感染 急拡大 不安だらけの五輪開幕 コロナ感染者1週間で1・5倍

共産党「今からでも中止を」
新型コロナウイルスの感染拡大が急加速しています。18日に新たに確認された感染者は1008人、5日連続で千人を超えました。直近1週間平均の1日当たりの感染者は1068人で、先週日曜日の734人から約1・5倍に増加。オリンピック関係者の感染判明も相次ぎ、組織委員会が発表した海外、国内在住者合わせた感染者は55人にのぼっています。一方、政府からの有効な対策はなく、ワクチン不足による接種スピードもダウン。こうした中23日に開幕する東京オリンピックへの不安は増すばかりです。日本共産党は「今からでも中止し、感染対策に全力を」と主張しています。

東京都の発表によると18日現在、入院患者数は2304人(重症者58人)、ホテルなどの宿泊療養1727人、自宅療養3005人、入院・宿泊療養先の調整中は1957人で、いずれも増加傾向です。
15日開かれた都のモニタリング会議で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は、感染者数が今の増加ペースで続けば、2週間後の28日には1402人、8月11日には2406人になり、これまでの第3波のピーク(1816人)を大きく超えると分析しました。人流増加や感染力の強い変異株・デルタ株の影響で加速すると、「予測より早期に第3波を超える」と指摘。「医療提供体制がひっ迫の危機に直面する」との危機感も示しました。
日本共産党の志位和夫委員長は15日の会見で▽感染状況の悪化▽感染を封じ込めるとする「バブル方式」の破綻▽世界に感染拡大をもたらす危険―の3点をあげ、「今からでも五輪の中止を決断すべきだ」と強く主張しています。

業者「いつまで酒禁止」政府の強権・無策に怒り

五輪開幕を目前にして、政府の感染対策の迷走ぶりも際だっています。酒類提供を続ける飲食店に対し政府が金融機関や酒類販売事業者を通じて圧力をかける方針は、国民の厳しい批判にさらされ撤回せざるをえなくなりました。
志位氏は「撤回で済む問題ではない」(15日会見)とし、責任者の西村康稔経済再生担当相の辞任を求めた上で、「政府が無法な強権に走った根本には、感染拡大を抑止できないことへの焦燥感があった」と指摘。感染拡大を抑えられない最大の原因は、五輪開催への固執だとして、「今からでも五輪は中止すべきことを強く求めたい」と訴えました。
強権的な手法で事業者に自粛を迫る一方、不十分な支援に、事業者の不満や怒りが渦巻いています。
「一日も早いコロナ終息を願い休業や時短に応じてきた。対策は飲食の時短と酒類提供禁止のくり返し。政府はどう総括しているのか」。16日行われた日本共産党の笠井亮衆院議員らと新宿区で飲食業を営む事業者でつくる「新宿の灯を守る会」メンバーとの懇談では、会員制クラブのオーナーから政府の無策ぶりに怒りの声があがりました。

協力金急いで


地域でひっそりと営業を続けてきた小さな飲食店も深刻です。駒込駅前の商店街(豊島区)で18年前から営業を続ける中華料理店「餃子屋」は、スパイスの効いたスペアリブの香味揚げや、熱々の土鍋で出す麻婆麺など、本格的な中華料理が人気の店です。本来は午前11時から夜11時までの営業を、現在は午後8時までに短縮しています。
調理場を切り盛りする店主の陳澄さんは、「売り上げはコロナ禍前の3分の1ほど。その分、午後3時から5時の休憩をなくしています。それでもお酒は出せないし売り上げは大きく下がり、夜は来客が2~3人だけという時もある」と嘆きます。
都の協力金は「うちのような小規模の店にとっては、とても助かっている」という陳澄さんですが、「申請しても、いつまでに入金されるのか目途がわからない。早く支給する仕組みにしてほしい」と訴えます。

東商連 都に要請行動
地域の民主商工会(中小零細業者が加盟)で構成する東京商工団体連合会は19日、コロナ禍でぎりぎりの経営を強いられている中小零細業者の商売を「つぶさせないでほしい」と、東京都に対し都独自の支援策などを求める宣伝・要請行動を行いました。
家賃・固定費補助や売り上げ・所得減少に対する支援金など都独自の支援制度や、高すぎる国保料(税)の引き下げ、融資制度の拡充などを求める署名300人分を提出。都庁前で宣伝も行いました。
星実会長は「感染拡大の中で飲食店はもちろん、都内の中小零細業者はみんな大変な思いをしています。私は印刷業ですが、売上はコロナ前の2割まで落ち込んでいる。東京都はもっと支援を充実してほしいというのは切実な願いです」と訴えました。

五輪中止署名45万人分を提出
日本弁護士連合会元会長の宇都宮健児弁護士は15日、オンライン署名サイトで集めた東京五輪の中止を求める45万1867人分の署名と要望書を、東京都などに提出しました。
宇都宮氏は提出後の会見で「命と暮らしを守るために勇気をもって中止を決断すべきだ」とのべました。菅義偉首相、大会組織委員会の橋本聖子会長、IOC(国際オリンピック委員会)・バッハ会長が宿泊するホテル、IPC(国際パラリンピック委員会)本部にも、直接または郵送で届けられました。署名は中止が決まるまで続けるとしています。

ただちに中止を 知事に申し入れ
日本共産党都議団は19日、4度目の緊急事態宣言を受けて小池百合子知事に対して、今夏の東京五輪・パラリンピック大会の中止を直ちに決断し、都の組織力、財政力、知恵を新型コロナ対策に集中させるよう改めて申し入れました。
また、事業者への支援、迅速なワクチン接種、検査体制の拡充、医療機関への新たな財政支援、生活困窮者への生活支援などについて、具体的に申し入れました。