未来を拓く 山添 拓 火事場泥棒の 立法にNOを

 新型コロナの影響が日を追って深刻化。医療崩壊の危険が迫る多くの医療機関、補償なき休業要請で苦境にある事業者など、文字通り瀬戸際です。
 国会では、「3密」を防ぎ「出勤7割減」のためといい開催する委員会を減らし、出席議員の「間引き」までする党も。野党は、「間引きするなら不要不急の法案をこそ」と求めてきました。
 ところが先週、年金の支給開始を75歳まで先送りできる年金法改悪案、検察人事に内閣が介入する検察庁法改定案が衆議院で審議入り。さらに自民党は、コロナ対策で改憲論議が必要だとして憲法審査会の開催を野党に申し入れる始末。火事場泥棒も甚だしい。

 15日、自由法曹団や社会文化法律センターなど法律家六団体が検察庁法改定に反対する記者会見をオンラインで実施。私も議員会館の自室から出席しました。
 法案は、安倍首相に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の定年延長が発端です。法律上できない検察官の定年延長を閣議決定で強行したために、解釈変更したのだと取り繕うことになり、さらには解釈変更を合法化するため法改正まで利用しようとしています。森友、加計学園、桜を見る会――安倍首相自身の刑事責任が問われる疑惑がいくつもあるなか、首相を逮捕起訴するかもしれない検察官人事に、ほかならぬ首相が堂々と口を挟む。こんなところまで官邸に私物化させてしまえば、権力の腐敗は歯止めがなくなります。

 マスク2枚、一世帯30万円、コラボ動画と、救いようのない不評策が続く安倍政権。どさくさまぎれの悪法強行はもってのほか。ファクスやSNS(ソーシャルネットワークサービス)の活用など社会的距離をとりながら、こんなときこそ声を上げよう!
(弁護士、参院議員・東京選挙区選出)