シルバーパス無料に戻しもっと便利に 新婦人都本部 アンケートもとに請願

 都内の民営バスと都営交通などで使える「シルバーパス」は、高齢者の“足”として喜ばれています。一方、所得によって2万円を超える金額や使用できる交通機関に制約があることなどから、「もっと使いやすくしてほしい」との声が上がっています。小池百合子知事は先の都知事選の公約「東京大改革3・0」で、「多摩モノレールをシルバーパスの対象に」など、初めてシルバーパスの改善に触れました。

 シルバーパスは「高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上を図ることを目的」として始まり、もともとは70歳以上の高齢者に無料で配布されていました。それが石原慎太郎知事時代の2000年に全面有料化。現在、非課税か合計所得が135万円以下は1000円、超えると20510円です。希望者自ら購入しなければなりません。
 使用できる交通機関は、都内の民営バス、都バス、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナー、八丈町営バス、三宅村営バスに限られます。

「高い」がトップ
 「新日本婦人の会東京都本部」が会員を中心に、この間取り組んだアンケート調査(回答355件=中間まとめ)では、「価格が高いので利用できない。もっと細かい段階にしてほしい」「高齢者が外出しやすくするために、本来は無料にするのが当たり前。かせぐ都政でなく弱い立場への社会保障をしっかりやってほしい」など、値下げを求める声が多数寄せられました。
 問題に感じていることを尋ねた質問への回答のトップは「価格が高い」でした(一覧参照)。
 また、「最寄りの鉄道はJRや京王線で、シルバーパスが使えない」「地域的に県境にかかり困っています」「コミュニティバスで使用できない」など、使用できる交通機関や地域が限られることに問題を感じる人が多くいることも浮き彫りになりました。
 都が2018~19年に都民を対象に行ったアンケート調査でも、2万510円の利用者負担について「高いと思う」が最多でした。これからのパスのあり方で70歳以上の回答の第2位は「鉄道やモノレール等で利用可能にする」で、市町村在住者では1位でした。
 日本共産党都議団はこれまで条例提案を含めシルバーパスの改善を繰り返し要望。今年7月には、小池百合子知事にパス無償化や使用できる交通機関の多摩都市モノレール、ゆりかもめへの拡大などを要望しています。
 新婦人都本部ではアンケート結果を受けて、シルバーパスを無料に戻すことや利用交通機関を多摩都市モノレール、ゆりかもめ、コミュニティバスに拡大、パス適用年齢の65歳への引き下げなどを求める請願署名を9月都議会に提出。各会派に賛同を呼びかけています。

新婦人都本部事務局長
岡林奈緒子さんの話

 アンケートでは車や自転車に乗れず、物価高騰による生活不安の中で生きる高齢者にとって、シルバーパスはなくてはならない制度であることが分かりました。多摩格差も改めて浮き彫りになりました。23区では申請手続きや価格への要望が多いのに対して、多摩地域ではそもそもシルバーパスを利用できる交通機関が少なく、路線廃止や減便など、公共交通機関の存続自体への不安が見られました。東京都内どこに住んでいても、安心して暮らせるようシルバーパスの拡充を求めます。