都議選(7月4日投開票)では、2人区の文京で、日本共産党の福手ゆう子さんがトップ当選を果たしました。得票数は、国政、地方の選挙全体で、文京区の共産党候補として初めて、3万票を超えました。「五輪より命を」という世論の怒りが、かつてない支持の広がりにつながりました。    (荒金哲)

「命を守ることが大きな争点になった選挙の中で、共産党がトップで勝った。本当に歴史的な選挙結果を出したんだと思います」―4日の投開票日、集まった支援者を前に福手さんが語ると、大きな拍手が沸き起こりました。
当選後、子育て世代や働く世代の女性から、街で福手さんに「おめでとうございます」などの声がかかり、これまでつながりのなかった人たちに、支持が広がったことを実感するといいます。
なかでも、共感を広げたのが、都内で約90万人、文京区では約1万3千人の子どもが動員される計画だった、オリンピックの学校連携観戦の中止を求める訴えでした。

コロナの変異株が流行しているなかで公共交通機関で大規模に移動することになり、子どもたちへの感染拡大、熱中症の危険などの心配が、子育て世代のみならず、孫を持つ人たちなど幅広い世代に広がりました。
他方、区は、保護者らが、どの競技会場にいつ観戦に行くのか、教えてほしいと問い合わせても、具体的な計画を明らかにしませんでした。
共産党文京区議団は、福手さんとともに区に中止を申し入れ、学校ごとの観戦日と会場の計画を区に明らかにさせて一覧にしたチラシを配布。インターネットの動画チャンネルでも配信して子育て世代から、「これを知りたかった」と大きな反響を呼びました。
区にも保護者などからの中止を求める声が相次ぐなか、文京区は、目黒区に続いて23区で2番目に観戦中止を決定。区民の思いが区政を動かす中で、「街頭でも手を振ってくれる人たちがどんどん増えていった」(福手さん)といいます。

4年間で共同深め
福手さんは、前回2017年の都議選も、市民と野党の共同の候補としてたたかい、わずか215票差で惜敗しました。
その後、4年間、都議選で公約した大塚都バス車庫跡地(都有地)の福祉活用実現、地元の大争点となる都立駒込・大塚病院の「地方独立行政法人化」中止の署名をはじめ、共闘した区議、区民と一緒にさまざまな運動に取り組み、共同を深めてきました。
立憲民主党の松尾明弘衆院議員は、告示前に6回にわたって街頭で福手さんの応援に立ちました。選挙中も、立憲民主党や無所属の区議が、選挙はがきのあて名書きや、街頭での訴えなどに参加しました。
福手陣営が、今回、重視したのが、支援してくれる人や後援会員に、福手さんの宣伝物が複数枚、入った「折り入ってお願い袋」を渡し、まわりの人に宣伝物などを渡してもらう取り組み。これにも、立憲や無所属の区議も協力しました。
「お願い袋」は約8千人に、約1万4千袋を渡しました。目標だった5千人、1万袋を大きく上回っています。
長島正人・共産党文京地区委員長は「大坂から応援にかけつけた、清水ただしさん(共産党衆院議員)が“2人区で勝つには1位当選を目指さないといけないんだ”と話され、それが私たちの心構えになった。『お願い袋』を渡しながら、対面でその時々の選挙情勢を語り、『だから周りの人に広げてほしい』と訴えることを重視してきた」と振り返ります。

自民落選スカッと
福手氏のほか、自民党と都民ファースト現職の有力候補が三つ巴の争いとなった選挙戦で、5期連続当選を目指した自民党現職が落選した結果にも衝撃が広がっています。
福手さんが前回より4千票余り得票を伸ばしたのに対し、自民党、都ファとともに得票を減らしました。
2019年の参院選の比例票が、自民党、公明党合計で約4万3千票に対し、都議選では公明党も推薦した自民党現職の得票は2万5千票余りと、参院比例の6割弱にとどまっています。
福手さんは、「商店街の人などにも、あいさつすると、『当選おめでとう』の言葉の後に、こっそりと『自民党が落ちてスカッとした』と付け加えてくることがよくあります。コロナ感染拡大のなかでも五輪開催に突き進み、命を軽視する自民党に、有権者のはっきりとした怒りが出たこの結果を、総選挙での市民と野党の共闘の勝利につなげたい」と話します。