぺい)する意図があったからだ。譲渡価格は土地の造成コストを下回り不合理。『五輪を掲げれば違法もおとがめなし』の行政を正すべきだ」と述べました。

岩見さんは「完全な更地で地権者が都だけという晴海選手村用地に市街地再開発を活用するのは、都市計画として異常だ。都有地を超安値でデベロッパーに払い下げ、公有財産の公正な処分ができなくなる手法だ」と批判しました。
原告弁護団の淵脇みどり弁護士は弁論後の記者会見で、「都はデベロッパーの事業採算を最優先にしたことを隠してきた。資料を『のり弁』にした被告側に、裁判所も開示を再三求め、少しずつ開示させてきた。本来は行政が適法性を説明する証拠を提出すべきだ」と強調しました。
判決日は未定です。

(「しんぶん赤旗」2021年9月1日付より)