医療崩壊食い止めよ あぜ上都議が対策を提案

臨時都議会 コロナ対策で補正予算

 都議会臨時会の補正予算等審議特別委員会は21日、都が提出した新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算案(3574億円)を全会一致で可決しました。22日の最終本会議で可決・成立します。
 補正予算案には、都の要請を受けて休業・営業時間短縮を行った事業者に支払う「協力金」(1店舗50万円、2店舗以上100万円)や、PCR検査体制の強化、区市町村に対する財政支援などが盛り込まれています。
 同特別委員会で質疑に立った日本共産党のあぜ上三和子都議は、直面する新型コロナ危機から都民の命と暮らしを守るために「都は何をなすべきかを提案する立場で質問する」とのべた上で、医療崩壊を食い止めるための対策について提案しました。

検査体制の強化を

 最初に取り上げたのが、医療崩壊を止める上でカギとも言われるPCR検査体制の問題。日本は他国と比べ、桁違いに検査数が少なく(グラフ)、専門家からも「感染拡大を止めるには検査と隔離を徹底するしかない」として、検査体制の充実を求める声が相次いでいます。
 あぜ上都議は、検査数を増やす上で、窓口となっている保健所が数多くの仕事を抱えて対応しきれない状況にあることが課題だと指摘。医師会や医療機関の協力で保健所を通さずに検査につなぐ「PCR検査センター」の設置の取り組みを強力に推進するよう求めました。
 また、検査時の院内感染リスクを軽減できる方式として、検査を受ける人が車に乗ったまま可能なドライブスルーや、遮蔽された箱を使い手だけを出して検体を採取できるウオークイン方式を提案しました。
 内藤淳福祉保健局長は「関係機関と協議を進めながら適切に対応していく」と答えました。

病床確保の支援求める 都「提供体制を整備」

 新型コロナ感染症の検査で陽性になった人が入院する病床の不足が深刻です。陽性者もベッドが空くまで自宅待機にせざるを得ない事例も相次いでいます。都は4000床の確保を目指すとしていますが、現在2000床にとどまっています。都は重症者の病床を確保するため、軽症者・無症状者を受け入れる宿泊施設の確保を進めています。
 あぜ上都議は病床確保には人材面、財政面でも十分な支援が必要だと強調。補正予算に盛り込んだコロナ患者を受け入れるための空きベッド補償として1万6200円の補助を補正予算に盛り込んだことを評価しつつ、「金額は十分ではなく、国と合わせ全ての損失補てんができるようにすべきだ」と主張しました。

 さらに入院医療提供体制の整備に向けて、重症者の集中治療を行う病院と、中等症患者などを受け入れる病院の設定を提案。都立病院・公社病院に同病院を設置できないか、検討するよう求めました。
 内藤福祉保健局長は重篤・重症患者を受け入れる病床を700床、中等症を受け入れる病床を3300床の確保を目指し、「通常診療や救急医療体制を維持しながら重症者などへの対応を中心とした医療提供体制を整備していく」としました。
 あぜ上都議は都の「感染拡大防止協力金」(1店舗50万円、2店舗以上100万円)を「一歩前進」と評価。その上で、使い勝手を良くし、幅広い事業者に支給できるようにすべきだと主張。「補償なき緊急事態宣言は、安心して自粛することも、休業することもできない」とのべ、「自粛は補償とセットという認識をもって、国に要請するとともに、都としても補償に踏み出すことを強く求める」と迫りました。

共産党都議団 都の「協力金」見直しを

 東京都が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、都の要請に「全面的に協力」して休業(飲食店などは時間短縮)した店舗に支払う協力金が、16日から休業しなければ支払われないことが15日発表した都の実施要綱で分かりました。事業者から「自分が休業要請の対象か分からない」「都に問い合わせても電話がつながらない」といった声が多数出ています。
 日本共産党都議団は同日、「実施要綱発表の翌日から休業しないと支払い対象にしないのは、あまりにも乱暴だ」として、見直しを小池百合子知事に申し入れました。
 申し入れでは、都のホームページで「全面的な協力」とは、「少なくとも4月16日から5月6日までの期間において休業」した場合だとしていることをあげ、「16日から休業を始めないと対象外であることは多くの事業者に周知されていない。このままでは対象施設でも協力金を得られず、廃業などの事態につながりかねない」と指摘。17日以降に全面協力した事業者も対象とし、それを広く周知するよう求めました。
 多羅尾光睦副知事は「要請の趣旨は承った」と答えました。

都議会 支援求め決議

 都議会臨時会は開会した17日、「新型コロナウイルス感染症拡大に対する国の支援を求める決議」を全会一致で可決しました。
 決議は「事業者や労働者の数が世界一の規模である首都東京では、多くの事業者が莫大な損失を抱え込み、倒産や廃業の危機にひんしている」と指摘。「今後も新型コロナウイルス感染症の克服とともに、あらゆる手段を駆使し、都民の生命、財産を守り抜くことは、東京都議会の使命」としています。
 都は、医療体制がひっ迫し、更なる感染拡大防止策や検査・医療提供体制の強化が必要であり、全国知事会は国に協力要請に対する補償を求める緊急提言を行っていると強調。その上で、国に対し「都民と事業者へのより一層の経済支援及び都を含めた緊急事態宣言対象地域への感染状況に応じた財政支援」を強く求めています。
 小池百合子知事は今回提案の補正予算案をふくめ過去最大の総額8000億円の緊急対策を策定したと発言。東京都医師会の訴えを紹介し、不要不急の外出を控えるよう呼びかけました。

共産党 閉会審査の特別委を提案

 日本共産党都議団は臨時会の閉会後も新型コロナ対策を審議する、「新型コロナウイルス感染症対策特別委員会」を設置する動議を提出しましたが、否決されました。