米軍横田基地(福生市など5市1町)でパラシュート降下訓練中の米兵が、羽村市内の民有地に落下した問題で、日本共産党の山添拓参院議員は、尾崎あや子都議、周辺自治体の議員、住民運動関係者とともに11月28日、防衛省からの聞き取りを行いました。米軍は安全確保のために必要な事故の経緯や原因なども把握しないままに訓練を再開し、国もそれを容認している実態が、浮き彫りになりました。

「落下場所が基地から大きく外れて、青梅線をまたいでいることに驚いた。近くにはひっきりなしに車が通る道路もある。線路の上や、道路の上だったら、どうなっていたか。住民の命にかかわる事故になっていた。重大性に、米軍も国も思いがいたっていない」
横田基地の撤去を求める西多摩の会の寉田一忠さんは、事故からわずか2日間の中止で訓練を再開した米軍の対応に憤りを表明しました。
事故が起きたのは11月18日の夕方。米軍のC130輸送機から降下した米兵の一人が、私有地に降り、民家の屋根を破損しました。米側は、メーンのパラシュートが開かず、サブのパラシュートを展開したと説明しています。
落下現場は、横田基地から3キロメートルも離れています。メーンの故障時にサブに切り替えるのは、通常の手順という説明にも関わらず、なぜこれだけ落下場所がずれたのか、参加者が説明を求めても、防衛省担当者は「不明」というのみでした。
また、落下した民家には庭があるにもかかわらず、米兵は屋根にぶつかっており、コントロールが取れなくなっていた可能性もあります。
山添氏は、「安全確認どころか、事態の把握すらできていないなかでの訓練再開だ」「国も、米側から、機材や手順の点検をしたという説明を聞いただけで、経緯や原因などは何も把握できていない」と厳しく指摘。参加者からも、どのように事故が起き、なぜ遠くへの落下にいたったのか、米側からの詳しい説明を求める声が相次ぎました。
再開後に部品発見
再開に至った経緯にも、不明点が多くあります。
米側が「安全性について確信を得られた」として、訓練を再開したのは、事故からわずか2日後の20日でした。
しかし、その20日に羽村市内の別の場所で、パラシュートの一部である「誘導傘」が発見され、21日に米軍のものだと確認されました。
参加者からの「米軍は誘導傘がなくなっていることを把握していたのではないか。他の部品もなくなっているのではないか」との質問に、防衛省は「把握していない」と繰り返しました。
参加者からは、重大な事故だという認識を米軍にも持たせるべきだという発言も相次ぎました。防衛省としての認識について、担当者は「事故という認識を持っている」と応じました。
自治体要請に反し
横田基地で基地外へのパラシュートの落下事故が確認されたのは、5件目です。この他にも、基地外への落下らしい事象が目撃されたケースや、基地内でパラシュートから外れた備品が落下して滑走路を破損した事故、パラシュート以外の装備品の落下などもあります。
鈴木たくや羽村市議は、「またか、というのが市民の思いだ。このような事故は、二度と繰り返さないでほしい」と訴えました。
現地を調査した尾崎あや子都議は、「被害の補償を早く進めてほしい」と要望。そのうえで「都も周辺自治体も、原因究明と再発防止策をとるまでは、訓練を再開するなと求めている。今からでも、米側に中止を求めるべきだ」と強調しました。
落下した兵士は、陸軍の所属と判明しています。横田基地は空軍基地のため、他の基地に所属していることになります。
都と周辺自治体が事故直後の要請で、「横田基地所属以外の部隊による同様の訓練は行わない」よう求めたにもかかわらず、米軍は同様の訓練を再開しました。
参加者は「周辺自治体の要請まで無視したあまりにひどい対応だ」「横田基地の周辺は住宅密集地で、そもそも降下訓練をするべきではない」とただしました。

