《豊洲新市場問題》尾崎・あぜ上両都議が追及/都議会経済・湾港委員会

豊洲新市場のカビ深刻/尾崎あや子都議が原因究明迫る

東京都築地市場(中央区)の移転先とする豊洲新市場(江東区の東京ガス工場跡地)の売場棟内の96店舗でカビが多数発生していた問題で、日本共産党の尾崎あや子都議は25日の都議会経済・港湾委員会で、「生鮮食料品を扱う新市場で大量のカビが発生するのは深刻な問題だ」と指摘し、原因を究明するよう求めました。

尾崎氏は、都が16日に報告を受けながら、事実を公表したのが24日だったことを示し、「なぜすぐ事実を公表しなかったのか」とただしました。

都が原因について「長雨、台風などで湿度が上昇したため」と説明していることにふれ、「空調を運転していたのに、なぜ大量のカビが発生したのか。新市場の建物は閉鎖型で湿気がこもりやすい」と指摘。「地下水位が高く、地下水の上に建物が建っている状態にあることも原因になりうる。ベンゼンや水銀など揮発性の高い汚染物質がカビに付着している可能性もありうる」という専門家の見方を紹介し、「カビに汚染物質があるかどうか、空気中にどれだけ胞子が漂っているかも調査が必要だ」と求めました。

都中央卸売市場の岡安雅人新市場整備部長はカビの汚染調査に触れず、「地下空間の対策にあたり大気の状況を確認する」と答えるだけでした。

尾崎氏はカビの大量発生という問題を見ても、豊洲新市場は生鮮食料品を扱う市場としてふさわしくないと指摘しました。

築地市場 都の移転方針は無害化の約束投げ出すもの/尾崎都議

築地市場の豊洲新市場への移転を表明した小池百合子知事の「基本方針」(6月20日)について「土壌も地下水も環境基準以下にする(無害化)という市場関係者や都民との一番大事な約束を投げ出すもので、許されない」と批判し、移転はきっぱりやめるよう求めました。

尾崎氏は、都が「無害化」が市場移転の前提だと繰り返し答弁してきた事実を指摘。築地市場業者でつくる「女将さん会」も「汚染物資除去は私たちとの約束。都から変更の申し出はなく、約束は生きている」と表明していることを示し、「約束が守られないなら、市場関係者も都民も納得できない」と厳しく批判しました。

尾崎氏は新市場の地下空間の床面にコンクリートを敷設し換気する追加対策について、日本建築学会がコンクリート打設で完全にひび割れを制御できるわけではないと指摘したと強調。「これで食の安全・安心が確保できるとは言えない」と主張しました。

さらに土壌汚染対策の柱とした新市場の地下水管理システムについて、地下水位を海抜1.8メートルで管理するとしながら、23日時点でも水位が2.1~3.6メートルとなっている事実を示し、「水位が下がらない原因を究明しないまま、揚水井戸を増設しても、システムが機能するとは考えられない」と批判。盛り土が再汚染された可能性も指摘し、改めて調査するよう求めました。

都中央卸売市場の鈴木理担当部長は水位が下がらない原因について「揚水井戸の目詰まり」を挙げながら、どの井戸の目詰まりをどのように把握したかや増設の効果については答えられませんでした。

「築地守る」具体化を 都の姿勢はあいまい/あぜ上三和子都議

日本共産党の、あぜ上三和子東京都議は25日の都議会経済・湾港委員会で、築地市場の豊洲移転問題に関して小池百合子知事が表明した「基本方針」について質問し、小池知事が約束した「築地を守る」の確実な実行を求めました。

あぜ上氏は「基本方針」が「築地は守る・豊洲を活かす」として、築地に市場の機能を残すことを示したことは「重要なこと」と評価した上で、「問題はその具体化だ」とただしました。

都中央卸売市場の吉村恵一企画担当部長は「ステップを踏みながら、どのような機能を持たせるか検討する」と答弁。あぜ上氏は「極めてあいまいだ」と都の姿勢を批判しました。民間主導の築地再開発では市場の火は消えると指摘。「女将さん会」から、もう一度立ち止まって考えることを求める要請が都に寄せられていることも示し、築地を守るためには、市場業者や関係者の納得と合意が大前提だと強調しました。

あぜ上氏はさらに、豊洲移転後に、2020年東京五輪のため築地市場を解体し、更地にして輸送拠点として一時使用する計画を批判。働く人と建物が築地ブランドを形成しており、歴史的価値が高く評価される築地市場の建物を壊せば、「元も子もなくなる」と迫りました。

あぜ上氏は、8月臨時都議会に移転強行のための補正予算案を提出しないよう求めました。また、小池知事の出席の下、徹底審議が必要と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2017年8月26日付、27日付より)